きみに心奪われたまま

松石 愛弓

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ドキドキして、諒ちゃんのことしか考えられなくなる。

なんて、綺麗な男なんだろう…。

すごく自然に、私の腕を引き寄せ抱きしめる。

諒ちゃんの温かい胸、甘い瞬間に、心が溶けそうになる。

なんで、こんなに魅かれるんだろう。

あなたに触れると、理性を失ってしまいそう…。


「俺が守ってあげるから。何も心配しなくていいからね」
甘い声が、心に響く。

私、誰かにそう言ってもらいたかった。
諒ちゃんは、私の1番欲しい言葉をくれるのね…。

「どうしてこんなことになったのか、説明してくれる?」


        ◇

私は、数日前に会社で鬼瓦先輩がしたことを話した。

「そうか…。災難だったね…。この件は俺に任せて。
俺はちょっと調べてくるから、陽菜姉はシャワーでも浴びて眠っててくれたらいいよ」

諒ちゃんは、客布団を運んできてくれた。そのまま、玄関へと速足で歩き出す。

「えっ? 今から行くの?」
「こういう事は少しでも早く対処したほうがいいから。あ、それから」
くるりと振り向くと、真剣な顔で言った。

「俺、夜に仕事してるから、起きるのは夕方なんだ。悪いけど、朝昼は起こさないでくれる?」
「わかった」

諒ちゃんは、私の返事に安心したように、
「じゃあ、行ってくる」
笑って玄関を出て行った。
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