灯火

松石 愛弓

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 男爵令嬢だったはずの、私の朝は早い。
 メイド二人分くらいの労働を、早朝から深夜まで。
 義妹と義母が浪費するためにメイドを雇う賃金を浮かせようと目論み、私をタダ働きのメイドにすることにしたらしい。
 義父も、それでいいんじゃない?みたいな態度だ。

 昔は、こんなことはなかった。
 子供のいない男爵夫妻が、当時六歳の私を孤児院から引き取り、当初は親の顔を見せてくれようとしていた。
 しかし、三年後、義父母に実子が授かった。
 義妹アマンダが産まれて、私は不必要な存在になってしまったのか、冷遇されるようになった。
 義父母の愛は、全て義妹に注がれた。
 
 あれから十年、義母も義妹も美しいせいか、ドレスやアクセサリーなど大量に買う癖がある。
 そして、とても意地悪だった・・。

「フィーリア! 窓ガラスが曇っているわよ! いつもピカピカに磨いておくように言ってるでしょう?!」
 庭の手入れや邸内の床磨きで手が回らないのに、重箱の隅をつつくように責め立てられる日々。
 私を追い詰めて楽しんでいる。あの意地悪い笑い方、ぞっとする。

「なにグズグズしてるの? 早くしなさいよ!」
 義妹は、バケツに汲んであった水を思いきり私にぶちまけた。
 雪がちらつく冬の朝に、心臓が悲鳴を上げる。
 面白くないことでもあって、八つ当たりしてるのかしら・・

「午後から買い物に行くから、荷物持ちをするのよ! わかったわね?」
 ずぶ濡れの私を馬鹿にしたように鼻で笑うと、義妹はバケツを蹴って踵を返した。


 
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