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21話 早すぎる再会
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開かれた扉の向こうにいる人物が、医務室の中に向かって声を放った。
「失礼します。団員が怪我をしたので治療の方をお願い――」
団員を治療してほしい。そう言いかけた彼だったが、私と目が合ったその瞬間、あろうことか抱えていた団員を床に落としてしまった。
「うわぁ~! エンディミオン団長ひどい!」
そう悲鳴上げる団員の声が聞こえたが、そんな声はまったく聞こえていないとでも言うかのごとく彼は声を被せた。
「なぜ、ここにクリスタ様がっ……!」
――もうバレちゃった……。
もうここは勢いで誤魔化すしかない。
「……エヘッ」
入り口で固まって閉まっているエンディミオン卿に、私は作り笑いで誤魔化した。キャラでもない笑い方をして、自分で自分にドン引きしながらだ。
するとその瞬間、エンディミオン卿は床に落とした団員をサッと拾い上げ、彼をベッドまで運び寝かせた。
そして、一瞬で私の目の前にやって来ると、目眩がするような言葉をかけてきた。
「クリスタ様……私との結婚を決断してくださったのですかっ……?」
その瞬間、医務室の空気が一気に凍りついた。視界に入るエンディミオン卿以外の人物は、みなエンディミオン卿の発言にドン引きしている。
そして、静まり返った室内で最初に口を開いたのはカイルだった。
「違うっての、クリスタは今日からここで働くんだよ」
ヘラヘラとした様子で、エンディミオン卿の背後から彼の左肩に手を乗せた。そんな彼は、肩越しに私と視線を合わせると、憎たらしいほどの笑顔向け、声を発した。
「あっけなかったな~クリスタ」
――カイルっ……。
この状況を楽しんでるわね……!
他人事と思っている彼は、露骨に心情を顔に出せない私を見て笑い続けている。
しかし、エンディミオン卿はカイルのことなど見向きもせず、私の顔を覗き込んできた。
「そ、そうなのですか!? クリスタ様がここで!? 毎日朝から晩までずっと一緒にいられるのですか?」
――ダメだ。
やっぱりエンディミオン卿にはハッキリと言わないと絶対に伝わらないわ……。
本当は強い言い方をしたくない。だけど良いように勘違いされては困るため、エンディミオン卿にハッキリと告げた。
「違います。それに、ずっと一緒にいませんし、私は定時に来て定時に帰ります!」
私にしてはよく言った。そう勝手に満足していたが、エンディミオン卿はその上だった。
「私が毎日クリスタ様を送り迎えいたします」
「結構です」
「では、クリスタ様のお手伝いをしに――」
「それも結構です!」
どれだけ結構と言っても、エンディミオン卿はまったくへこたれない。
それどころか、頬をほんのり赤らめ、耳が真っ赤にした彼は、さらなる爆弾を投下してきた。
「はっきりと自分の意見を述べるあなたも素敵ですっ……。結婚してください」
「お断りいたします」
「そんなつれないあなたも素敵です」
ーーもう何も言えないわ……。
何を言っても意味が無さそうな彼に、もう絶句するしかない。すると、私たちのこの会話を横から見ていたカイルが話しかけてきた。
「おうおう、お熱いね。クリスタの話は本当だったんだな!」
――絶対面白がってるでしょ!
カイルってば助けてよー!
その思い1つでカイルに視線を向けると、エンディミオン卿の方からカイルに話しかけた。
「すみません。以前から思っていたのですが、カイル団長はクリスタ様と距離が近すぎではないでしょうか?」
精悍で凛とした顔立ちのエンディミオン卿が、今はカイルに対し眉間に皺を寄せ、怪訝そうな顔をしている。
そんなエンディミオン卿の反応が面白いのだろう。カイルは片足に重心をかけ、重心をかけた方の腰にそれは自慢げに手を当てた。
「ふふん! 俺らは苦楽を共にした同期生であり友達だからな。そこらのヤツとは、歴が違うんだよ!」
「クリスタ様の同期生……うらやましいっ……」
悔しそうな顔をし、絞り出すような声を出す彼を見て、猛烈に羞恥心が襲ってくる。
しかし、そんな私の様子を気にすることなく、エンディミオン卿はカイルに言葉を続けた。
「ですがいくらそうだとしても、クリスタ様の魅力があなたを魅了してしまいますっ……」
――何を言っているの!?
