49 / 74
48 無情の女神
しおりを挟む
――無茶苦茶よ……。
そんなこと、あっていいはずがない。
「ダメよシド……。あれだけ嫌だったのに、私のためになんてっ……」
「いいんだ」
「いいわけないでしょ!」
諦めたように首をゆるゆると横に振るシドに、私は声を荒げた。
自分を犠牲にしたらいいだなんて、そんなシドの考え方は間違っているからだ。
だが、シドは私の言葉を聞くと、少し苛立った顔で私に向き直り口を開いた。
「いいわけなくたって、俺はあんたに死んでほしくないんだよっ……!」
「私だってシドに――」
「オーロラが守れるならいいんだよ。あんたさえ無事だったらっ……!」
シドは悔しそうに顔を歪めて、私の正面から両方の上腕を掴んだ。
「堕天使にだって悪魔にだってなっていい」
「そんなっ……」
「だってあんたのためなら俺、死ねるから」
信じたくないくらいに優しい笑顔を向けられて、言葉が上手く喉から出て来てくれない。
すると、シドはそんな私の後頭部に手を回し、ごく自然に髪を解いた。
シドの手には、彼がくれたリボンが握られている。もらった日から、毎日大切に付けているものだ。
「どうして解いて――」
「手、貸してよ」
「え?」
戸惑いながらシドを見上げると、彼はじれったいとばかりに私の左手を掴んだ。そして、そのリボンを手に取った私の手の薬指に結んだ。
「これ、あんたによく似合ってる。大切にしてくれよ。じゃあね」
「シド、何を言っているの?」
理解が追い付かず、彼の行動に戸惑う。
だが、シドはそんな私から早々に視線を逸らし、死神姫の元へと歩き始めていた。
「そ、そんな……いや! シド!」
背後から呼びかけても彼は振り向いてくれない。
「こんなの嫌よ。ねえ、シド! 行かないでっ……!」
絶叫に近い声を張り上げた。すると、シドの足が止まった。
しかし、間髪入れずに死神姫がシドに早く移動するよう急かす。そのせいで、シドはやはり振り返ることなく歩き出してしまった。
だが、ここで死神姫が何かを閃いたようにシドを止めた。
「そうだ、シド。いいことを思いついたぞ」
この場合のいいことは、決して私たちにとっては良くないことだろう。自ずとその場に戦慄が走る。
そんな中、死神姫は空気感など気にする様子も見せず、信じられないことを宣った。
「シド。私への忠誠を証明するのだ。今、この女の目の前でな」
欠片もない忠誠を、どのように証明しろというのだろうか。あまりの無理難題に、シドもさすがに困った様子で訊ねた。
「……っ何をしたらよろしいのですか」
感情を押し殺した冷たい声だった。しかし、死神姫はそれに動じず、むしろ楽しそうに証明とやらの方法を考え始めた。
「ああ、良いのを思いついたぞ」
そう時間を置くことなく、死神姫が妖艶な笑みをシドに向ける。そして、思いついた証明法とやらを述べた。
「ここに跪き、私の足に口付けよ」
私は自身の耳を、目を疑って彼女を凝視した。
彼女は堪えきれないといった様子で、ククッと笑みを零す。
そして、突然小手招く動きをした。その瞬間、ドドドドッという音とともに、ピンクアンバーのブタがやってきた。
死神姫はやってきたブタの顎下を軽く撫でると、そのブタの背に座った。
まるで椅子に座るかのように、一切の躊躇い無く。
「シド、さあ早くしろ」
彼女はそう言うと足を組み、上になった一方の足をシドの方へと差し出した。
すると、シドはあろうことか素直に彼女の足元に跪いた。
「シド! やめて!」
私を守るためにと、シドは自身の矜持を捻じ曲げて、忠誠を証明しようとしている。
そんなこと、絶対にさせたくない。
思うように動かない足に何とか力を入れ、シドの元へと駆ける。
だが、死神姫がそんな私を止めようと、私の首に何かを巻き付けてきた。
