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2章 迷猫編
第12話 盗み
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翌日。僕は寮のカーテンの木漏れ日に目を覚ます。だけど、なんだか肌寒い。ていうか、背中が痛い。と、思ったら布団が、ベッドが……
「ない⁉︎」
部屋のどこを探しても、布団どころかベッドもない。ていうか、何にもない。本棚も、大学用の鞄さえも。
鞄がないのは非常にまずい。電車の定期券とか携帯電話端末も入ってるのに。ってあれ?
「ポケットに入りっぱなし……良かったぁ」
とりあえずチャットアプリで、「泥棒入られた!」とログを送った。すると即既読がつき、俺も私もという声が上がり、一旦いつものカフェで集まろうという話になった。
~喫茶店~
僕達は窓際の席に着き、何を盗まれたかをまとめて共通点を見つけ出すことにした。
でも、どうやら全員僕と同じく部屋のもの全部盗まれているらしい。
「えぇ……」
「私の家を知ってるのはモスイさんかドラバースだけ……」
「俺にいたってはドラバースだけだ」
「エリスのお家はドラバース以外誰も知らないはずだよ?」
「僕はテイラか寮の人かなぁ」
容疑者が僕だけ一致しない。でもほぼ一致しているとすればドラバースかモスイさんということになるかな。
でもドラバースは行方知らずだからモスイさんになる? でもこんなイタズラを仕掛ける理由が思いつかない。
『ドラバース……?』
僕達の後ろの席から、僕達にそう問いかけてくるような、弱々しく情けない声がした。
もしかしたらドラバースの行方不明騒動に混乱しているファンの人かなと思っていると、僕達の席に後ろの席に座る人だと思われる男性がこちらへ訪れた。
金髪でガタイのいい体。僕はその姿に言葉を失った。いや、僕だけじゃない。全員だ。
だって、消えたはずのドラバースが、今目の前にいるのだから。
「ドラバース……そう、呼ばれていた記憶がある」
「え、もしかして……」
「記憶喪失⁉︎」
「おい、一旦保護する。帝防まで連れて行く」
「帝防?」
「帝都防衛華荘団でしょ? 略して帝防」
略称で呼ぶんだ。まあ、対亡霊迎撃部隊・帝都防衛華荘団色組って長ったらしいし、略して当然か。
そして、モスイさんに連絡を入れ、僕達は急いで勘定し、彼を連れて帝防の本部があるモール裏へと一目散に駆け込んだ。
すると、モスイさんの左右に見知らぬ2人が立っていた。
右の人は青色のアップバングの髪に、鋭く黒い瞳をした、青のライダースジャケットとダメージジーンズを着こなすイカつい男。
左にはピンク色のポニーテールをした丸いピンクの瞳をした、白のロゴ入りTシャツと茶色の布製のベスト、白のハーフスカートを履いた女性だ。
「ふむ。検査が必要だな。ランマル、戦闘力の調査」
「了解した」
「マッチュは身体検査を頼む」
「はい」
どうやら男はランマル、女性はマッチュというらしい。
「じゃあドラバース。まずは身体検査からね」
「あ、あぁ……」
ぎこちない返事しかしないドラバースに、僕は不安を覚えて仕方がなかった。
「あ、あぼ! 僕にも、お手伝いできることないですか?」
そう尋ねる僕に、全員がキョトンとしたように瞼をまんまるにして僕をじっと見つめる。
「え、えっと……」
「いや、ビックリしただけだ」
「今まで事務員に任せてばっかりだったもんね」
「でも知識もないのにどうやってやるつもりだ? まさか思いつきで行動しようってなわけじゃねぇよな?」
「え、ダメですか⁈」
モスイさんの言い方だと、僕の思いつきの提案は却下されそうで、僕はつい反論するかのような大声を返してしまった。
「……まったく。これを戦闘と考えてみろ。知識なしに無理矢理突っ込めば、余計な被害が増えるだけだ。それと同じだぜ」
「うっ……でも……」
「へっ、分かるぜ、お前の気持ちはよ。だから、手取り足取り教えてもらえ。それくれぇはできるよな?」
「はい!」 「当然だ」
モスイさんの親切な思いやりに、僕は笑みをこぼした。そうして、僕とランマル、マッチュの3人で検査は始まった--。
「ない⁉︎」
部屋のどこを探しても、布団どころかベッドもない。ていうか、何にもない。本棚も、大学用の鞄さえも。
鞄がないのは非常にまずい。電車の定期券とか携帯電話端末も入ってるのに。ってあれ?
