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3節 謎を紐解けば
第9話 身震い
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図書館から出ると、ガス灯の柱の下で待たせていたヨグイーと遊ぶエルゴを見つけた。
いくら姿が変わっても、中身は何も変わっていなかった。
「ダハハハ! くすぐってぇ!」
「バウバウ!」
「…はぁ。エルゴ、遊ぶ前にやることあるだろ?」
「え? 何かあったっけか?」
ヨグイーに舐められながら、エルゴは笑いながらそう尋ね返してくる。可愛いとは思うが、そこで怯むわけにはいかない。
「あのなぁ、お前が壊したんだろ? だから…」
ダメだ、それじゃ面白くねぇ。迷惑かけたなら、最後の最後まで迷惑かけるのが俺流だ。
責任とかそういうのは、いざってときだけだ。故意で壊したわけじゃねぇし、責任責任って常に考えてるのもつまんねぇしな。
「だから…?」
「だから、気にせず遊んで良いぜ。そのままのエルゴで良い」
「分かったぜ父ちゃん! じゃ、一緒に遊ぼうぜ!」
「あぁ、良いぜ! それなら、かけっこだ! 負けたら夕飯なしだぜ!」
そう言うだけ言って、俺はエルゴより先に走り出した。親子でいられる時間を噛み締められるように。
親っていうものは、こういう時間もきっと大切にするものなんだと思う。ズルしたり、イジワルしたり。俺の大得意なことだ、そういう時間なんてたくさん作れる。
「待て父ちゃん! ズルいぞ~っ!」
「油断大敵だぜエルゴ! ってうわっ⁉︎」
後ろを見ながら走っていたせいで、俺は歩いていた誰かの腹にぶつかった。俺の身長で腹に? どれだけ大きいやつにぶつか…。
「≪貴様、前を向いて歩け。此度は初の事故ゆえに許すが、2度はないぞ≫」
「≪あ、あぁ。悪かった≫」
俺の身長の1.5倍くらいありそうな、やけに真白い毛をした獣人が俺に向かってそう言った。
紫色の瞳は、俺を吸い込むかのように大きく、ソイツが放つプレッシャーは俺も今まで感じたことがないほどに重苦しかった。
「≪では。今日は満月、気をつけて≫」
「満月…。≪お前、何か知っているのか?≫」
「≪今起きている異変は満月に関係している。これは常識だ。到底、放浪人には分からないかもだがな≫」
上から目線の言葉に俺は腹を立てたが、なぜか逆らってはいけないと、俺の本能がそう言い聞かせている。
それだけのプレッシャーを感じさせるのはたしかだが、まるで殺気のようなものも感じられる。この鋭い目、一体なんなんだ?
「父ちゃん、追いついたぜ! って、ここがゴールか?」
「エルゴ。まだ先だぜ」
「んじゃ、お先!」
「≪待った。街中を走り回るな≫」
「ん? 誰だ、おっさん」
ちょ、おい! こんなやつをおっさん呼ばわりしちゃいけんって! 殺されかねんぞ!
「≪? チンチクリンな言葉を使うドラゴンだな。おいお前、コイツの言葉分かるか?≫
あ、そうか。翻訳機がねぇから、何喋ってんのか分からんのか。良かった~。
「≪いやぁ、別になんでもないです。それじゃあ、俺たちもう行くんで。さよなら!≫」
俺はエルゴの手を引いて、懸命に走った。分からねぇが、アイツと関わるのはよしたほうが良い。
この俺が身震いするほどだ。あんなやつ、初めてだぜ。
「≪ふっ、面白いやつだ。エルゴという名のドラゴンと、父ちゃんと呼ばれるあの青年…。あやつら、我の養分とさせてもらおうぞ≫」
いくら姿が変わっても、中身は何も変わっていなかった。
「ダハハハ! くすぐってぇ!」
「バウバウ!」
「…はぁ。エルゴ、遊ぶ前にやることあるだろ?」
「え? 何かあったっけか?」
ヨグイーに舐められながら、エルゴは笑いながらそう尋ね返してくる。可愛いとは思うが、そこで怯むわけにはいかない。
「あのなぁ、お前が壊したんだろ? だから…」
ダメだ、それじゃ面白くねぇ。迷惑かけたなら、最後の最後まで迷惑かけるのが俺流だ。
責任とかそういうのは、いざってときだけだ。故意で壊したわけじゃねぇし、責任責任って常に考えてるのもつまんねぇしな。
「だから…?」
「だから、気にせず遊んで良いぜ。そのままのエルゴで良い」
「分かったぜ父ちゃん! じゃ、一緒に遊ぼうぜ!」
「あぁ、良いぜ! それなら、かけっこだ! 負けたら夕飯なしだぜ!」
そう言うだけ言って、俺はエルゴより先に走り出した。親子でいられる時間を噛み締められるように。
親っていうものは、こういう時間もきっと大切にするものなんだと思う。ズルしたり、イジワルしたり。俺の大得意なことだ、そういう時間なんてたくさん作れる。
「待て父ちゃん! ズルいぞ~っ!」
「油断大敵だぜエルゴ! ってうわっ⁉︎」
後ろを見ながら走っていたせいで、俺は歩いていた誰かの腹にぶつかった。俺の身長で腹に? どれだけ大きいやつにぶつか…。
「≪貴様、前を向いて歩け。此度は初の事故ゆえに許すが、2度はないぞ≫」
「≪あ、あぁ。悪かった≫」
俺の身長の1.5倍くらいありそうな、やけに真白い毛をした獣人が俺に向かってそう言った。
紫色の瞳は、俺を吸い込むかのように大きく、ソイツが放つプレッシャーは俺も今まで感じたことがないほどに重苦しかった。
「≪では。今日は満月、気をつけて≫」
「満月…。≪お前、何か知っているのか?≫」
「≪今起きている異変は満月に関係している。これは常識だ。到底、放浪人には分からないかもだがな≫」
上から目線の言葉に俺は腹を立てたが、なぜか逆らってはいけないと、俺の本能がそう言い聞かせている。
それだけのプレッシャーを感じさせるのはたしかだが、まるで殺気のようなものも感じられる。この鋭い目、一体なんなんだ?
「父ちゃん、追いついたぜ! って、ここがゴールか?」
「エルゴ。まだ先だぜ」
「んじゃ、お先!」
「≪待った。街中を走り回るな≫」
「ん? 誰だ、おっさん」
ちょ、おい! こんなやつをおっさん呼ばわりしちゃいけんって! 殺されかねんぞ!
「≪? チンチクリンな言葉を使うドラゴンだな。おいお前、コイツの言葉分かるか?≫
あ、そうか。翻訳機がねぇから、何喋ってんのか分からんのか。良かった~。
「≪いやぁ、別になんでもないです。それじゃあ、俺たちもう行くんで。さよなら!≫」
俺はエルゴの手を引いて、懸命に走った。分からねぇが、アイツと関わるのはよしたほうが良い。
この俺が身震いするほどだ。あんなやつ、初めてだぜ。
「≪ふっ、面白いやつだ。エルゴという名のドラゴンと、父ちゃんと呼ばれるあの青年…。あやつら、我の養分とさせてもらおうぞ≫」
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