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第2章~竜と少女たち~
8話「ようこそ城塞都市リメットへ②」
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商人マンドに馬車で運んでもらって一週間ほど経過。我らは無事に城塞都市リメットに到着した。
リメットに辿り着いてまず目にしたものは、その巨大すぎる防壁だ。
壁の高さは20メートルほどだろうか?アメジスト色に輝く宝石のような外壁は、強烈な圧と美しさを感じさせてくれるだろう。
そう。リメットは都市全体を巨大な外壁で囲まれた城塞都市でもあったのだ。
守りが固ければ、そこに集う人の数も増えるだろう。人が行き交うということは物や金の流れも生まれてくる。
ダンジョンがあるという事もあるだろうが、この外壁もリメットの交易を発展させてる要因の1つと言えるハズだ。
「す、すごいですー!!」
シオンは初めて見る巨大な壁に感動している。我とサエラも言葉には出さないが、リメットの美しさに圧倒されていた。
「これが、城塞都市リメット・・・」
無意識にサエラが呟く。偉大な宝石とはよく言ったものだ。外壁をここまで美しく作り出した都市は他にはないだろう。
「昔、人類と魔族が戦争をしていた時代、リメットは前線基地としても使われていたらしい。魔族の強力な軍事魔法や大魔法をことごとく跳ね返したらしいぞ」
マンドがすこし誇らしげに言う。
ん?「かつて」?その言い方だとまるで人と魔族の戦いはすでに終わっているような言い方ではないか。我は近くにいるシオンに小声で話しかけてみた。
「のぅシオンよ。人と魔族の戦争は終結しているのか?」
「え?知らなかったんですか?」
知らんかったわ。
「綺麗だけど、これって何が材料?」
サエラが素朴な疑問を呟きながら、輝く壁を眺める。
疑問の答えをマンドも知らないのか、「う~んなんだろな?」と答えられずにいた。
気になったので調べて見るが。ふむ・・・魔力の濃度が異常に高いな。おそらくこの外壁は魔力を固形化させて作ったものなのだろう。
簡単に言うが、これを作るのにかなりの苦難が重なったに違いない。なんせ都市1つ丸々囲う・・・しかも高さは20メートルという巨大な壁を魔力で作り上げるのだから。
正直800年前の我では、この大きさの壁を実体化させるのにも幅5メートルほどで魔力エネルギーが空になるだろう。
一体どれだけの魔術師が建設に動員されたのだろうか・・・想像など全くできない。
しかしその苦労の甲斐あって、これだけ頑丈な防壁を築き上げる事ができたわけだ。
魔法耐性もかなり高そうだし、難攻不落だなこれは。
「破片とか落ちてませんかねー?」
シオンが壁の根元をキョロキョロ眺めながらそう言う。宝石のように美しいのだから仕方ないが、女子らしく宝石が好きなのだろうか?意外な一面だ。
「高く売れそうですよねー」
シオンお主・・・
一応教えておくか。
「これは魔力でできた壁だからな。破片があってもすぐに空気に溶けて消えるぞ?」
あくまでこの巨大な外壁で魔力が固まっているだけで、小さく砕けてしまったら形を維持するのは難しい。
「なーんだー」
我の説明を聞くと、シオンは我を人形のように抱えたままゴロンと寝転がった。おい、興味なくすの早すぎるだろ。
妹を見習え。サエラなど無表情であってもキラキラとした目でリメットの壁を眺めておるぞ。
「かっこいい・・・大魔法がぶつかった瞬間とか見てみたい」
・・・
☆☆☆☆☆
さてさてそんな事がありつつも、我らは無事に城塞都市リメットに入ることに成功した。
詰所にいた門番たちに随分と奇怪な視線を当てられたが、エルフの娘が二人に子竜が付いてるメンツを見れば誰だって怪しむだろう。
案の定検査を受けたが、別に犯罪をした事もないのでスムーズに入る事ができた。
1つ問題なのが・・・
「さっさと冒険者ギルドで身分証作らないとですねー」
シオンが言う。
そうだ。我らは身分証がなかった。とりあえず仮の身分証を発行してもらったことでリメットに入る事ができたが、明日までに何かしらの書類を提出しなければ追い出されてしまう。
手っ取り早いのは冒険者ギルドの登録である。ギルドカードを手に入れれば、ギルドから身分を証明してもらえる。まぁ証明といっても、「私は冒険者ギルドに所属してます」という事を形にしただけだが。
「それじゃ、ここまでだな。俺の店は商店街の魔道具工房にあるからよ、暇があったら来てくれ」
「マンドさん!お世話になりました!」
「いつかお店、行きます」
「がおー」
マンドが馬車を操縦しながら去っていくのを、我らはそれぞれの言い方で礼を言い、見送った。
お別れもそこそこに、我らの足取りは自然と冒険者ギルドの方面へ向かっていく。
あ、我はシオンに抱えられたままだ。「このまま抱っこしてたいです!」というシオンのお願いされたので運んでもらっている。
うむうむ楽チンである。よきにはからえー
そうして、我らはギルドを目指してリメットを歩き回った。一応目的地は決まっているのだが、ある意味散策に近い形である。
リメットの街並みは外壁のインパクトは違い、これといった特徴はなかった。石かレンガで作られた家々は、頑丈そうな印象とともに無骨さがよく見えた。
結構意外ではあった。かなり大きな都市らしいし、住居それぞれに大きな特徴でもあるかと思っておったが・・・。
「さすが城塞都市。内部も頑丈に作られてる」
