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前編
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明るい窓辺で小鳥がチュンチュンとさえずる静かな朝。
のどかな村にある可愛いレンガ造りの家の庭で、僕は花の水やりをしていた。
ドガッ!と大きな音がして、何だろうと見に行くと、居間で妻のアリスが倒れていた。
僕は大慌てで駆け寄る。
「アリス! 大丈夫か? どうしたんだ?」
アリスは、痛くて何も言えない、といった様子で悶絶していた。
大変だ! 何でか分からないけど、アリスがすごく苦しんでる!
僕はアリスをそっと抱き上げるとベッドに寝かせ、
「治癒魔法を使える魔法使いを探してくるよ! 安静にしているんだよ!」
大慌てで家を飛び出した。
畑のあぜ道を走り、池を飛び越え、同村の魔法使いの家に辿りつくと、ログハウスのドアには貼り紙がしてあった。
【しばらく里帰りしてきます♪】
「こんな時に里帰りしなくても~~!」
自分のタイミングの悪さに驚きながら、
「仕方ない。では、山を越えて隣村の魔法使いに頼むことにしよう!」
僕は険しい山を登り、森へと入っていった。
♪チャチャッチャチャッチャ~~♪ とうっ!
なんだか妙なBGMと共に、赤・青・黄・緑・桃の5色の戦隊ヒーローのようなコスプレをした5人が大木の影から現れ、
「山賊レッド!」「山賊グリーン!」「山賊ブルー!」などと言いながら、派手なポーズを決めはじめた。
戦隊ヒーローのコスプレしてる山賊って、正義か悪か分かりにくい恰好するな~!と思いつつ、急いでいる僕は彼らと遊んでいる暇はないので無視して通り過ぎようとすると、山賊イエローが突然、
「あっ!」と、僕の後方を指差し、叫んだ。
「え?」 何かあるのか? と気になって振り向くと、山賊イエローが飛び蹴りの奇襲を仕掛けてきたので、さっと避ける。
「うっそ~ん!」 山賊イエローの飛び蹴りは地面に直撃し、爪先と足首をくじいた。
「おぬし、なかなかやるな!」
山賊ピンクに『痛いの痛いの飛んでけ~!』をやってもらいながら、山賊イエローが吠えた。
いや、何もやってないんだが。
山賊ピンクが「魅了投げキッス!」を飛ばしてきたが、さっと避けると、僕の後ろにいた山賊レッドが美味しくいただき、山賊ピンクとラブラブに。
だめだ。 こんなコントに付き合っている場合ではない。
こんなこともあろうかと、僕は懐に忍ばせていた白い粉を山賊たちに振りかけた。
「サンちゃんパウダ~~♪」
キラキラと輝く雪の結晶のように、白い粉は山賊たちを包んだ。
「まるでダイアモンドダストみたい……♪」
「綺麗だ……ぐぅ……」
「あっ、おまえ、眠り薬を仕込んだな!……ぐぅ……」
山賊たちは幸せそうに熟睡していった。
さて、早く森を抜け、魔法使いを探さなければ。 僕は必死こいて走った。
のどかな村にある可愛いレンガ造りの家の庭で、僕は花の水やりをしていた。
ドガッ!と大きな音がして、何だろうと見に行くと、居間で妻のアリスが倒れていた。
僕は大慌てで駆け寄る。
「アリス! 大丈夫か? どうしたんだ?」
アリスは、痛くて何も言えない、といった様子で悶絶していた。
大変だ! 何でか分からないけど、アリスがすごく苦しんでる!
僕はアリスをそっと抱き上げるとベッドに寝かせ、
「治癒魔法を使える魔法使いを探してくるよ! 安静にしているんだよ!」
大慌てで家を飛び出した。
畑のあぜ道を走り、池を飛び越え、同村の魔法使いの家に辿りつくと、ログハウスのドアには貼り紙がしてあった。
【しばらく里帰りしてきます♪】
「こんな時に里帰りしなくても~~!」
自分のタイミングの悪さに驚きながら、
「仕方ない。では、山を越えて隣村の魔法使いに頼むことにしよう!」
僕は険しい山を登り、森へと入っていった。
♪チャチャッチャチャッチャ~~♪ とうっ!
なんだか妙なBGMと共に、赤・青・黄・緑・桃の5色の戦隊ヒーローのようなコスプレをした5人が大木の影から現れ、
「山賊レッド!」「山賊グリーン!」「山賊ブルー!」などと言いながら、派手なポーズを決めはじめた。
戦隊ヒーローのコスプレしてる山賊って、正義か悪か分かりにくい恰好するな~!と思いつつ、急いでいる僕は彼らと遊んでいる暇はないので無視して通り過ぎようとすると、山賊イエローが突然、
「あっ!」と、僕の後方を指差し、叫んだ。
「え?」 何かあるのか? と気になって振り向くと、山賊イエローが飛び蹴りの奇襲を仕掛けてきたので、さっと避ける。
「うっそ~ん!」 山賊イエローの飛び蹴りは地面に直撃し、爪先と足首をくじいた。
「おぬし、なかなかやるな!」
山賊ピンクに『痛いの痛いの飛んでけ~!』をやってもらいながら、山賊イエローが吠えた。
いや、何もやってないんだが。
山賊ピンクが「魅了投げキッス!」を飛ばしてきたが、さっと避けると、僕の後ろにいた山賊レッドが美味しくいただき、山賊ピンクとラブラブに。
だめだ。 こんなコントに付き合っている場合ではない。
こんなこともあろうかと、僕は懐に忍ばせていた白い粉を山賊たちに振りかけた。
「サンちゃんパウダ~~♪」
キラキラと輝く雪の結晶のように、白い粉は山賊たちを包んだ。
「まるでダイアモンドダストみたい……♪」
「綺麗だ……ぐぅ……」
「あっ、おまえ、眠り薬を仕込んだな!……ぐぅ……」
山賊たちは幸せそうに熟睡していった。
さて、早く森を抜け、魔法使いを探さなければ。 僕は必死こいて走った。
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