「ポケットに入りっぱなし……良かったぁ」
とりあえずチャットアプリで、「泥棒入られた!」とログを送った。すると即既読がつき、俺も私もという声が上がり、一旦いつものカフェで集まろうという話になった。
~喫茶店~
僕達は窓際の席に着き、何を盗まれたかをまとめて共通点を見つけ出すことにした。
でも、どうやら全員僕と同じく部屋のもの全部盗まれているらしい。
「えぇ……」
「私の家を知ってるのはモスイさんかドラバースだけ……」
「俺にいたってはドラバースだけだ」
「エリスのお家はドラバース以外誰も知らないはずだよ?」
「僕はテイラか寮の人かなぁ」
容疑者が僕だけ一致しない。でもほぼ一致しているとすればドラバースかモスイさんということになるかな。
でもドラバースは行方知らずだからモスイさんになる? でもこんなイタズラを仕掛ける理由が思いつかない。
『ドラバース……?』
僕達の後ろの席から、僕達にそう問いかけてくるような、弱々しく情けない声がした。
もしかしたらドラバースの行方不明騒動に混乱しているファンの人かなと思っていると、僕達の席に後ろの席に座る人だと思われる男性がこちらへ訪れた。
金髪でガタイのいい体。僕はその姿に言葉を失った。いや、僕だけじゃない。全員だ。
だって、消えたはずのドラバースが、今目の前にいるのだから。
「ドラバース……そう、呼ばれていた記憶がある」
「え、もしかして……」
「記憶喪失⁉︎」
「おい、一旦保護する。帝防まで連れて行く」
「帝防?」
「帝都防衛華荘団でしょ? 略して帝防」
略称で呼ぶんだ。まあ、対亡霊迎撃部隊・帝都防衛華荘団色組って長ったらしいし、略して当然か。
そして、モスイさんに連絡を入れ、僕達は急いで勘定し、彼を連れて帝防の本部があるモール裏へと一目散に駆け込んだ。
すると、モスイさんの左右に見知らぬ2人が立っていた。
右の人は青色のアップバングの髪に、鋭く黒い瞳をした、青のライダースジャケットとダメージジーンズを着こなすイカつい男。
左にはピンク色のポニーテールをした丸いピンクの瞳をした、白のロゴ入りTシャツと茶色の布製のベスト、白のハーフスカートを履いた女性だ。
「ふむ。検査が必要だな。ランマル、戦闘力の調査」
「了解した」
「マッチュは身体検査を頼む」
「はい」
どうやら男はランマル、女性はマッチュというらしい。
「じゃあドラバース。まずは身体検査からね」
「あ、あぁ……」
ぎこちない返事しかしないドラバースに、僕は不安を覚えて仕方がなかった。
「あ、あぼ! 僕にも、お手伝いできることないですか?」
そう尋ねる僕に、全員がキョトンとしたように瞼をまんまるにして僕をじっと見つめる。
「え、えっと……」
「いや、ビックリしただけだ」
「今まで事務員に任せてばっかりだったもんね」
「でも知識もないのにどうやってやるつもりだ? まさか思いつきで行動しようってなわけじゃねぇよな?」
「え、ダメですか⁈」
モスイさんの言い方だと、僕の思いつきの提案は却下されそうで、僕はつい反論するかのような大声を返してしまった。
「……まったく。これを戦闘と考えてみろ。知識なしに無理矢理突っ込めば、余計な被害が増えるだけだ。それと同じだぜ」
「うっ……でも……」
「へっ、分かるぜ、お前の気持ちはよ。だから、手取り足取り教えてもらえ。それくれぇはできるよな?」
「はい!」 「当然だ」
モスイさんの親切な思いやりに、僕は笑みをこぼした。そうして、僕とランマル、マッチュの3人で検査は始まった--。
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