オレの愛しい王子様

瑞原唯子

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第19話 今日一日だけは私を

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「お待たせしてごめんなさい」
 玄関で待っていると、桔梗があわてたように階段を駆け降りてきて謝罪した。
 だが、待ったといってもほんの数分程度のことだし、そもそも創真がすこし早く来てしまったのがいけないのだ。いまがちょうど約束の時間くらいだろう。
「いえ……」
 むしろ焦らせてしまったことを申し訳なく思いながら返事をすると、それだけで桔梗は安堵したように表情をゆるめた。そしてあらためて創真と目を合わせてにっこりと微笑む。
「おはよう、創真くん」
「おはようございます」
「来てくれてよかった」
「約束したので」
「そうね、約束だものね」
 彼女は含みのある言い方をして肩をすくめると、すぐに靴を履き始めた。
 それを待っているあいだ、何となく視線を感じたような気がして顔を上げたところ、翼が階段の中ほどに立ったままこちらを窺っていた。目が合うとふっと微笑を浮かべて軽く手を上げる。
 瞬間、創真はギュッと胸が締めつけられるのを感じた。
 この期に及んでまだ止めてくれることを期待していたのかもしれない。せめてもうすこしつらそうな顔をしてくれればいいのに、などと身勝手なことを思いつつ、同じように手を上げて応じたが——。
「行きましょう」
「あ、はい」
 どこか冷ややかな凜然とした声で桔梗に促されたかと思うと、上げていなかったほうの手をつかまれて外に連れ出される。扉が閉まると、彼女は手を離してゆっくりと創真に向きなおった。
「お願い、今日一日だけは私を見てほしいの」
 そう言って、まっすぐに縋るようなまなざしを向けてくる。
 創真は言葉に詰まり、ただこくりと頷いて了承することしかできなかった。

「えっと、日帰り……ですよね?」
 どこへ行くかは当日までに桔梗が決めておくという話になっていたので、駅に向かう道すがら尋ねてみると、彼女は前を向いたまま隣県にある有名な温泉地の名前をさらりと口にした。
 しかし創真としては想定外のことで戸惑う。都内でお昼を食べたり映画を観たりするくらいだと思っていたのだ。そもそも温泉地なんて日帰りで行くところではないような気がするが——。
「日帰りでも楽しめるらしいから安心してちょうだい」
「それなら……まあいいんですけど……」
「創真くんが泊まりにしたいのなら泊まりでも構わないわ」
「いえ、日帰りで!」
 食いぎみに答えると、彼女は艶やかな長い黒髪を揺らしながらクスクスと笑った。それを見て創真はようやくからかわれていたことに気付き、軽く口をとがらせて恨めしげに横目で睨んだ。

 現地までは新幹線を使えばわりとすぐだった。
 駅前の通りに出ると、さっそく桔梗はたくさん並んでいる土産物屋を見てまわる。いかにもお嬢様といった出で立ちなのでいささか浮いているが、本人は気にする素振りもなく楽しそうにしている。
「創真くん、一緒にこれ食べましょうよ」
「えっ、いまここで食べるつもりですか?」
「そういうものでしょう?」
 桔梗が指さしたのは単品の温泉まんじゅうだった。
 まさか食べ歩きをしたがるなんて思わなかったが、知った人のいないところで羽目を外してみたいのかもしれない。それぞれひとつずつ買うと、通行の邪魔にならないよう隅のほうに寄ってから食べ始める。
「ふふっ、出来たてはおいしいわね」
「はい」
 目の前でひとつずつ焼き印を入れてくれたその温泉まんじゅうは、まだほかほかしている。冷めてもおいしいのかもしれないが、出来たては格別だ。風が冷たいので温かいものがおいしく感じるというのもあるだろう。
「あっちのカステラも食べたいわ」
 彼女はあらかじめ行きたいところを調べていたらしく、そのあとも目当ての店をいくつかまわって食べ歩いた。お嬢様が温泉街なんかで楽しめるのか心配していたが、杞憂だったようだ。
「おみやげは帰りに買ったほうがいいわよね」
「荷物になるし、そのほうがいいと思います」
「創真くんも買う?」
「……まあ、家族には買っていこうかと」
 一瞬、翼の顔が浮かんだものの、素知らぬふりをしてごまかした。
 だが、もしかしたら桔梗は気付いたのかもしれない。さきほどまでの無邪気に楽しんでいる表情とは違い、隙のない完璧な笑みを浮かべたのを目にして、そう思った。