「っ……シド、くっ……だめ、絶対に……」
苦しくて息ができないながらも、必死にシドに訴えかける。シドはそんな私に駆け寄ろうとしたが、死神姫の声が彼の動きを止めた。
「口付けたら解放してやる」
「しなくて、いいっ……!」
気道が細まる中、シドに叫ぶ。
しかし、シドは私の視線を振り切り――そのまま、死神姫の足の甲に口付けてしまった。
「はっ……はは……。あははははは! シド、よくやった!」
「うっ……シド、なんで……」
首元の締め付けが解除され、私は床にへたりこんだ。シドは血が出そうなほど唇を強く噛み、ギュッと両手に拳を作っている。
そして、決して私と目を合わせようとはしなかった。
「女、これで分かったであろう? シドは私の物なのだ。覚えておくがいい」
彼女はそう言って、悔しさを滲ませ佇むシドを後ろから抱き締める。
すると間もなく、二人はまるで幻影だったかのように、同時に目の前から消えてしまった。
「シド……シドっ……!!!!!!!!」
どれだけ叫んでも、彼はどこにもいない。
慌てて家の外へと飛び出すと、ツタで身体をぐるりと縛られた地面に寝かされたベリーとアールを発見した。
「ベリー! アール!」
私は二人に駆け寄り、ツタを急いで解く。
「シド様は!?」
「どうなったですか!?」
ツタを解かれながら、二人が無事を祈るかのような表情で訊ねてくる。その顔を見た瞬間、私の涙腺は決壊してしまった。
「ごめん、ごめんねっ……」
「ご、ごめんじゃわかんないよ」
「オーロラさん?」
二人はツタを解きながらわんわんと泣き始めた私に戸惑い、その目に涙を浮かべ始めた。
「ううっ……連れてかれちゃった……。絶対に助けないと、っいけなかったのに……。ごめんなさいっ……」
泣いている暇なんてないと分かっているのに、涙が止まらない。
気付けば、ツタはすべて解き終わり、私の両腕には解放されたベリーとアーㇽが抱き着いていた。
こうして抱き着く彼らもまた、私のように泣いていた。
そのときだった。
何の予兆も無く、私たちの周りを黒紫に光るツタが取り囲んだ。それはまるで檻のようで、出て行く隙間もない。
「な、なにっ……!?」
驚きながら、全方位をぐるりと見まわす。すると、私たちの真下の地面に謎の紋様が浮かび上がった。
――これは、魔法陣?
そう思った瞬間、私たちは目も開けられないほど強い光に包まれた。そして気付けば、見たことも無い場所にやって来ていた。
そこは、もの一つない異様な部屋。その様相に、思わず恐怖を抱き、二人を引き寄せる。
すると、カツンカツンという聞き覚えのあるヒール音が、唐突に部屋中に鳴り響いた。
慌てて音が聞こえた後方に顔を向ける。
「どうしてっ……!」
「どうしてだと? 私がそなたのようなあばずれ、許すわけが無かろう。シドの前だから我慢してやっただけだ」
そこにいたのは、死神姫フレイアだった。
得意げな顔で、見下すような視線を向けてくる。そんな彼女に、私は負けてはならないと睨み返す。
しかし、その様子が癪に障ったのだろう。彼女は余裕ありげな顔をギュッと醜く歪め、声を荒げた。
「お前のその勝気な目が気に食わんのだ! こっちを見るな!」
「なら、今すぐシドを解放してください!」
見るなというなら呼ぶな。そしてシドを返せ。
そんな思いで、私は絶対に彼女から目を逸らさなかった。
すると、彼女はそんな私に激高し、張り手を食らわそうとした。だが、その手は寸でのところで止まった。
「ははっ、もっといいことを思いついた。お前が一番嫌なことをしてやる!」
死神姫はそう言うと、私の顎を掴んで強制的に目を合わせてきた。
さきほどまでとは違い、すべてを見透かすようなその目によって、皮肉なことに彼女が神であることを痛感させられる。
――今、何をしているの?
