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第9話 妻の役目
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「兄さん、ひさしぶりだね! 会いたかった!」
ノックもなくアイザックの部屋に突撃してきたのは、弟のショーンだ。
満面の笑みで、ふんわりとしたやわらかい栗毛を揺らしながら、抱きつかんばかりに大きく両手を広げて駆け寄ってくる。アイザックは椅子に腰掛けたまま無表情で嘆息するものの、毎度のことなのでいまさらだ。
「おまえ父上に呼ばれたんだろう」
「あとで行くよ。まずは兄さんの顔を見たくってさ」
「そうか……」
ショーンは近衛騎士で、普段は王宮近くの宿舎に住んでいるのだが、今日は父に呼ばれて一時帰宅することになっていた。以前は呼ばなくても頻繁に帰宅していたのに、ここ数か月はまったく帰宅していなかったのだ。
「元気だった?」
「ああ、おまえも元気そうだな」
「まあね」
そう笑って応じるが、アイザックの左手を一瞥すると顔を曇らせた。
薬指にプラチナの指輪がはまっていることに気付いたのだろう。結婚式では指輪交換をしなかったが、左手薬指なのだから結婚指輪であることは疑いようがない。
「そんなのまでしてるんだ」
「いつのまにか母上が用意していた」
「まるで枷だね」
この結婚を彼はあまりよく思っていない。さすがに対外的には不平不満を表していないと思うが、家では隠そうともしないのだ。アイザックも結婚前は多少同調する気持ちがあったものの、いまはむしろ困る。
「結婚したら指輪をするのは当然だろう」
「王命だから離婚できないんだっけ?」
「……アリアには余計なことを言うなよ」
「わかってるよ」
不満そうに口をとがらせる姿を見ていると心配になるが、もう彼も大人である。こうして釘を刺しておいたことだし、内心はともかく、アリア本人にそれをぶつけるような真似はしないだろう。そう思っていたのだが——。
そのあとしばらくショーンの近況やら雑談やらを聞いていたが、流れで彼をアリアに紹介することにした。
結婚式には参列していたが、式の最中しかいなかったので顔合わせもすませていなかったのだ。もしかすると父もそのために一時帰宅させたのかもしれないが、だとしても夫の自分が紹介するのが筋だろう。
実際に顔を合わせば、この結婚に対する反発もすこしはおさまるかもしれない。そんな思惑もあった。アイザック自身も当初はあまり良くない感情があったが、彼女を知るうちに消えてしまったのだから。
ベルを鳴らして、使用人にアリアを呼んでくるよう指示する。ショーンはあからさまに気乗りしない様子で、必要ないのになどとぶつくさ言っていたが、ほどなくしてアリアが姿を現すと口を閉ざした。
「アリア、弟のショーンだ。近衛騎士をしていて普段は宿舎に住んでいる」
「妻のアリアです」
彼女は緊張をにじませながらもカーテシーを披露し、純白のショートボブをさらりと揺らした。しかし、ショーンは目も合わせずに「ああ」と応じるだけだった。はなから会話をする気などなさそうな感じで。
「ショーン、アリアはわたしの正式な妻であり、スペンサー家の一員だ。尊重しろ」
「尊重はしているつもりです」
無表情のまましれっと言い放つ。
これでも彼なりに一定の譲歩をしたつもりなのかもしれない。だがアイザックとしては許容しがたい態度で、だからといってアリアの面前で言い合えば彼女を傷つけかねず、グッと奥歯を食いしめる。
「……アリア、わざわざ来てもらってすまなかった」
「いえ」
本当は挨拶だけでなく雑談でもできればと思っていたが、そういう状況ではない。アリアもそれを察しているのだろう。すこし落ち込んだような面持ちでぺこりとお辞儀をして、部屋をあとにした。
「おまえも公爵家の人間ならいいかげん受け入れろ」
アリアが退出すると、すぐにアイザックは腕を組んで溜息まじりにそう告げる。それが不満だったのだろう。ショーンはどこかきまり悪そうに目をそらしながら、拗ねたように口をとがらせた。
「貧乏くじをひかされたのに平然と受け入れられる兄さんとは違って、僕は人間ができてないんだ。だいたい厄災と言われている相手をまえにしたら警戒するのが普通だろ」
ショーンの言い分もわからなくはない。
生まれたばかりのアリアが始末されることになったのも、厄災を警戒したからだ。占いを信じるひともいるし、そうでなくても不吉なことを言われれば気にするひとは少なくない。それでも——。
「アリアは厄災などではない」
「兄さんや母さんは占いを信じてないんだろうけど、それなりに当たるから重宝されてきたわけだろ。実際、兄さんにとってあれはもう完全に厄災じゃないか」
挑むような濃青色の瞳がアイザックを射抜く。
「あの子さえいなければ、兄さんがこんな無理な結婚をさせられることはなかった。確かに顔はきれいだし、将来は美人になるんだろうなって思うけどさ。妻の役目も果たせないような年端もいかない子供を妻になんておかしいだろ」
「何年か待てばいいだけのことだ」
きっぱり言い返すと、ショーンは何ともいえない微妙な顔になった。
「兄さんのことだからあの子が成人するまで生真面目に待つんだろうね。だからこそなおさら不憫だよ。シェフィールド公爵家としても一刻も早く跡継ぎがほしいはずだし、いっそ妾でも作ればいいんじゃない?」
「余計なお世話だ」
たとえ当主たる父が勧めたとしても応じるつもりはない。無理やり嫁がされたアリアのことを思えばできるわけがないし、アイザック自身も望んでいない。そんな強い拒絶の意思を感じ取ってかショーンは肩をすくめる。
「妾はともかく、一夜の相手が必要なら相談に乗るよ」
「余計なお世話だと言っている」
絶対零度のまなざしにも動じず、彼は軽く笑いながら「じゃあね」と部屋を出て行った。
アイザックはひとりになった自室でぐったりと溜息をつき、椅子に腰を下ろす。弟にそんな下世話なことを言われて何気に衝撃を受けたし、彼の異性関係は大丈夫なのだろうかとだいぶ心配になった。
その日の夕食にはショーンも同席した。
いつもは独特の静けさがあるのに、彼がいるだけでどういうわけかパッと明るくなる。特に今日は久々の一時帰宅ということで積もる話もあった。ただ、あいかわらずアリアにだけは目を向けようともしない——。
「ショーン、あなたアリアと顔合わせはしたのよね?」
「はい、兄さんに紹介してもらいました」
アリアに言及したのもたったこれだけだ。
母もおそらく避けていることには気付いていると思うが、この場では指摘しなかった。アリアにいたたまれない思いをさせたくなかったのだろう。
ガチャ——。
寝室へつづく扉を開けると、薄明かりの中、アリアが寝台のうえで膝を抱えているのが見えた。伏せた横顔には純白の髪がかかっているため、表情まではわからない。
「寝ないのか?」
「寝ます」
アリアの就寝時間はとっくに過ぎている。
ずっと眠れず、ここでひとりただじっと膝を抱えていたのだろうか。こんなことならもっと早く来ればよかった。そう後悔しつつ寝台に上がると、彼女も顔を隠すかのように背を向けながら横になった。
「……あの」
静寂にかぼそい声が落とされる。
横目をやると、そのときはまだ背を向けたままだった彼女が、もぞりと身じろぎして体ごとこちらに向きなおった。澄んだアクアマリンの瞳がおずおずとアイザックを捉える。
「ショーン様との会話をすこし聞いてしまいました」
「会話?」
「えっと、わたしがショーン様にご挨拶して退出したあと、お二人だけでしていた会話です」
ショーンが厄災だと喚いていたあれか——。
アリアが退出してすぐに話していたし、アイザックはともかくショーンの声はけっこう大きかった。厄災という言葉が聞こえて思わず足を止めてしまったのだろう。アイザックはうっすら眉を寄せる。
「嫌な思いをさせてすまなかった。あいつは昔から心配性なところがある。気にするなといっても難しいだろうが、気にしないでほしい」
「はい……」
そう返事をしつつも、彼女はまだ何か言いたそうに視線をさまよわせた。しばらく逡巡したあと、意を決したようにまっすぐアイザックを見つめる。薄明かりを受けてアクアマリンの瞳がきらめいた。
「わたし、大人になったらちゃんと妻の役目を果たします。立派な跡継ぎを生めるように頑張ります。だから……そのときまで待っていてもらえますか?」
「あ……ああ……」
厄災と言われたことを気にしているのかと思ったら、そっちだとは。
思い返せば、あのときはかなり下世話なことまで話していた。彼女がどこまで理解して言っているのかはわからないが、こんなことを訴えるくらい不安にさせたのだと思うと、ひどく申し訳ない気持ちになる。
「妾など作らない」
まっすぐ見つめ返してそう告げた。
それを聞いた彼女の顔には安堵の色が浮かんだが、同時に自責の念もにじんでいるように見えた。しかし彼女が責任を感じる必要などまったくない。
「言われるまでもなくそのつもりだった」
「……はい」
彼女は顔を伏せ、そのまま甘えるように胸元に頭を寄せてきた。その小ぶりな頭にアイザックはそっと手をのせる。ほのかなぬくもりが融け合うのを感じているうちに、いつしか彼女は静かに寝息を立てていた。