「このあとはどうするんですか?」
「温泉に入るわ」
 昼過ぎ、ふたりは老舗そば屋で自然薯のかかった冷たい蕎麦を食べた。
 そのとき話の流れでこのあとの予定について尋ねてみたところ、桔梗はにっこりと満面の笑みで即答した。やはり下調べをしていたのだろう。ただ、確かに温泉が有名なところではあるのだが——。
「宿泊しなくても入れるんですかね?」
「ええ、もう日帰りで予約してあるの」
「へぇ」
 何となく旅館に宿泊しないと入れないのかと思っていたが、日帰りというものがあるらしい。すでに予約まで済ませているのなら間違いはないはずだ。
「私、温泉に入ってみたかったから」
「入ったことないんですか?」
「ええ……創真くんは?」
「オレは三、四回くらいですかね」
「もしかしてここも来たことあった?」
「いえ、いつも草津のほうなんで」
「それならよかったわ」
 彼女はニコッと笑うと、置いていた箸を手に取って再び蕎麦を食べ始めた。翼とよく似ている美しい所作で——。

 昼食を終えると、予約した温泉旅館へと移動した。
 桔梗が手続きをして、仲居のような女性に案内されたところは和風の客室だった。温泉に入るんじゃなかったのか——創真は困惑するが、桔梗は特に不審がる様子もなく笑顔で応じている。
「それではお時間までごゆっくりお楽しみください」
「ありがとう」
 和服の女性が丁寧にお辞儀をして下がると、桔梗はスプリングコートを脱いでハンガーに掛ける。部屋の中は暖房がよく効いていてあたたかい。創真もとりあえずジャケットを脱ぐことにした。
「あの、温泉に入るんですよね?」
 ジャケットをハンガーに掛けてから座椅子に腰を下ろし、向かいにいる桔梗を遠慮がちに窺いながらそう切り出すと、彼女はニコッと笑った。
「ええ、さっそく入る?」
「場所は聞いてますか?」
「聞いてるも何も、そこよ」
「え……ええっ?!!」
 彼女がすっと手を伸ばして示したのは、窓の外だった。
 庭だと思っていたそこにはうっすらと湯けむりが上がり、よく見ると、小さいながらも本格的な露天風呂になっていたのだ——。

 それは、貸切個室露天風呂というらしい。
 つまりここを借りた自分たちだけが使える露天風呂だ。小さいとはいえ少人数なら十分な広さだし、源泉掛け流しだし、半分ほど岩造りできちんと風情もある。露天風呂として特に不満はないが——。
「えっと、時間をずらして別々に入るんですよね?」
「別々に入るのならわざわざ個室になんかしないわ」
「……あの、オレ、これでも一応男なんですけど」
「それって私を襲うかもしれないってこと?」
「あ、いえっ……そういうわけじゃなくて……」
「だったら問題ないわ」
 桔梗はすっと立ち上がり、うっすらと思わせぶりな微笑を浮かべて座椅子の創真を見下ろす。問題しかない。問題しかないのだけれど——創真はごくりと唾を飲んだまま何も言葉を返すことができなかった。

 信用されているのか、それとも試されているのか——。
 緩やかに湯がそそがれる音を聞きながら、創真は何も身にまとうことなく桔梗と肩を並べて露天風呂につかっていた。最初はタオルで隠そうとしたのだが、タオルを湯につけるのはマナー違反だとたしなめられてしまった。もちろん言われるまでもなく知ってはいたけれど。
 しかし、入ってしまえばそんなに気にならなくなった。真正面を向いているかぎり彼女の体はほとんど視界に入らない。もっとも湯は透明なので目を向けると見えてしまうが、そもそもこの状況を望んだのは桔梗自身なのだから、あまり過剰に気をつかう必要もないだろう。
 ふぅ——。
 じんわりと体が温まって心地よさから大きく息を吐く。湯温はだいぶ高めだが、外気が冷たいのでこのくらいでちょうどいい気がした。御影石にもたれかかりながら、ひさしの向こうにわずかに見える水色の空をぼんやりと眺める。温泉街の喧噪が嘘みたいに静かだった。
「創真くん、気持ちいい?」
「はい……とても……」
 気の抜けた声で答えると、隣で彼女がくすりと笑うのが気配でわかった。湯もすこしさざめいている。創真は淡い水色の空を眺めたまま言葉を継ぐ。
「桔梗さんは?」
「とても気持ちいいわ」
「それならよかった」
 ぼんやりと返事をしたそのとき、ちゃぷ、という何かが動いたような水音が聞こえて反射的に横目を向ける。彼女はすらりとした手を首筋に当ててうつむいたまま、曖昧な微笑を浮かべていた。
「……本当はね、私のほうからおじいさまにお願いしたの。私を次期後継者にするなら創真くんを夫にしてほしいって」
「えっ」
「もちろんお眼鏡にかなったから聞き入れてくれたのよ」
 多分、それは事実なのだろう。
 徹の独断ではなく、桔梗の希望だというほうがまだ得心がいく。ただ、どうしてあえて創真なのかはやはり不思議でならない。もっと優秀で、もっと見目の良いひとなんていくらでもいるのに。
「もしかして翼へのあてつけですか?」
「あてつけで夫を選ぶような女に見えて?」
「あ、いえ……すみません……」
 消え入るように答えると、隣で桔梗はおかしそうにくすくすと笑った。
「創真くんはもっと自分に自信を持ってもいいと思うわ。翼が幼いころからずっと自分のそばに置いて、私が将来をともにしたいと願って、おじいさまが西園寺の婿として認めたひとなんだから」
 そう言われても釈然としない。
 翼には補佐役として力不足だと認識されていたようだし、桔梗にも徹にも何か裏があるような気がしている。それが何かはいまのところさっぱりわからないし、見当もつかないけれど——。
「近々、おじいさまが正式に次期後継者を発表するわ」
 ふいに桔梗が言う。さきほどまでとは違ったあきらかに硬い声で。創真もつられるように緊張が高まっていくのを感じた。
「発表されたら何か変わるんですか?」
「社交の場にも正式に後継者として顔を出していくそうよ。後継者教育も始まるわ。具体的なことはまだ何も聞いていないけれど、きっと翼がしていたようなことをするのでしょうね」
 桔梗はどこか他人事のように淡々と語った。そして短い沈黙のあと、こちらを意識しながら遠慮がちに言い添える。
「創真くんが一緒に受けてくれると心強いのだけれど」
「……オレ、桔梗さんと結婚するって決めてませんよ」
「もちろんそれとは切り離して考えてくれていいわ」
「そう言いつつ外堀を埋めていこうとしてますよね?」
「ふふっ」
 胡乱げな創真の指摘を否定せずに笑う。
 おそらく図星なのだろうが、そうであろうとなかろうとその申し出を受けるつもりはない。創真は小さく溜息をついてから落ち着いた声でゆっくりと切り出す。
「オレ、いま父親の仕事を手伝ってるんです」
「えっ?」
 緩く水音がして、桔梗がこちらに振り向くような気配がした。
 それでも創真はまっすぐ前を向いたままで言葉を継ぐ。
「翼の勉強がなくなって、それで暇ならやってみないかって父親に誘われて……別に暇ってほどじゃなかったんですけど、すこし興味もあったし、そのほうが気もまぎれていいかなと思って」
「そう……知らなかったわ」
「翼にもまだ言ってなかったので」
 隠していたわけではなく、何となくきっかけがなくて話していなかっただけだ。しかし先に桔梗に話すことになるとは思わなかった。ほんのすこし罪悪感のようなものが湧き上がる。
「将来はそちらのほうに進むつもりなの?」
「いや、そこまでは……」
 父親の仕事はIT系だが、詳しいことはあまりよく知らない。
 手伝いにしても、いまのところ指示どおりに操作するだけのデバッグ作業しかやっていない。それでも面白いと感じているし、興味もあるし、勉強してみるのもいいような気はしている。
 ただ、将来はやはり翼を支えたい。翼がどういう道を進むのかはまだわからないが、どういう道であれ何かしらの方法で支えることはできるはずだ——などとまだ言うわけにはいかないが。
「いいのよ、好きな職業についても」
 ふと吐息まじりの脱力した声が聞こえた。
 どういう意味なのかはかりかねてチラリと横目で窺うと、桔梗は顔を火照らせてうつむき加減になっていた。水面を見つめたままゆっくりと呼吸をしてから、ぼんやりとした声で言葉を継ぐ。
「もちろん、西園寺グループに入って私を補佐してくれればありがたいけれど……そこにはこだわらないわ。何なら仕事上のパートナーとして翼を支えてもらっても構わない。それでも……わた、し、を……」
 消えゆくように声が小さくなって途切れたかと思うと、じゃぶ、と湯をかき分けるような音とともに、やわらかな体が創真にもたれかかってきた。
「ちょっ……え、桔梗さん?!」
 その感触にあたふたとしながら押し返そうとしたが、どうにも様子がおかしい。よく見ると顔も体も火照っており、呼吸も苦しげで、座ることもままならないくらいぐったりとしていた。

「本当に、ごめんなさい……」
 桔梗は露天風呂の脇に置かれていたデッキチェアに仰向けになったまま、弱々しく謝罪した。体には白いバスタオルが掛けてある。まだ服を着られる状態ではないので創真が備え付けのものを持ってきたのだ。
「これ、飲めますか?」
「ええ……」
 キャップを開けたペットボトルの天然水をひざまずいて差し出すと、彼女はバスタオルを胸元で押さえながらよろりと体を起こして受け取り、何口か飲んで息をついた。
「ありがとう。もう大丈夫よ」
「部屋に戻りますか?」
「もうすこしここにいるわ」
 そう答え、ペットボトルを返して再びデッキチェアに仰向けになった。
 おそらく彼女はのぼせたのだろう。それほど長く入っていたわけではないが、湯がだいぶ熱かったので無理もない。幸い意識はあったので、ひとまずここで休ませて様子を見ることにしたのだ。
 創真はペットボトルのキャップを閉め、彼女のほうを向いたまま隣のデッキチェアに腰掛ける。腰にタオルを巻いただけなのでいささか肌寒くは感じるが、まだそこまで体は冷えていない。
「ねえ、創真くん」
「はい」
「…………」
 桔梗は口を閉ざしたまま次第に気まずげな表情になり、顔をそむけた。透き通るような白い肌はまだほんのりと紅潮している。気にはなるが、だからといってあまり無神経に催促することもできない。
 創真は手にしていたペットボトルのキャップを開けて喉を潤し、そっと息をつく。
「オレ、桔梗さんと今日ここへ来たことは後悔してないんで」
「……そう……それならよかったわ」
 顔をそむけたまま、彼女はどこか堪えるような声でそう答えた。
 胸元でバスタオルを押さえていた手がそっと握り込まれていく。ほんのすこしだけバスタオルを巻き込みながら。気のせいか、そのすらりとした指先がかすかに震えているように見えた。
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