サエラが隣でそんな感想を漏らした。ふむ、元々が戦争の前線基地として建造されていたのなら、見た目よりも頑丈さ重視で作ったのも納得がいくが、戦後に建てられた建造物も似たような作りなのは伝統のようなものなのだろうか。
リメットに辿り着いてまず目にしたものは、その巨大すぎる防壁だ。
壁の高さは20メートルほどだろうか?アメジスト色に輝く宝石のような外壁は、強烈な圧と美しさを感じさせてくれるだろう。
そう。リメットは都市全体を巨大な外壁で囲まれた城塞都市でもあったのだ。
守りが固ければ、そこに集う人の数も増えるだろう。人が行き交うということは物や金の流れも生まれてくる。
ダンジョンがあるという事もあるだろうが、この外壁もリメットの交易を発展させてる要因の1つと言えるハズだ。
「す、すごいですー!!」
シオンは初めて見る巨大な壁に感動している。我とサエラも言葉には出さないが、リメットの美しさに圧倒されていた。
「これが、城塞都市リメット・・・」
無意識にサエラが呟く。偉大な宝石とはよく言ったものだ。外壁をここまで美しく作り出した都市は他にはないだろう。
「昔、人類と魔族が戦争をしていた時代、リメットは前線基地としても使われていたらしい。魔族の強力な軍事魔法や大魔法をことごとく跳ね返したらしいぞ」
マンドがすこし誇らしげに言う。
ん?「かつて」?その言い方だとまるで人と魔族の戦いはすでに終わっているような言い方ではないか。我は近くにいるシオンに小声で話しかけてみた。
「のぅシオンよ。人と魔族の戦争は終結しているのか?」
「え?知らなかったんですか?」
知らんかったわ。
「綺麗だけど、これって何が材料?」
サエラが素朴な疑問を呟きながら、輝く壁を眺める。
疑問の答えをマンドも知らないのか、「う~んなんだろな?」と答えられずにいた。
気になったので調べて見るが。ふむ・・・魔力の濃度が異常に高いな。おそらくこの外壁は魔力を固形化させて作ったものなのだろう。
簡単に言うが、これを作るのにかなりの苦難が重なったに違いない。なんせ都市1つ丸々囲う・・・しかも高さは20メートルという巨大な壁を魔力で作り上げるのだから。
正直800年前の我では、この大きさの壁を実体化させるのにも幅5メートルほどで魔力エネルギーが空になるだろう。
一体どれだけの魔術師が建設に動員されたのだろうか・・・想像など全くできない。
しかしその苦労の甲斐あって、これだけ頑丈な防壁を築き上げる事ができたわけだ。
魔法耐性もかなり高そうだし、難攻不落だなこれは。
「破片とか落ちてませんかねー?」
シオンが壁の根元をキョロキョロ眺めながらそう言う。宝石のように美しいのだから仕方ないが、女子らしく宝石が好きなのだろうか?意外な一面だ。
「高く売れそうですよねー」
シオンお主・・・
一応教えておくか。
「これは魔力でできた壁だからな。破片があってもすぐに空気に溶けて消えるぞ?」
あくまでこの巨大な外壁で魔力が固まっているだけで、小さく砕けてしまったら形を維持するのは難しい。
「なーんだー」
我の説明を聞くと、シオンは我を人形のように抱えたままゴロンと寝転がった。おい、興味なくすの早すぎるだろ。
妹を見習え。サエラなど無表情であってもキラキラとした目でリメットの壁を眺めておるぞ。
「かっこいい・・・大魔法がぶつかった瞬間とか見てみたい」
・・・
☆☆☆☆☆
さてさてそんな事がありつつも、我らは無事に城塞都市リメットに入ることに成功した。
詰所にいた門番たちに随分と奇怪な視線を当てられたが、エルフの娘が二人に子竜が付いてるメンツを見れば誰だって怪しむだろう。
案の定検査を受けたが、別に犯罪をした事もないのでスムーズに入る事ができた。
1つ問題なのが・・・
「さっさと冒険者ギルドで身分証作らないとですねー」
シオンが言う。
そうだ。我らは身分証がなかった。とりあえず仮の身分証を発行してもらったことでリメットに入る事ができたが、明日までに何かしらの書類を提出しなければ追い出されてしまう。
手っ取り早いのは冒険者ギルドの登録である。ギルドカードを手に入れれば、ギルドから身分を証明してもらえる。まぁ証明といっても、「私は冒険者ギルドに所属してます」という事を形にしただけだが。
「それじゃ、ここまでだな。俺の店は商店街の魔道具工房にあるからよ、暇があったら来てくれ」
「マンドさん!お世話になりました!」
「いつかお店、行きます」
「がおー」
マンドが馬車を操縦しながら去っていくのを、我らはそれぞれの言い方で礼を言い、見送った。
お別れもそこそこに、我らの足取りは自然と冒険者ギルドの方面へ向かっていく。
あ、我はシオンに抱えられたままだ。「このまま抱っこしてたいです!」というシオンのお願いされたので運んでもらっている。
うむうむ楽チンである。よきにはからえー
そうして、我らはギルドを目指してリメットを歩き回った。一応目的地は決まっているのだが、ある意味散策に近い形である。
リメットの街並みは外壁のインパクトは違い、これといった特徴はなかった。石かレンガで作られた家々は、頑丈そうな印象とともに無骨さがよく見えた。
結構意外ではあった。かなり大きな都市らしいし、住居それぞれに大きな特徴でもあるかと思っておったが・・・。
「さすが城塞都市。内部も頑丈に作られてる」
サエラが隣でそんな感想を漏らした。ふむ、元々が戦争の前線基地として建造されていたのなら、見た目よりも頑丈さ重視で作ったのも納得がいくが、戦後に建てられた建造物も似たような作りなのは伝統のようなものなのだろうか。
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