10 / 24
名前で呼びあって
しおりを挟む
サファーロ視点
**********
朝食の後、一つ目の目的地に向かって出発した。
今日も、良い天気だ。
この商店街を抜ければ、森を通ることになる。
情報収集もしたいから、歩くのもいいかなと思っている。
シャルルを見ると、今朝のぱふぱふが思い出されてきて、なんだか照れてしまう。
僕が銀猫の姿をしてた時は、あんなに密着していたのに、人の姿に戻った僕はシャルルの手にも触れる理由がない。
なんだか不思議な気分だ。
銀猫の姿に変身してシャルルからの愛情を受けられて嬉しかったけど、もう銀猫にはならないようにしよう。
昨夜は意識を失って、それを偶然見つけてくれたシャルルに保護されて、色んなハプニングに見舞われたけど、次に自分の意志で銀猫になったら、それを期待してるみたいだ。
でも、今日のシャルルはなんだか元気がない。どうしたのかな?
僕が心配そうに彼女を見つめていると、エミリーさんがこっそり教えてくれた。
「お嬢様、銀猫に逃げられたらしくて、落ち込んでいらっしゃるんです」
もふもふしたいのだろうか?
「シャルル、そこにペットショップがあります。貴女の好きな動物がいるかもしれない。プレゼントしますから行きませんか?」
笑って誘ってみる。
てっきり喜ぶと思っていたら、
「いいえ…。私はあの銀猫ちゃんが良いのです。他の子では代わりにならないのです…」と、寂しそうにつぶやく。
「そうですか…。もし、その銀猫がまた現れたら、どうするおつもりなのです?」
「撫でまわして、抱きしめて、頬ずりして、思う存分もふもふしたいですわ…」
潤んだ瞳で、僕を見つめる。
…そんなことされたら、僕の理性はもつのだろうか…。
シャルル視点
**********
屋敷を出発する前。
銀猫に逃げられてがっかりしていたら、サファーロ様が話があると言って、私の部屋を訪ねていらっしゃいました。
エミリーは気をきかせたのか、いつの間にか居ませんでしたわ。
今日のサファーロ様は少し変です。
顔を赤らめて、私を直視できないなんて。
私たちは、ソファに並んで座りました。
「シャルル嬢…前から思っていたことなんですが…僕を、サファーロと呼んでいただけませんか?」
「サファーロ様は、私の窮地を命がけで救ってくださいましたわ。私は、感謝と尊敬の意味を込めて、サファーロ様、と呼んでいますのに…」
「でも僕は、貴女にサファーロと呼ばれたい」
真剣な表情にズキュ~ン!とハートを撃ち抜かれて、あっという間にノックダウン寸前ですわ。
なんて心臓に悪い、罪作りなお方。
これは断れませんわね!
「では、私のことも、シャルルと呼んでくださいますか?」
「いいんですか?」
「私もずっと、シャルルと呼ばれたかったのです」
ぱぁぁっ!と、嬉しそうに可愛らしく無邪気に笑うなんて…。
私を萌え死にさせるおつもり?
この二段攻撃はかなりボディーに効きましたわ!
「シャルル」
ぐはぁっ!!
サファーロは春風のように微笑みながら、優しい声で私を呼んでくださいました。
萌え過ぎて瀕死寸前ですわ!
「サ…サファーロ」
「シャルル」
「サファーロ…」
見つめ合って、至近距離で名前を呼び合っていますと、サファーロに触れたくなってしまいましたわ。
でも、私が突然、ギュウって抱きしめたら、はしたない女と思われるのでしょうか?
ああっ!銀猫ちゃんがいれば、サファーロの代わりに思いきり抱きしめられますのに!
まるで、サファーロの化身のような、銀色の毛に翡翠色の瞳をした美しい猫。
銀猫ちゃ~ん、帰ってきて~!!
「では、20分後に出発です。支度があるでしょうから失礼しますね」
えっ。もう行ってしまわれるの?
サファーロが部屋のドアを開けると、そこには、鍵穴から覗いていたのでは?と疑われる姿勢で、モーリスさんが立っていました。
「あれ? せっかく二人きりなのに何もしないんですか?」
「だから、のぞくな!」
壁に耳あり、障子にメアリー。じゃなくてモーリス。
何もしなくてよかったですわ~!
**********
朝食の後、一つ目の目的地に向かって出発した。
今日も、良い天気だ。
この商店街を抜ければ、森を通ることになる。
情報収集もしたいから、歩くのもいいかなと思っている。
シャルルを見ると、今朝のぱふぱふが思い出されてきて、なんだか照れてしまう。
僕が銀猫の姿をしてた時は、あんなに密着していたのに、人の姿に戻った僕はシャルルの手にも触れる理由がない。
なんだか不思議な気分だ。
銀猫の姿に変身してシャルルからの愛情を受けられて嬉しかったけど、もう銀猫にはならないようにしよう。
昨夜は意識を失って、それを偶然見つけてくれたシャルルに保護されて、色んなハプニングに見舞われたけど、次に自分の意志で銀猫になったら、それを期待してるみたいだ。
でも、今日のシャルルはなんだか元気がない。どうしたのかな?
