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サブストーリー 君の手を引く笑顔
第4話 誰かを救えるのであれば
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食事も終えて、一旦解散することが決まった。エドの社宅までは帰路も同じだし、そこまでは一緒にいることのした。
そうして商店街のアーチをくぐり抜けようとしたときだった--。
「……ナックラーさんって、しつこいっすよね」
「ん、そうか? ガッハッハ! 悪りぃ、自覚ねぇや」
しつこい、とはよく言われる。俺自身は全くそうだとは思ってねぇけどな。暑苦しいほど構ってくれたほうが俺にとっちゃ嬉しいって思えるからかもしれんがな。
『誰か来てくれ~~っ!』
「「っ⁉︎」」
銀行のほうから男の叫び声が響き渡った。それと同時になにやら発砲のような音もする。
「エド、急げっ!」
「……嫌っす」
「なっ……」
俺と一緒に過ごしていたエドはどこへ消えたのか。その瞳はさっきまでの光を消し、濁り切っていた。
「人間を救う気はないっす。行きたいなら1人でどうぞっすよ」
「……オメェ、自分が今、どういう立場か分かってんのか⁈」
俺は痺れを切らしてエドに怒鳴りつけた。今思えば、正直エドに対して何も思ってねぇ説教になっちまってた。
「目の前に助けを求めてるやつを無視するのか⁉︎ エド、お前ならそういうやつの気持ちが分かると思ってたのに期待外れだったぜ。もうお前は俺に顔を見せるな、良いなっ⁉︎」
言いたい放題言っておいて、俺はエドを置いて助けを求める人がいる銀行へと急いだ。
~銀行~
入り口の扉はロックされていたが、猛突進して鍵を壊し、俺は突入した。
中はマスクとサングラスで顔を隠し、ショットガンを構える、どこからどう見ても強盗だと分かる5人組が銀行員や客を人質にして立てこもっていた。
「へっ、なかなか良い装備してるじゃねぇか。さては、どこかに属してるな?」
「黙れ。その風貌……デ・ロアーのファイターだな?」
「しかも、特級ファイター免許持ちのナックルか」
「相手に不足はないって感じだな? おい、せっかくだし上から貰った装置使ってみようぜ」
客の動きを監視していた強盗が、袋に現金を入れている強盗にそう提案していた。これを見るに、現金を入れているやつがこの中でボスなのだろうな。
「ああ、これか? たしか、異次元空間に繋ぐゲートだっけか?」
「そうそう、試してみなよ」
ボスは胸ポケットから立方体の装置を取り出す。それを起動させると、強盗と俺を認証して取り込んだ。
「ここは……そうか、異次元に繋ぐとか……」
まっさらでで何もない砂漠のような場所。雲もない空、ただただ砂だけの地上とが交差し、地平線までもが見えきっているほどだ。
「障害物もないのか」
「ほう、スゲェな」
「人質もいねぇし戦いやすい」
「ん、さっきのやつ発見!」
「ナックルか。面白い相手だ」
強盗もこの異次元空間に現れ、いよいよ戦闘開始……かと、俺も構えた。
だが、その警戒心は、一瞬でかき消された。
『グルル……』
突然どこからか唸り声のような音が響き渡った。しかしどこを見渡しても、そんな音が起きそうなものはない。
それどころか、俺はその音をよく知っていた。
「今のは……アリジゴクの声かっ⁉︎」
ファイターという役職がら、この声は切っても切れないくらいに親しいものだ。
「言われてみれば……やはり、人工アリジゴクだからか?」
「なっ、今人工アリジゴクって言ったか⁉︎」
人工アリジゴク。それは、ファイター界隈の中でのトップレベルのシークレット情報。それをこんな強盗ごときが口走ってるってことは、コイツら……。
「人工アリジゴク計画の関係者か⁉︎」
「関係者っていうか、ただ渡されただけだがな」
「ただ、予想通り危険物だったか」
「どうするよ、解除するか?」
その案に頷き、ボスはあちこちを見回る。しかし、どこにも装置は見当たらない。
「おいおい、どうすんだ⁉︎」
「……お前ら、後先何も考えず行動するからこうなんだぜ?」
あたふたする強盗に呆れながら、俺は諭すことにした。
「さっきお前らよ、異次元に繋ぐゲートつったろ? ならどっかにあるだろうよ、出口が」
「そうか……ゲートを探せば出られるのか」
「そうするしかないか……お前ら、こそばゆいがナックルと協力するぞ」