不穏な雰囲気の中、私の瞳を覗き込む死神姫に嫌な予感しかしない。
そんな中、彼女は用事は済んだというように、乱暴に私の顔から手を放すと、高慢な態度で言い放った。
「私の手を煩わせた己の愚行を悔いろ。天使のくせに神の私に逆らうお前たちもだ!」
死神姫はアールとベリーに対してまでも、鋭い眼光で睨めつける。
だが、すぐにその怒りの形相に笑みが浮かんだ。
「神による鉄槌をとくと味わえ」
彼女がそう言うと、再び私たちは黒紫の光の檻に取り囲まれた。そして、魔法陣が地面に浮かび上がったかと思えば、再び強烈な光に包まれた。
耳の奥で、死神姫の耳障りな高笑いが響いている。
すると気付けば、私たちは新たな場所に飛ばされていた。
そこは、非常に見覚えのある景色だった。それも、最悪な気持ちが込み上げてくるような、二度と見たくない景色で。
「嘘でしょ。まさかここって……」
身体から力が抜け落ち、私は床にへたり込む。
私たちが新たに飛ばされてしまった場所。
それは私がかつて逃げ出した場所である、ロイス陛下の居間だったのだ。
そんなこと、あっていいはずがない。
「ダメよシド……。あれだけ嫌だったのに、私のためになんてっ……」
「いいんだ」
「いいわけないでしょ!」
諦めたように首をゆるゆると横に振るシドに、私は声を荒げた。
自分を犠牲にしたらいいだなんて、そんなシドの考え方は間違っているからだ。
だが、シドは私の言葉を聞くと、少し苛立った顔で私に向き直り口を開いた。
「いいわけなくたって、俺はあんたに死んでほしくないんだよっ……!」
「私だってシドに――」
「オーロラが守れるならいいんだよ。あんたさえ無事だったらっ……!」
シドは悔しそうに顔を歪めて、私の正面から両方の上腕を掴んだ。
「堕天使にだって悪魔にだってなっていい」
「そんなっ……」
「だってあんたのためなら俺、死ねるから」
信じたくないくらいに優しい笑顔を向けられて、言葉が上手く喉から出て来てくれない。
すると、シドはそんな私の後頭部に手を回し、ごく自然に髪を解いた。
シドの手には、彼がくれたリボンが握られている。もらった日から、毎日大切に付けているものだ。
「どうして解いて――」
「手、貸してよ」
「え?」
戸惑いながらシドを見上げると、彼はじれったいとばかりに私の左手を掴んだ。そして、そのリボンを手に取った私の手の薬指に結んだ。
「これ、あんたによく似合ってる。大切にしてくれよ。じゃあね」
「シド、何を言っているの?」
理解が追い付かず、彼の行動に戸惑う。
だが、シドはそんな私から早々に視線を逸らし、死神姫の元へと歩き始めていた。
「そ、そんな……いや! シド!」
背後から呼びかけても彼は振り向いてくれない。
「こんなの嫌よ。ねえ、シド! 行かないでっ……!」
絶叫に近い声を張り上げた。すると、シドの足が止まった。
しかし、間髪入れずに死神姫がシドに早く移動するよう急かす。そのせいで、シドはやはり振り返ることなく歩き出してしまった。
だが、ここで死神姫が何かを閃いたようにシドを止めた。
「そうだ、シド。いいことを思いついたぞ」
この場合のいいことは、決して私たちにとっては良くないことだろう。自ずとその場に戦慄が走る。
そんな中、死神姫は空気感など気にする様子も見せず、信じられないことを宣った。
「シド。私への忠誠を証明するのだ。今、この女の目の前でな」
欠片もない忠誠を、どのように証明しろというのだろうか。あまりの無理難題に、シドもさすがに困った様子で訊ねた。
「……っ何をしたらよろしいのですか」
感情を押し殺した冷たい声だった。しかし、死神姫はそれに動じず、むしろ楽しそうに証明とやらの方法を考え始めた。
「ああ、良いのを思いついたぞ」
そう時間を置くことなく、死神姫が妖艶な笑みをシドに向ける。そして、思いついた証明法とやらを述べた。
「ここに跪き、私の足に口付けよ」
私は自身の耳を、目を疑って彼女を凝視した。
彼女は堪えきれないといった様子で、ククッと笑みを零す。
そして、突然小手招く動きをした。その瞬間、ドドドドッという音とともに、ピンクアンバーのブタがやってきた。
死神姫はやってきたブタの顎下を軽く撫でると、そのブタの背に座った。
まるで椅子に座るかのように、一切の躊躇い無く。
「シド、さあ早くしろ」
彼女はそう言うと足を組み、上になった一方の足をシドの方へと差し出した。
すると、シドはあろうことか素直に彼女の足元に跪いた。
「シド! やめて!」
私を守るためにと、シドは自身の矜持を捻じ曲げて、忠誠を証明しようとしている。
そんなこと、絶対にさせたくない。
思うように動かない足に何とか力を入れ、シドの元へと駆ける。
だが、死神姫がそんな私を止めようと、私の首に何かを巻き付けてきた。
「っ……シド、くっ……だめ、絶対に……」
苦しくて息ができないながらも、必死にシドに訴えかける。シドはそんな私に駆け寄ろうとしたが、死神姫の声が彼の動きを止めた。