ノックもなくアイザックの部屋に突撃してきたのは、弟のショーンだ。
満面の笑みで、ふんわりとしたやわらかい栗毛を揺らしながら、抱きつかんばかりに大きく両手を広げて駆け寄ってくる。アイザックは椅子に腰掛けたまま無表情で嘆息するものの、毎度のことなのでいまさらだ。
「おまえ父上に呼ばれたんだろう」
「あとで行くよ。まずは兄さんの顔を見たくってさ」
「そうか……」
ショーンは近衛騎士で、普段は王宮近くの宿舎に住んでいるのだが、今日は父に呼ばれて一時帰宅することになっていた。以前は呼ばなくても頻繁に帰宅していたのに、ここ数か月はまったく帰宅していなかったのだ。
「元気だった?」
「ああ、おまえも元気そうだな」
「まあね」
そう笑って応じるが、アイザックの左手を一瞥すると顔を曇らせた。
薬指にプラチナの指輪がはまっていることに気付いたのだろう。結婚式では指輪交換をしなかったが、左手薬指なのだから結婚指輪であることは疑いようがない。
「そんなのまでしてるんだ」
「いつのまにか母上が用意していた」
「まるで枷だね」
この結婚を彼はあまりよく思っていない。さすがに対外的には不平不満を表していないと思うが、家では隠そうともしないのだ。アイザックも結婚前は多少同調する気持ちがあったものの、いまはむしろ困る。
「結婚したら指輪をするのは当然だろう」
「王命だから離婚できないんだっけ?」
「……アリアには余計なことを言うなよ」
「わかってるよ」
不満そうに口をとがらせる姿を見ていると心配になるが、もう彼も大人である。こうして釘を刺しておいたことだし、内心はともかく、アリア本人にそれをぶつけるような真似はしないだろう。そう思っていたのだが——。
そのあとしばらくショーンの近況やら雑談やらを聞いていたが、流れで彼をアリアに紹介することにした。
結婚式には参列していたが、式の最中しかいなかったので顔合わせもすませていなかったのだ。もしかすると父もそのために一時帰宅させたのかもしれないが、だとしても夫の自分が紹介するのが筋だろう。
実際に顔を合わせば、この結婚に対する反発もすこしはおさまるかもしれない。そんな思惑もあった。アイザック自身も当初はあまり良くない感情があったが、彼女を知るうちに消えてしまったのだから。
ベルを鳴らして、使用人にアリアを呼んでくるよう指示する。ショーンはあからさまに気乗りしない様子で、必要ないのになどとぶつくさ言っていたが、ほどなくしてアリアが姿を現すと口を閉ざした。
「アリア、弟のショーンだ。近衛騎士をしていて普段は宿舎に住んでいる」
「妻のアリアです」
彼女は緊張をにじませながらもカーテシーを披露し、純白のショートボブをさらりと揺らした。しかし、ショーンは目も合わせずに「ああ」と応じるだけだった。はなから会話をする気などなさそうな感じで。
「ショーン、アリアはわたしの正式な妻であり、スペンサー家の一員だ。尊重しろ」
「尊重はしているつもりです」
無表情のまましれっと言い放つ。
これでも彼なりに一定の譲歩をしたつもりなのかもしれない。だがアイザックとしては許容しがたい態度で、だからといってアリアの面前で言い合えば彼女を傷つけかねず、グッと奥歯を食いしめる。
「……アリア、わざわざ来てもらってすまなかった」
「いえ」
本当は挨拶だけでなく雑談でもできればと思っていたが、そういう状況ではない。アリアもそれを察しているのだろう。すこし落ち込んだような面持ちでぺこりとお辞儀をして、部屋をあとにした。
「おまえも公爵家の人間ならいいかげん受け入れろ」
アリアが退出すると、すぐにアイザックは腕を組んで溜息まじりにそう告げる。それが不満だったのだろう。ショーンはどこかきまり悪そうに目をそらしながら、拗ねたように口をとがらせた。
「貧乏くじをひかされたのに平然と受け入れられる兄さんとは違って、僕は人間ができてないんだ。だいたい厄災と言われている相手をまえにしたら警戒するのが普通だろ」
ショーンの言い分もわからなくはない。
生まれたばかりのアリアが始末されることになったのも、厄災を警戒したからだ。占いを信じるひともいるし、そうでなくても不吉なことを言われれば気にするひとは少なくない。それでも——。
「アリアは厄災などではない」
「兄さんや母さんは占いを信じてないんだろうけど、それなりに当たるから重宝されてきたわけだろ。実際、兄さんにとってあれはもう完全に厄災じゃないか」
挑むような濃青色の瞳がアイザックを射抜く。