流石のボスも、プライドより命を優先して俺と力を合わせることにした、まあ、強制的にでもそうするつもりだったが。
この先に待ちわびる死と隣り合わせの運命があるとも知らずに--。
そうして商店街のアーチをくぐり抜けようとしたときだった--。
「……ナックラーさんって、しつこいっすよね」
「ん、そうか? ガッハッハ! 悪りぃ、自覚ねぇや」
しつこい、とはよく言われる。俺自身は全くそうだとは思ってねぇけどな。暑苦しいほど構ってくれたほうが俺にとっちゃ嬉しいって思えるからかもしれんがな。
『誰か来てくれ~~っ!』
「「っ⁉︎」」
銀行のほうから男の叫び声が響き渡った。それと同時になにやら発砲のような音もする。
「エド、急げっ!」
「……嫌っす」
「なっ……」
俺と一緒に過ごしていたエドはどこへ消えたのか。その瞳はさっきまでの光を消し、濁り切っていた。
「人間を救う気はないっす。行きたいなら1人でどうぞっすよ」
「……オメェ、自分が今、どういう立場か分かってんのか⁈」
俺は痺れを切らしてエドに怒鳴りつけた。今思えば、正直エドに対して何も思ってねぇ説教になっちまってた。
「目の前に助けを求めてるやつを無視するのか⁉︎ エド、お前ならそういうやつの気持ちが分かると思ってたのに期待外れだったぜ。もうお前は俺に顔を見せるな、良いなっ⁉︎」
言いたい放題言っておいて、俺はエドを置いて助けを求める人がいる銀行へと急いだ。
~銀行~
入り口の扉はロックされていたが、猛突進して鍵を壊し、俺は突入した。
中はマスクとサングラスで顔を隠し、ショットガンを構える、どこからどう見ても強盗だと分かる5人組が銀行員や客を人質にして立てこもっていた。
「へっ、なかなか良い装備してるじゃねぇか。さては、どこかに属してるな?」
「黙れ。その風貌……デ・ロアーのファイターだな?」
「しかも、特級ファイター免許持ちのナックルか」
「相手に不足はないって感じだな? おい、せっかくだし上から貰った装置使ってみようぜ」
客の動きを監視していた強盗が、袋に現金を入れている強盗にそう提案していた。これを見るに、現金を入れているやつがこの中でボスなのだろうな。
「ああ、これか? たしか、異次元空間に繋ぐゲートだっけか?」
「そうそう、試してみなよ」
ボスは胸ポケットから立方体の装置を取り出す。それを起動させると、強盗と俺を認証して取り込んだ。
「ここは……そうか、異次元に繋ぐとか……」
まっさらでで何もない砂漠のような場所。雲もない空、ただただ砂だけの地上とが交差し、地平線までもが見えきっているほどだ。
「障害物もないのか」
「ほう、スゲェな」
「人質もいねぇし戦いやすい」
「ん、さっきのやつ発見!」
「ナックルか。面白い相手だ」
強盗もこの異次元空間に現れ、いよいよ戦闘開始……かと、俺も構えた。
だが、その警戒心は、一瞬でかき消された。
『グルル……』
突然どこからか唸り声のような音が響き渡った。しかしどこを見渡しても、そんな音が起きそうなものはない。
それどころか、俺はその音をよく知っていた。
「今のは……アリジゴクの声かっ⁉︎」
ファイターという役職がら、この声は切っても切れないくらいに親しいものだ。
「言われてみれば……やはり、人工アリジゴクだからか?」
「なっ、今人工アリジゴクって言ったか⁉︎」
人工アリジゴク。それは、ファイター界隈の中でのトップレベルのシークレット情報。それをこんな強盗ごときが口走ってるってことは、コイツら……。
「人工アリジゴク計画の関係者か⁉︎」
「関係者っていうか、ただ渡されただけだがな」
「ただ、予想通り危険物だったか」
「どうするよ、解除するか?」
その案に頷き、ボスはあちこちを見回る。しかし、どこにも装置は見当たらない。
「おいおい、どうすんだ⁉︎」
「……お前ら、後先何も考えず行動するからこうなんだぜ?」
あたふたする強盗に呆れながら、俺は諭すことにした。
「さっきお前らよ、異次元に繋ぐゲートつったろ? ならどっかにあるだろうよ、出口が」
「そうか……ゲートを探せば出られるのか」
「そうするしかないか……お前ら、こそばゆいがナックルと協力するぞ」
流石のボスも、プライドより命を優先して俺と力を合わせることにした、まあ、強制的にでもそうするつもりだったが。
この先に待ちわびる死と隣り合わせの運命があるとも知らずに--。
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