僕が心配そうに彼女を見つめていると、エミリーさんがこっそり教えてくれた。
「お嬢様、銀猫に逃げられたらしくて、落ち込んでいらっしゃるんです」
もふもふしたいのだろうか?
「シャルル、そこにペットショップがあります。貴女の好きな動物がいるかもしれない。プレゼントしますから行きませんか?」
笑って誘ってみる。
てっきり喜ぶと思っていたら、
「いいえ…。私はあの銀猫ちゃんが良いのです。他の子では代わりにならないのです…」と、寂しそうにつぶやく。
「そうですか…。もし、その銀猫がまた現れたら、どうするおつもりなのです?」
「撫でまわして、抱きしめて、頬ずりして、思う存分もふもふしたいですわ…」
潤んだ瞳で、僕を見つめる。
…そんなことされたら、僕の理性はもつのだろうか…。
シャルル視点
**********
屋敷を出発する前。
銀猫に逃げられてがっかりしていたら、サファーロ様が話があると言って、私の部屋を訪ねていらっしゃいました。
エミリーは気をきかせたのか、いつの間にか居ませんでしたわ。
今日のサファーロ様は少し変です。
顔を赤らめて、私を直視できないなんて。
私たちは、ソファに並んで座りました。
「シャルル嬢…前から思っていたことなんですが…僕を、サファーロと呼んでいただけませんか?」
「サファーロ様は、私の窮地を命がけで救ってくださいましたわ。私は、感謝と尊敬の意味を込めて、サファーロ様、と呼んでいますのに…」
「でも僕は、貴女にサファーロと呼ばれたい」
真剣な表情にズキュ~ン!とハートを撃ち抜かれて、あっという間にノックダウン寸前ですわ。
なんて心臓に悪い、罪作りなお方。
これは断れませんわね!
「では、私のことも、シャルルと呼んでくださいますか?」
「いいんですか?」
「私もずっと、シャルルと呼ばれたかったのです」
ぱぁぁっ!と、嬉しそうに可愛らしく無邪気に笑うなんて…。
私を萌え死にさせるおつもり?
この二段攻撃はかなりボディーに効きましたわ!
「シャルル」
ぐはぁっ!!
サファーロは春風のように微笑みながら、優しい声で私を呼んでくださいました。
萌え過ぎて瀕死寸前ですわ!
「サ…サファーロ」
「シャルル」
「サファーロ…」
見つめ合って、至近距離で名前を呼び合っていますと、サファーロに触れたくなってしまいましたわ。
でも、私が突然、ギュウって抱きしめたら、はしたない女と思われるのでしょうか?
ああっ!銀猫ちゃんがいれば、サファーロの代わりに思いきり抱きしめられますのに!
まるで、サファーロの化身のような、銀色の毛に翡翠色の瞳をした美しい猫。
銀猫ちゃ~ん、帰ってきて~!!
「では、20分後に出発です。支度があるでしょうから失礼しますね」
えっ。もう行ってしまわれるの?
サファーロが部屋のドアを開けると、そこには、鍵穴から覗いていたのでは?と疑われる姿勢で、モーリスさんが立っていました。
「あれ? せっかく二人きりなのに何もしないんですか?」
「だから、のぞくな!」
壁に耳あり、障子にメアリー。じゃなくてモーリス。
何もしなくてよかったですわ~!
10
あなたにおすすめの小説
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
猛獣のお世話係
しろねこ。
恋愛
「猛獣のお世話係、ですか?」
父は頷き、王家からの手紙を寄越す。
国王が大事にしている猛獣の世話をしてくれる令嬢を探している。
条件は結婚適齢期の女性で未婚のもの。
猛獣のお世話係になった者にはとある領地をあげるので、そこで住み込みで働いてもらいたい。
猛獣が満足したら充分な謝礼を渡す……など
「なぜ、私が?私は家督を継ぐものではなかったのですか?万が一選ばれたらしばらく戻ってこれませんが」
「その必要がなくなったからよ、お義姉さま。私とユミル様の婚約が決まったのよ」
婚約者候補も家督も義妹に取られ、猛獣のお世話係になるべくメイドと二人、王宮へ向かったが…ふさふさの猛獣は超好み!
いつまでもモフっていたい。
動物好き令嬢のまったりお世話ライフ。
もふもふはいいなぁ。
イヤな家族も仕事もない、幸せブラッシング生活が始まった。
完全自己満、ハピエン、ご都合主義です!
甘々です。
同名キャラで色んな作品を書いています。
一部キャラの台詞回しを誤字ではなく個性として受け止めて貰えればありがたいです。
他サイトさんでも投稿してます。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜
白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。
私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。
けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?
関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。
竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。
『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』
❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。
*乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。
*表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。
*いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。
*他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる