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〜第6章〜ラドン編
74話「ヘル・シング・ドラクラ」
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「‥‥‥ウーロさんが、二人?」
呆然とした様子でシオンが呟く。
突然と聞こえてきた新たな乱入者の登場に、全員の意識がそちらに向かう。
これは、どういうことだ?何故奴は集会所の扉から姿を現した?というか何故ここにいる?
「っ!。ラス!。」
「何故っ。」
ベタとガマが思わずといった様子で叫ぶ。確かに乱入者の長い尻尾には意識のないラスに巻き付いて、まるで荷物のように運んでいた。
奴は忌々しそうに一瞬だけ二人を睨み付けると、短い足からは考えられないほどの跳躍を行いって屋根の上へと飛んできた。
視界に映り込んだのは緑色の鱗に少し細長い尻尾、我よりも目が鋭い気もするが、それ以外は我とほぼ同じ姿をした子竜。
「よ、ヨルムンガンド様っ!!」
伯爵がその姿を認め、名を叫ぶ。
その名は我も知っていた。数日前に探検中に出会った子竜。自称我の知り合いだと言うが、その正体は謎のまま。
「やぁ、いい汗かいてるね伯爵。痩せられるんじゃない?」
「お戯れもほどほどに、早く助けてください!このままでは私は殺されてしまいます!」
「うーん、それは困るなぁ」
作った感丸出しの口調で「困った困った」と繰り返す。ヨルムンガンドが流れような動作で伯爵から我ら・・・我か?に視線を向けてきた。
「ねぇ、少しだけ待ってくれない?彼らはまだ利用価値があるんだ」
「なら交換といこう。その子を離せ」
元々伯爵を殺そうなど微塵も思っていない。証拠を出し、リメットの領主にでもガルムが事情を話せば然るべき罰が下されるだろう。
だから今ここでなら見逃すのも悪くはない。だが、あたかも人質のようにラスを掴んでいるヨルムンガンドは見逃すことはできん。
「どうしてもかい?」
「そこは譲れん」
「難しいなぁ、この子は大事な鍵だからねー。他にない?」
「ない。いいからその子を離せ。我の知り合いというならば、それくらい譲渡してくれても良いだろう」
我の知り合いという言葉に、シオンたちの表情に驚きが走った。ベタとガマもヨルムンガンドは知らないらしく、目を見開いている。
説明は後にするとして、さてどうしたことか。こやつは人を下等種族としか見ていない典型的な竜だ。
ラスを、人をそんな乱雑に‥‥‥それこそ物のように扱っているのを見れば簡単にわかる。隠そうともしていないのだから。
「ごめんね伯爵、交渉決裂。君を助けられない」
「そ、そんなっ」
「ラスっ!!」
新たな乱入者が現れた。集会所のドアを勢いよく叩き開き、その人物はいつものような冷静そうな顔ではなく、焦燥した余裕のない表情を浮かべていた。
トールマンだ。それに酷い傷も追っている。肩から腕にかけて切り裂かれたような切り傷がある。
彼の背後から、数人のシング族の男が数人でてきて、錯乱しているようにも見えるトールマンを抑え始めた。
「長、落ち着いてください!」
「落ちつけられるか!ラス!ラス!」
顔を動かしながら大きな声で叫ぶトールマンは、次第に屋根の上にいるヨルムンガンドへ目を向ける。憎悪の色が浮かんだ。
「貴様ぁ!ラスを離せ!」
「えぇ、出血で気絶したのにもう起きたの?すごいすごい」
大の大人でも怯えそうな凶悪な表情を浮かべているトールマンに怒鳴られても、ヨルムンガンドは飄々とまるで焦った様子を見せないで、それこそ面白そうに笑う。
「お主がやったのか?彼を傷つけたのは」
「ん?そうだけど」
「ラスを、数日前に誘拐して岩の中に閉じ込めたのも?」
「そうだよ?」
確信した。こいつは生かしておけん。
目的のためなら同胞も犠牲にするだろう。邪悪な気配が滲み出ている。
我が屋根を蹴ると、そこが爆ぜた。
「ラスを返してもらう!」
爪を振るうが、ヨルムンガンドは軽々と避けた。屋根を飛び、別の建物へ移動する。
「どうしてそんなに怒ってるんだい?君に何の害がある?」
「子は、親と共にあるべきだと思っただけだ!!それを壊そうとするお主は見過ごせん!」
特にラスのような良い子はな。
「よく言うよ。自分は捨てたくせに」
不愉快そうにヨルムンガンドの目が歪み、初めて我に敵意を向けた。
次回更新は未定です。すいません
呆然とした様子でシオンが呟く。
突然と聞こえてきた新たな乱入者の登場に、全員の意識がそちらに向かう。
これは、どういうことだ?何故奴は集会所の扉から姿を現した?というか何故ここにいる?
