魔物の森に捨てられた侯爵令嬢の、その後。

松石 愛弓

文字の大きさ
14 / 17

14

しおりを挟む
「ルナリス。君を一生、愛することをここに誓う。誰よりも幸せにする」

 まるでプロポーズのような誓いの言葉に、胸が熱くなる。

「カイン様。あなたを一生、愛し続けることを誓います」

 震える鼓動と共に愛を伝えると、彼の頬がだんだん赤く染まっていった。

「ルナリス……」

 彼の大きな手がとまどいながら、私の頬にそっと触れた時、

「殿下~~~!! やっと見つけましたよ! 書置きひとつ残して突然居なくなられるから、びっくりしたじゃないですか~~!」

 カイン王子の幼少時より世話係として、彼を育て教育してきた側近のセバスと護衛たちが駆け付けてきた。

 カイン王子を赤ん坊の頃から育てたせいか、カイン王子を我が子のように思う気持ちからか、セバスの言動は少し常軌を逸している。

「陛下も王妃様も大変心配しておられます!〈最近のカイン王子の様子〉というタイトルで、先程のおふたりの熱愛シーンの映像を陛下に送信しておきました!」

 得意満面のセバスに、カイン王子はズッコケる。

「……確かに、簡単な書置きだけを残して旅に出た僕も悪かったが……さっきのプロポーズ映像を父上に送信しなくてもいいだろう!」

 恥ずかしさで真っ赤になるカイン王子の肩をポンポンと叩いて、セバスは言った。

「ご心配なさらなくても、ちゃんとナレーションと効果音を入れて編集したスペシャル映像をお送りしましたから!」

「そんな心配はしていない! 両親にプロポーズの様子を見られるとか、映像はおそらく永久保存されるんだろうなというところが恥ずかしいのだ!」

 カイン王子の抗議を聞いているのかいないのか、セバスはうっとりと自己陶酔し始めた。

「まるで俳優のような美男美女が愛を誓う美しいシーンでした……。20分くらい前から殿下を見つけてはいたのですが、このシーンを撮ってからお声をお掛けしようと、私たちはポップコーンをつまみながら美しい映画を見るような気分で撮影していたのです……」

「撮影する前に声を掛けてほしかったよ」

 セバスのマイペース行動はいつも止められないんだよなぁと諦めるカイン王子。

「まぁまぁ、そんなに恥ずかしがらなくても。眼福でございました。ところで、ルナリス様。殿下と一緒に王家の馬車に乗り、我が国へおいでください。陛下も是非会いたいと、早速連絡してこられました」

 突然の王室からの御招待に慌てるルナリス。

「えぇっ! でも私、市場の特売で買った庶民の服装なんですけど……」

「細かいことは気になさらず」

 セバスは笑顔で答えた。

「気にしますよ! 陛下にお会いするのでしょう? どうしましょう~!」

「まぁとにかく、乗ってくださいませ♪」

 ルナリスとカイン王子は王家の豪華な馬車に強引に乗せられ、エドワーナ王国へと向かうことになったのでした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄!?なんですって??その後ろでほくそ笑む女をナデてやりたい位には感謝してる!

まと
恋愛
私、イヴリンは第一王子に婚約破棄された。 笑ってはダメ、喜んでは駄目なのよイヴリン! でも後ろでほくそ笑むあなたは私の救世主!

この野菜は悪役令嬢がつくりました!

真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。 花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。 だけどレティシアの力には秘密があって……? せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……! レティシアの力を巡って動き出す陰謀……? 色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい! 毎日2〜3回更新予定 だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!

婚約破棄されたので、自由に生きたら王太子が失脚しましたあ

鍛高譚
恋愛
名門アーデン公爵家の令嬢 ロザリー・フォン・アーデン は、王太子 エドワード・カミル・レグノード の婚約者として誰もが認める完璧な貴族令嬢だった。 しかしある日、王太子は突如 “聖女” を名乗る平民の少女 セシリア・ブランシュ に夢中になり、ロザリーに無情な婚約破棄を言い渡す。 「これは神の導きだ! 私の本当の運命の相手はセシリアなんだ!」 「ロザリー様、あなたは王太子妃にふさわしくありませんわ」 ──ふたりの言葉を前に、ロザリーは静かに微笑んだ。 「……そうですか。では、私も自由に生きさせていただきますわね?」 だが、これがロザリーの “ざまぁ” 逆転劇の幕開けだった! 神託と称して王太子を操る “聖女” の正体は、なんと偽者!? さらに王室財政を私物化する 汚職貴族との黒い繋がり も発覚!? 次々と暴かれる陰謀の数々に、王宮は大混乱。 そして、すべての証拠が王の手に渡ったとき──王太子 エドワードは王太子の地位を剥奪され、偽の聖女と共に国外追放 となる! 「ロザリー様を捨てた王太子は大馬鹿者だ!」 「やっぱり王妃にふさわしかったのはロザリー様だったのよ!」 社交界ではロザリーへの称賛が止まらない。 そしてそんな彼女のもとに、なんと隣国の 若き王クラウス・アレクサンドル から正式な求婚が──!? 「私はあなたの聡明さと誇り高き心に惹かれました。私の王妃になっていただけませんか?」 かつての婚約破棄が嘘のように、今度は 本物の愛と自由を手にするチャンス が巡ってくる。 しかし、ロザリーはすぐに頷かない。 「私はもう、誰かに振り回されるだけの人生は選びません」 王妃となる道を選ぶのか、それとも公爵家の令嬢として新たな未来を切り開くのか──?

【完結済】獅子姫と七人の騎士〜婚約破棄のうえ追放された公爵令嬢は戦場でも社交界でも無双するが恋愛には鈍感な件〜

鈴木 桜
恋愛
強く賢く、美しい。絵に描いたように完璧な公爵令嬢は、婚約者の王太子によって追放されてしまいます。 しかし…… 「誰にも踏み躙られない。誰にも蔑ろにされない。私は、私として尊重されて生きたい」 追放されたが故に、彼女は最強の令嬢に成長していくのです。 さて。この最強の公爵令嬢には一つだけ欠点がありました。 それが『恋愛には鈍感である』ということ。 彼女に思いを寄せる男たちのアプローチを、ことごとくスルーして……。 一癖も二癖もある七人の騎士たちの、必死のアプローチの行方は……? 追放された『哀れな公爵令嬢』は、いかにして『帝国の英雄』にまで上り詰めるのか……? どんなアプローチも全く効果なし!鈍感だけど最強の令嬢と騎士たちの英雄譚! どうぞ、お楽しみください!

「やはり鍛えることは、大切だな」

イチイ アキラ
恋愛
「こんなブスと結婚なんていやだ!」  その日、一つのお見合いがあった。  ヤロール伯爵家の三男、ライアンと。  クラレンス辺境伯家の跡取り娘、リューゼットの。  そして互いに挨拶を交わすその場にて。  ライアンが開幕早々、ぶちかましたのであった。  けれども……――。 「そうか。私も貴様のような生っ白くてか弱そうな、女みたいな顔の屑はごめんだ。気が合うな」

あなたが幸せになるために

月山 歩
恋愛
幼い頃から共に育った二人は、互いに想い合いながらも、王子と平民という越えられない身分の壁に阻まれ、結ばれることは叶わない。 やがて王子の婚姻が目前に迫ると、オーレリアは決意する。 自分の存在が、最愛の人を不貞へと追い込む姿だけは、どうしても見たくなかったから。 彼女は最後に、二人きりで静かな食事の時間を過ごし、王子の前から姿を消した。

妹のために愛の無い結婚をすることになりました

バンブー竹田
恋愛
「エミリー、君との婚約は破棄することに決まった」 愛するラルフからの唐突な通告に私は言葉を失ってしまった。 婚約が破棄されたことはもちろんショックだけど、それだけじゃない。 私とラルフの結婚は妹のシエルの命がかかったものでもあったから・・・。 落ちこむ私のもとに『アレン』という大金持ちの平民からの縁談が舞い込んできた。 思い悩んだ末、私は会ったこともない殿方と結婚することに決めた。

その婚約破棄喜んで

空月 若葉
恋愛
 婚約者のエスコートなしに卒業パーティーにいる私は不思議がられていた。けれどなんとなく気がついている人もこの中に何人かは居るだろう。  そして、私も知っている。これから私がどうなるのか。私の婚約者がどこにいるのか。知っているのはそれだけじゃないわ。私、知っているの。この世界の秘密を、ね。 注意…主人公がちょっと怖いかも(笑) 4話で完結します。短いです。の割に詰め込んだので、かなりめちゃくちゃで読みにくいかもしれません。もし改善できるところを見つけてくださった方がいれば、教えていただけると嬉しいです。 完結後、番外編を付け足しました。 カクヨムにも掲載しています。

処理中です...