「あの子さえいなければ、兄さんがこんな無理な結婚をさせられることはなかった。確かに顔はきれいだし、将来は美人になるんだろうなって思うけどさ。妻の役目も果たせないような年端もいかない子供を妻になんておかしいだろ」
「何年か待てばいいだけのことだ」
きっぱり言い返すと、ショーンは何ともいえない微妙な顔になった。
「兄さんのことだからあの子が成人するまで生真面目に待つんだろうね。だからこそなおさら不憫だよ。シェフィールド公爵家としても一刻も早く跡継ぎがほしいはずだし、いっそ妾でも作ればいいんじゃない?」
「余計なお世話だ」
たとえ当主たる父が勧めたとしても応じるつもりはない。無理やり嫁がされたアリアのことを思えばできるわけがないし、アイザック自身も望んでいない。そんな強い拒絶の意思を感じ取ってかショーンは肩をすくめる。
「妾はともかく、一夜の相手が必要なら相談に乗るよ」
「余計なお世話だと言っている」
絶対零度のまなざしにも動じず、彼は軽く笑いながら「じゃあね」と部屋を出て行った。
アイザックはひとりになった自室でぐったりと溜息をつき、椅子に腰を下ろす。弟にそんな下世話なことを言われて何気に衝撃を受けたし、彼の異性関係は大丈夫なのだろうかとだいぶ心配になった。
その日の夕食にはショーンも同席した。
いつもは独特の静けさがあるのに、彼がいるだけでどういうわけかパッと明るくなる。特に今日は久々の一時帰宅ということで積もる話もあった。ただ、あいかわらずアリアにだけは目を向けようともしない——。
「ショーン、あなたアリアと顔合わせはしたのよね?」
「はい、兄さんに紹介してもらいました」
アリアに言及したのもたったこれだけだ。
母もおそらく避けていることには気付いていると思うが、この場では指摘しなかった。アリアにいたたまれない思いをさせたくなかったのだろう。
ガチャ——。
寝室へつづく扉を開けると、薄明かりの中、アリアが寝台のうえで膝を抱えているのが見えた。伏せた横顔には純白の髪がかかっているため、表情まではわからない。
「寝ないのか?」
「寝ます」
アリアの就寝時間はとっくに過ぎている。
ずっと眠れず、ここでひとりただじっと膝を抱えていたのだろうか。こんなことならもっと早く来ればよかった。そう後悔しつつ寝台に上がると、彼女も顔を隠すかのように背を向けながら横になった。
「……あの」
静寂にかぼそい声が落とされる。
横目をやると、そのときはまだ背を向けたままだった彼女が、もぞりと身じろぎして体ごとこちらに向きなおった。澄んだアクアマリンの瞳がおずおずとアイザックを捉える。
「ショーン様との会話をすこし聞いてしまいました」
「会話?」
「えっと、わたしがショーン様にご挨拶して退出したあと、お二人だけでしていた会話です」
ショーンが厄災だと喚いていたあれか——。
アリアが退出してすぐに話していたし、アイザックはともかくショーンの声はけっこう大きかった。厄災という言葉が聞こえて思わず足を止めてしまったのだろう。アイザックはうっすら眉を寄せる。
「嫌な思いをさせてすまなかった。あいつは昔から心配性なところがある。気にするなといっても難しいだろうが、気にしないでほしい」
「はい……」
そう返事をしつつも、彼女はまだ何か言いたそうに視線をさまよわせた。しばらく逡巡したあと、意を決したようにまっすぐアイザックを見つめる。薄明かりを受けてアクアマリンの瞳がきらめいた。
「わたし、大人になったらちゃんと妻の役目を果たします。立派な跡継ぎを生めるように頑張ります。だから……そのときまで待っていてもらえますか?」
「あ……ああ……」
厄災と言われたことを気にしているのかと思ったら、そっちだとは。
思い返せば、あのときはかなり下世話なことまで話していた。彼女がどこまで理解して言っているのかはわからないが、こんなことを訴えるくらい不安にさせたのだと思うと、ひどく申し訳ない気持ちになる。
「妾など作らない」
まっすぐ見つめ返してそう告げた。
それを聞いた彼女の顔には安堵の色が浮かんだが、同時に自責の念もにじんでいるように見えた。しかし彼女が責任を感じる必要などまったくない。
「言われるまでもなくそのつもりだった」
「……はい」
彼女は顔を伏せ、そのまま甘えるように胸元に頭を寄せてきた。その小ぶりな頭にアイザックはそっと手をのせる。ほのかなぬくもりが融け合うのを感じているうちに、いつしか彼女は静かに寝息を立てていた。
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