傲慢貴族な転生者が、ハイスペックな敵キャラに籠絡されるなんて!?

飯田 いち太郎

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R※愛してる

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「っ、アゼ、アゼ!!アゼッッ!!」

 聞こえたその声は、張り裂けるような悲鳴だった。

 記憶を取り戻したルインが見せた顔は、喜びではなく、恐怖と絶望に染まった顔だった。蒼白な頬、歪んだ眉。喉からは、掠れた空気を吐き出している。

 取り乱したまま、何の前触れもなく強く抱きしめられる。息が詰まりそうなほどに、強い力で。

「くっ、くるしっ・・・。」

 腕に込められたその力は、まるで、今にも俺が消えてしまうのを恐れて、全身で繋ぎ止めようとしているようだった。

「ダメです、ダメだ!!」

 必死に叫ぶその声が、痛いほど嬉しい。

───やっと、やっと、俺を見てくれた。

「やだ、いやだッ・・・死のうとしないで!ボクは生きているから、だからっ!」

 ルインの瞳から、涙が零れる。止まることなく、ぽろぽろと、熱をもって頬から落ちる。

「おねがい、だから・・・。」

 懇願するような声とともに、首元に頬を擦り寄せてくる。肩が濡れていくのを感じながら、俺は口を開いた。

「ルイン・・・。」

───あの時。俺が死のうとしたあの瞬間のことを、思い出しているのだろうか。

「アゼ、お願い、今までのこと、全部謝るから。アゼの望むこと全て、全部叶えるからっ・・・お願いだから・・・お願い・・・。」

 壊れたように繰り返される言葉。その声が、ひどく幼く聞こえて、胸が締めつけられる。今にも砕けてしまいそうな、祈るような声。

「失いたくない・・・大切な人を、失いたくない!」

 抱きしめる腕に、さらに力が込められた。心臓がぶつかり合って、互いの鼓動が交差する。俺はただ、泣いているルインを、そっと抱き返すことしかできない。

「ボクから、奪わないで・・・。」

 掠れる声でそう告げた後、ルインの腕の力が、ふっと抜けた。

「───ぷはっ・・・だ、大丈夫・・・か?」

 ようやくしっかりと呼吸ができた俺は、喉を鳴らして空気を吸い込んだ。けれど、震えるルインの手はまだ、俺の背中から離れない。

「どうして・・・ボクなんかの後を追おうとしたんですか・・・。」

「だ、だって・・・。」

 どんな形になっても、会いたかったから。何より、生きている自分に価値があると思えなかった。それに、ルインがいない世界に、意味を見出せなかったから・・・。

「アゼには、笑っていて欲しい。息を吸って、この世界にいて欲しい。」

 ルインは言葉を重ねながら、そっと俺を包み込んだ。まるで宝物を扱うように、丁寧に。

「でも、ボクのいない世界で、笑って欲しくない・・・。」

 子供のような拗ねた声に、思わずふっと笑ってしまう。

「ふ、ふふ。どっちなんだ、それ。」

「アゼ・・・。」

 ルインが俺を見つめる。あの頃と同じ、真っ直ぐな瞳。けれど、今はもう昔とは違う。深くて、抗いようのない感情が、互いの瞳に宿っていた。

「ボクは、どうしようもなくアゼが好きで、愛しているんです。」

 その言葉と共に、唇が重ねられる。

 柔らかく、湿った感触が伝わってくる。何度も触れたはずの唇は、今はまるで初めて触れた日のように、熱く、甘い。

「なっ、何だよ・・・急に・・・んっ。」

 言葉を挟む隙すら与えられず、舌が絡まる。

 頬が熱くなる。出しかけた言葉も、全て口の中で溶かされていく。

 ふと、視界の隅でルインの指が、ゆっくりと自身の上着を外すのが見えた。

 肌が露わになり、先程までの疼きが身体に蘇ってくる。

「言葉じゃ、伝えきれない。」

 そのまま、手が俺の腰へと伸び、温かい指が、柔らかい敏感な場所に触れる。

「あっ、ば・・・ばかっ!!」

 声が裏返る。触れただけで、痺れるような快感が走り、思わず身体を仰け反らせる。

「ゆっくり、優しくしますから・・・。」

 ルインの声は低く、吐息混じりだった。蕾の周囲をゆるやかになぞり、愛撫してくる。まるで、壊れ物を愛おしむように、丁寧に。

「また、しよ・・・?」

「も、もう、ダメだ・・・っ壊れる・・・!」

 口に出たのは、否定の言葉。何度も何度も愛されてしまった身体。気持ちよさに身体がふわふわと浮いて、頭の芯まで快楽が染みていく。

 いつか頭が壊れてしまうのではないかと、不安になる。

「いいですよ。壊れても、ずっと愛しますから。」

「ば、バカ・・・それじゃ、意味がない・・・。」

 俺の言葉の意味に気付いたのか、ルインの表情がほころぶ。

「だって、俺も・・・ルインを、あ、愛したいから・・・。」

 そう呟いた途端、身体を擦り寄せられ、熱が押し当てられた。

「ひぁっ!?や、だから・・・やめろっ!・・・この、駄犬がッ!!」

「くッ・・・!」

 罵ったはずなのに、ルインは顔を紅潮させていた。

「な、なにを喜んでいるんだ!!」

 恥ずかしくなり、ルインの身体から離れようとする。けれど、逃がすまいと彼は囁く。

「分かりました。我慢します・・・。」

 そう言って唇を噛んだ彼の頬へ、手を伸ばす。

「・・・ん、いい子。」

「やっぱり無理です。あと、もう一回・・・。」

 返事も待たず、勃ち上がったモノをぐいと押しつけられる。

───ズプッ。

 熱が・・・奥に沈んでいく。

「え・・・はぁ、んぁっ・・・いっかいだけ、だからっ・・・!」

 きっと、一回だけでは終わらない。受け入れてしまえば、何度だって堕ちてしまうのだから。

「休憩しながらなら、壊れない?」

「・・・んっ。」

 返事の代わりに、唇を重ねる。何度も心の中で名前を呼びながら、キスを、何度も。

「ほんとに、可愛い・・・積極的過ぎます。」

「可愛いって・・・言うなぁっ。」

 恥ずかしさに頬を染めながら睨みつけると、ルインはうっとりとした声で囁いた。

「ダメです。だって、こんなに嬉しそうな、とろけた顔してくれるから。」

「・・・え?」

「癖になります。その顔・・・ボクだけの、アゼ。」

 その囁きに、俺の全身はもう、逆らうことを忘れていた。重ねられる肌。溶け合うような熱。

───その甘くて淫らな熱から、しばらく解放されることはなかった。
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