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2を書くもとになった音楽
しおりを挟むこの一編はいかにも、自分っぽい詩です。音楽がよく頭の中に流れていて、それが言葉に出てしまうということです。
『ジョン・ウェズリー・ハーディング』はボブ・ディランの1967年のアルバムタイトルです。このアルバムには有名な、『見張塔からずっと』という曲も入っていますが、『I am a lonesome hobo』という曲があって、それが「ホーボーやバム」という言葉に結びついています。
ホーボーというのは、アメリカで使われる言葉ですが、お金を持たずに放浪する人のことです。バムはお金を持たずに野宿する人です。ホーボーについて、古くはアメリカの鉄道敷設の歴史なども関わってきますので説明すると長いのですが、お金がないというよりは「放浪するために放浪する」というイメージです。ビート・ジェネレーションというカルチャー・ムーヴメントのひとつの象徴的な名詞でもあります。
あ、ジョン・ウェズリー・ハーディングですね。彼は歌詞によれば、義賊のような人らしいです。
一方、「シャンクリーさん」はThe Smithsの曲、『Frankly, Mr. Shankly』から取っています。こちらは1986年のアルバム『The Queen Is Dead』(イギリスでよくそんなタイトルつけますね! 私にはできません)に収録されています。素敵な和訳がhttps://lyriclist.mrshll129.com/thesmiths-frankly-mrshankly/
に出ています。個人的には、「以前はそうではなかったのに、今ではお金の亡者になっている」シャンクリーさんに「絶縁状をにこやかに叩きつける」イメージでしたが、和訳を改めて眺めると、歌詞を書いたMorisseyの意図と私のイメージにそれほど違いはないようでよかったです。あれはインディーズレーベルの社長さんのことらしいです。
アラン・シリトーの『長距離走者の孤独』にも通じるところでしょうか。自分の自由を獲得するために、フィールドを走るのをやめる主人公。
あと、人名を出すのはT・S・エリオットの詩に、「クルツさん、死んだ」という前振りの一節があって、そこからの影響です。
なぜ、この二つの曲が結び付いたのかというと、ボブ・ディランの方のアルバムに『The Ballad of Frankie Lee and Judas Priest』という曲があって、「フランキー・リー」と「フランクリー」がシンクロしたからだと思います。意外と単純。でも、音の影響って意外と大きいんです。
音楽が濃く混ざった、さらりとした反骨の詩でした。
採録するにあたって確かめていたところ、ボブ・ディランのこのアルバムの『Dear Landlord 』は、『Frankly, Mr. Shankly』と同じ趣旨の歌なようです。興味深い。
ボブ・ディランはノーベル文学賞を受賞しましたが、Morisseyも韻の踏みかたの素晴らしい詩を書く人で、傑出していると私は考えています。
※ビート・ジェネレーションの代表的な詩人アレン・ギンズバーグはボブ・ディランのこのアルバムについて、こう言っていたそうです。引用してみます。
https://en.m.wikipedia.org/wiki/John_Wesley_Harding_(album)
〈アレン・ギンズバーグによると、ディランは彼に自身の新しい試みについて語ったという。
「彼は一行一行を短く書いていたけれど、すべての行がそれぞれ意味を持つようにしていた。彼はもう韻を踏むことに重きを置かなくなったんだ。それぞれの行が物語を進めて、歌というものを前面に引っ張ってくる役割を果たすようにしたんだよ。そのときから、『フランキー・リーとジューダス・プリーストのバラード』のようなインパクトのある、簡潔なバラードが登場した。そこに無駄な言葉も間合いもないんだ。すべてのイメージは装飾的なものではなく、機能的なものになったんだよ」〉
(意訳はおがたさわによる)
ーーAccording to Allen Ginsberg, Dylan had talked to him about his new approach, telling him "he was writing shorter lines, with every line meaning something. He wasn't just making up a line to go with a rhyme anymore; each line had to advance the story, bring the song forward. And from that time came some of his strong laconic ballads like 'The Ballad of Frankie Lee and Judas Priest.'There was no wasted language, no wasted breath. All the imagery was to be functional rather than ornamental."
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