「っ!。ラス!。」
「何故っ。」
ベタとガマが思わずといった様子で叫ぶ。確かに乱入者の長い尻尾には意識のないラスに巻き付いて、まるで荷物のように運んでいた。
奴は忌々しそうに一瞬だけ二人を睨み付けると、短い足からは考えられないほどの跳躍を行いって屋根の上へと飛んできた。
視界に映り込んだのは緑色の鱗に少し細長い尻尾、我よりも目が鋭い気もするが、それ以外は我とほぼ同じ姿をした子竜。
「よ、ヨルムンガンド様っ!!」
伯爵がその姿を認め、名を叫ぶ。
その名は我も知っていた。数日前に探検中に出会った子竜。自称我の知り合いだと言うが、その正体は謎のまま。
「やぁ、いい汗かいてるね伯爵。痩せられるんじゃない?」
「お戯れもほどほどに、早く助けてください!このままでは私は殺されてしまいます!」
「うーん、それは困るなぁ」
作った感丸出しの口調で「困った困った」と繰り返す。ヨルムンガンドが流れような動作で伯爵から我ら・・・我か?に視線を向けてきた。
「ねぇ、少しだけ待ってくれない?彼らはまだ利用価値があるんだ」
「なら交換といこう。その子を離せ」
元々伯爵を殺そうなど微塵も思っていない。証拠を出し、リメットの領主にでもガルムが事情を話せば然るべき罰が下されるだろう。
だから今ここでなら見逃すのも悪くはない。だが、あたかも人質のようにラスを掴んでいるヨルムンガンドは見逃すことはできん。
「どうしてもかい?」
「そこは譲れん」
「難しいなぁ、この子は大事な鍵だからねー。他にない?」
「ない。いいからその子を離せ。我の知り合いというならば、それくらい譲渡してくれても良いだろう」
我の知り合いという言葉に、シオンたちの表情に驚きが走った。ベタとガマもヨルムンガンドは知らないらしく、目を見開いている。
説明は後にするとして、さてどうしたことか。こやつは人を下等種族としか見ていない典型的な竜だ。
ラスを、人をそんな乱雑に‥‥‥それこそ物のように扱っているのを見れば簡単にわかる。隠そうともしていないのだから。
「ごめんね伯爵、交渉決裂。君を助けられない」
「そ、そんなっ」
「ラスっ!!」
新たな乱入者が現れた。集会所のドアを勢いよく叩き開き、その人物はいつものような冷静そうな顔ではなく、焦燥した余裕のない表情を浮かべていた。
トールマンだ。それに酷い傷も追っている。肩から腕にかけて切り裂かれたような切り傷がある。
彼の背後から、数人のシング族の男が数人でてきて、錯乱しているようにも見えるトールマンを抑え始めた。
「長、落ち着いてください!」
「落ちつけられるか!ラス!ラス!」
顔を動かしながら大きな声で叫ぶトールマンは、次第に屋根の上にいるヨルムンガンドへ目を向ける。憎悪の色が浮かんだ。
「貴様ぁ!ラスを離せ!」
「えぇ、出血で気絶したのにもう起きたの?すごいすごい」
大の大人でも怯えそうな凶悪な表情を浮かべているトールマンに怒鳴られても、ヨルムンガンドは飄々とまるで焦った様子を見せないで、それこそ面白そうに笑う。
「お主がやったのか?彼を傷つけたのは」
「ん?そうだけど」
「ラスを、数日前に誘拐して岩の中に閉じ込めたのも?」
「そうだよ?」
確信した。こいつは生かしておけん。
目的のためなら同胞も犠牲にするだろう。邪悪な気配が滲み出ている。
我が屋根を蹴ると、そこが爆ぜた。
「ラスを返してもらう!」
爪を振るうが、ヨルムンガンドは軽々と避けた。屋根を飛び、別の建物へ移動する。
「どうしてそんなに怒ってるんだい?君に何の害がある?」
「子は、親と共にあるべきだと思っただけだ!!それを壊そうとするお主は見過ごせん!」
特にラスのような良い子はな。
「よく言うよ。自分は捨てたくせに」
不愉快そうにヨルムンガンドの目が歪み、初めて我に敵意を向けた。
次回更新は未定です。すいません
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