私は特別顔が良いわけでも、性格が良い訳でもないわ。
全部普通よ?
もう恥ずかしいからやめて!
そう心の中で思っていると、カイル楽しそうにケラケラと笑った。
「まあ、クリスタはいいやつだけど、俺とクリスタは絶対に一生ただの友達だから」
そして、カイルはある地点まで歩くとエンディミオン卿の方へ向き声をかけた。
「俺のタイプはこっち!」
そう言うと、カイルはアルバート先生の両肩に手を置いた。一方で、突然肩に手を置かれた先生は「え? 僕ですか?」なんて言って、すごく驚いている。
もちろん驚いていること自体は、エンディミオン卿も同様だった。しかし、彼は直ぐにカイルに対し言葉を返した。
「それでもです! クリスタ様は素晴らしく魅力的なお方なので、お気を付けください……!」
もう我慢の限界だった。
「恥ずかしいからやめてください……。用は済みましたよね? それなら、もう仕事に戻ってください!」
エンディミオン卿は私のこの声を聞き、カイルから私のいる方へと顔の向きを変えた。その顔は先程カイルに見せていた厳しい表情ではなく、優しい笑顔に戻っていた。
「恥じらうあなたも可愛らしい……。ですが、あなたは仕事中でした。お騒がせしてすみません。それではまた来ますね」
――意外と物分りが良いのね……。
というか、用が無ければ来ないでほしい……。
そんなことを思っていると、エンディミオン卿はケラケラと笑っているカイルを引き連れて、医務室を出ていった。彼は出ていく間際まで、ずっとキラキラと輝く笑顔で私に微笑みかけていた。
――やっと落ち着いたわ……。
そう思った瞬間、コツコツと先生が私の隣に歩いてきた。どうやらエンディミオン卿が連れてきた団員の治療を、終わらせてくれていたみたいだ。
「先生ありがとうございます」
「気にしなくていいよ。それより大変だね、クリスタさん」
「先生も色々と……大変ですね」
そう言って顔を見合わせた瞬間、私たちには何か通じ合うものを感じた。
「「あはは……」」
こうして苦笑いをし、私たちは続きの仕事に取り掛かった。
「失礼します。団員が怪我をしたので治療の方をお願い――」
団員を治療してほしい。そう言いかけた彼だったが、私と目が合ったその瞬間、あろうことか抱えていた団員を床に落としてしまった。
「うわぁ~! エンディミオン団長ひどい!」
そう悲鳴上げる団員の声が聞こえたが、そんな声はまったく聞こえていないとでも言うかのごとく彼は声を被せた。
「なぜ、ここにクリスタ様がっ……!」
――もうバレちゃった……。
もうここは勢いで誤魔化すしかない。
「……エヘッ」
入り口で固まって閉まっているエンディミオン卿に、私は作り笑いで誤魔化した。キャラでもない笑い方をして、自分で自分にドン引きしながらだ。
するとその瞬間、エンディミオン卿は床に落とした団員をサッと拾い上げ、彼をベッドまで運び寝かせた。
そして、一瞬で私の目の前にやって来ると、目眩がするような言葉をかけてきた。
「クリスタ様……私との結婚を決断してくださったのですかっ……?」
その瞬間、医務室の空気が一気に凍りついた。視界に入るエンディミオン卿以外の人物は、みなエンディミオン卿の発言にドン引きしている。
そして、静まり返った室内で最初に口を開いたのはカイルだった。
「違うっての、クリスタは今日からここで働くんだよ」
ヘラヘラとした様子で、エンディミオン卿の背後から彼の左肩に手を乗せた。そんな彼は、肩越しに私と視線を合わせると、憎たらしいほどの笑顔向け、声を発した。
「あっけなかったな~クリスタ」
――カイルっ……。
この状況を楽しんでるわね……!