「口付けたら解放してやる」
「しなくて、いいっ……!」
気道が細まる中、シドに叫ぶ。
しかし、シドは私の視線を振り切り――そのまま、死神姫の足の甲に口付けてしまった。
「はっ……はは……。あははははは! シド、よくやった!」
「うっ……シド、なんで……」
首元の締め付けが解除され、私は床にへたりこんだ。シドは血が出そうなほど唇を強く噛み、ギュッと両手に拳を作っている。
そして、決して私と目を合わせようとはしなかった。
「女、これで分かったであろう? シドは私の物なのだ。覚えておくがいい」
彼女はそう言って、悔しさを滲ませ佇むシドを後ろから抱き締める。
すると間もなく、二人はまるで幻影だったかのように、同時に目の前から消えてしまった。
「シド……シドっ……!!!!!!!!」
どれだけ叫んでも、彼はどこにもいない。
慌てて家の外へと飛び出すと、ツタで身体をぐるりと縛られた地面に寝かされたベリーとアールを発見した。
「ベリー! アール!」
私は二人に駆け寄り、ツタを急いで解く。
「シド様は!?」
「どうなったですか!?」
ツタを解かれながら、二人が無事を祈るかのような表情で訊ねてくる。その顔を見た瞬間、私の涙腺は決壊してしまった。
「ごめん、ごめんねっ……」
「ご、ごめんじゃわかんないよ」
「オーロラさん?」
二人はツタを解きながらわんわんと泣き始めた私に戸惑い、その目に涙を浮かべ始めた。
「ううっ……連れてかれちゃった……。絶対に助けないと、っいけなかったのに……。ごめんなさいっ……」
泣いている暇なんてないと分かっているのに、涙が止まらない。
気付けば、ツタはすべて解き終わり、私の両腕には解放されたベリーとアーㇽが抱き着いていた。
こうして抱き着く彼らもまた、私のように泣いていた。
そのときだった。
何の予兆も無く、私たちの周りを黒紫に光るツタが取り囲んだ。それはまるで檻のようで、出て行く隙間もない。
「な、なにっ……!?」
驚きながら、全方位をぐるりと見まわす。すると、私たちの真下の地面に謎の紋様が浮かび上がった。
――これは、魔法陣?
そう思った瞬間、私たちは目も開けられないほど強い光に包まれた。そして気付けば、見たことも無い場所にやって来ていた。
そこは、もの一つない異様な部屋。その様相に、思わず恐怖を抱き、二人を引き寄せる。
すると、カツンカツンという聞き覚えのあるヒール音が、唐突に部屋中に鳴り響いた。
慌てて音が聞こえた後方に顔を向ける。
「どうしてっ……!」
「どうしてだと? 私がそなたのようなあばずれ、許すわけが無かろう。シドの前だから我慢してやっただけだ」
そこにいたのは、死神姫フレイアだった。
得意げな顔で、見下すような視線を向けてくる。そんな彼女に、私は負けてはならないと睨み返す。
しかし、その様子が癪に障ったのだろう。彼女は余裕ありげな顔をギュッと醜く歪め、声を荒げた。
「お前のその勝気な目が気に食わんのだ! こっちを見るな!」
「なら、今すぐシドを解放してください!」
見るなというなら呼ぶな。そしてシドを返せ。
そんな思いで、私は絶対に彼女から目を逸らさなかった。
すると、彼女はそんな私に激高し、張り手を食らわそうとした。だが、その手は寸でのところで止まった。
「ははっ、もっといいことを思いついた。お前が一番嫌なことをしてやる!」
死神姫はそう言うと、私の顎を掴んで強制的に目を合わせてきた。
さきほどまでとは違い、すべてを見透かすようなその目によって、皮肉なことに彼女が神であることを痛感させられる。
――今、何をしているの?
不穏な雰囲気の中、私の瞳を覗き込む死神姫に嫌な予感しかしない。
そんな中、彼女は用事は済んだというように、乱暴に私の顔から手を放すと、高慢な態度で言い放った。
「私の手を煩わせた己の愚行を悔いろ。天使のくせに神の私に逆らうお前たちもだ!」
死神姫はアールとベリーに対してまでも、鋭い眼光で睨めつける。
だが、すぐにその怒りの形相に笑みが浮かんだ。
「神による鉄槌をとくと味わえ」
彼女がそう言うと、再び私たちは黒紫の光の檻に取り囲まれた。そして、魔法陣が地面に浮かび上がったかと思えば、再び強烈な光に包まれた。
耳の奥で、死神姫の耳障りな高笑いが響いている。
すると気付けば、私たちは新たな場所に飛ばされていた。
そこは、非常に見覚えのある景色だった。それも、最悪な気持ちが込み上げてくるような、二度と見たくない景色で。
「嘘でしょ。まさかここって……」
身体から力が抜け落ち、私は床にへたり込む。
私たちが新たに飛ばされてしまった場所。
それは私がかつて逃げ出した場所である、ロイス陛下の居間だったのだ。
35
あなたにおすすめの小説
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる