処刑の日

うっくつくん

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処刑の日

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その日、この街の市民は皆一様にどこか浮き足だっていました。今日はある女が処刑される日なのです。
たいそうな娯楽のないこの町では、処刑は一種の娯楽でした。

女の刑が執行される時間になると、刑場のある広場は見物人でごったがえしていました。
 「押すな押すな」 「もっと前にいけ」
まるでサーカスでもみるかのように、人々は大騒ぎしていました。
その騒ぎが、突然ピタリと止みました。
女が現われたのです。
ぼろきれのようなワンピース以外は何も纏っていない女でしたが、その顔はどこか誇らしげでした。
顔をツンと上にやり、スタスタと歩く姿は、これから処刑される人にはまるで見えませんでした。
見物人は、肩すかしを食らったような気持ちになりました。


女が首切り台の所までやってきました。もうそろそろ首が切られるのです。
見物人の気持ちも、また、高まってきました。

その女は嫌がる素振りもなく、ただ黙って執行人の指示に従っています。
首が切られる。女の首が。
市民は皆、沸き立つ喜びが抑えられませんでした。

ある者は大声で笑いました。ある者は、ひっそりと口角を上げました。

「最後に言い残すことはないか」
執行人は女に尋ねました。

女はか細い声でこう言いました。
「私は、何も言い残す事はないのです。ただ、何も言わないでいくのも嫌なのです。
 だから、ただ、これだけは言っておきます。
 私、死ねてよかった。こんな世界なら、もう、死んだ方がいいじゃない」
女は、笑っていました。




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