他人事と思っている彼は、露骨に心情を顔に出せない私を見て笑い続けている。
しかし、エンディミオン卿はカイルのことなど見向きもせず、私の顔を覗き込んできた。
「そ、そうなのですか!? クリスタ様がここで!? 毎日朝から晩までずっと一緒にいられるのですか?」
――ダメだ。
やっぱりエンディミオン卿にはハッキリと言わないと絶対に伝わらないわ……。
本当は強い言い方をしたくない。だけど良いように勘違いされては困るため、エンディミオン卿にハッキリと告げた。
「違います。それに、ずっと一緒にいませんし、私は定時に来て定時に帰ります!」
私にしてはよく言った。そう勝手に満足していたが、エンディミオン卿はその上だった。
「私が毎日クリスタ様を送り迎えいたします」
「結構です」
「では、クリスタ様のお手伝いをしに――」
「それも結構です!」
どれだけ結構と言っても、エンディミオン卿はまったくへこたれない。
それどころか、頬をほんのり赤らめ、耳が真っ赤にした彼は、さらなる爆弾を投下してきた。
「はっきりと自分の意見を述べるあなたも素敵ですっ……。結婚してください」
「お断りいたします」
「そんなつれないあなたも素敵です」
ーーもう何も言えないわ……。
何を言っても意味が無さそうな彼に、もう絶句するしかない。すると、私たちのこの会話を横から見ていたカイルが話しかけてきた。
「おうおう、お熱いね。クリスタの話は本当だったんだな!」
――絶対面白がってるでしょ!
カイルってば助けてよー!
その思い1つでカイルに視線を向けると、エンディミオン卿の方からカイルに話しかけた。
「すみません。以前から思っていたのですが、カイル団長はクリスタ様と距離が近すぎではないでしょうか?」
精悍で凛とした顔立ちのエンディミオン卿が、今はカイルに対し眉間に皺を寄せ、怪訝そうな顔をしている。
そんなエンディミオン卿の反応が面白いのだろう。カイルは片足に重心をかけ、重心をかけた方の腰にそれは自慢げに手を当てた。
「ふふん! 俺らは苦楽を共にした同期生であり友達だからな。そこらのヤツとは、歴が違うんだよ!」
「クリスタ様の同期生……うらやましいっ……」
悔しそうな顔をし、絞り出すような声を出す彼を見て、猛烈に羞恥心が襲ってくる。
しかし、そんな私の様子を気にすることなく、エンディミオン卿はカイルに言葉を続けた。
「ですがいくらそうだとしても、クリスタ様の魅力があなたを魅了してしまいますっ……」
――何を言っているの!?
私は特別顔が良いわけでも、性格が良い訳でもないわ。
全部普通よ?
もう恥ずかしいからやめて!
そう心の中で思っていると、カイル楽しそうにケラケラと笑った。
「まあ、クリスタはいいやつだけど、俺とクリスタは絶対に一生ただの友達だから」
そして、カイルはある地点まで歩くとエンディミオン卿の方へ向き声をかけた。
「俺のタイプはこっち!」
そう言うと、カイルはアルバート先生の両肩に手を置いた。一方で、突然肩に手を置かれた先生は「え? 僕ですか?」なんて言って、すごく驚いている。
もちろん驚いていること自体は、エンディミオン卿も同様だった。しかし、彼は直ぐにカイルに対し言葉を返した。
「それでもです! クリスタ様は素晴らしく魅力的なお方なので、お気を付けください……!」
もう我慢の限界だった。
「恥ずかしいからやめてください……。用は済みましたよね? それなら、もう仕事に戻ってください!」
エンディミオン卿は私のこの声を聞き、カイルから私のいる方へと顔の向きを変えた。その顔は先程カイルに見せていた厳しい表情ではなく、優しい笑顔に戻っていた。
「恥じらうあなたも可愛らしい……。ですが、あなたは仕事中でした。お騒がせしてすみません。それではまた来ますね」
――意外と物分りが良いのね……。
というか、用が無ければ来ないでほしい……。
そんなことを思っていると、エンディミオン卿はケラケラと笑っているカイルを引き連れて、医務室を出ていった。彼は出ていく間際まで、ずっとキラキラと輝く笑顔で私に微笑みかけていた。
――やっと落ち着いたわ……。
そう思った瞬間、コツコツと先生が私の隣に歩いてきた。どうやらエンディミオン卿が連れてきた団員の治療を、終わらせてくれていたみたいだ。
「先生ありがとうございます」
「気にしなくていいよ。それより大変だね、クリスタさん」
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