灯火

松石 愛弓

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 ララさんが美味しい紅茶を淹れてくれて 3人で談笑しながらいただいた後、
 モーリスさんが火魔法を使うところを見せてくれた。

 モーリスさんの掌の中に小さなオレンジ色の炎が生まれて だんだん大きく育って 生き物のようにうねりだした。
 掌と掌の間で炎の形を整え 大きな耐熱ガラスの容器に入れていく。
 容器の中では炎の球がたくさん蠢いていた。

「まるで小さな炎が生きているみたい。これは何ですか?」
 炎のせいか 部屋の中は ぽかぽか暖かい。
「これは生物を温める炎。大きな炎を作ればストーブ代わりになるし、小さな炎ならカイロにもなります。寒い冬を乗り切るために 屋敷内随所に置いたり、伯爵家の方々や使用人の方々にも いろいろな大きさの炎を耐熱容器に入れてお配りしているんです」
 テーブルの上には たくさんの耐熱ガラス容器が並んで 炎を入れてくれるのを待っているように見えた。

 モーリスさんは 炎を愛おしむように ひとつひとつ丁寧に耐熱容器に入れていく。
「私も お手伝いできたらいいのに・・」
 ぽろっと 本音が零れてしまった。
「・・炎を触れるんですか?」
 モーリスさんが不思議そうに尋ねる。
「わかりません・・。でも なぜか 自分にもできたらいいのにと思ってしまって・・」
 炎が綺麗で 暖かく思えて 触りたくなってしまった。危ないに決まってるのに・・。
「ふむ。もしかして、フィーリアさんには火魔法の属性があるのかもしれませんね・・。手を見せていただけますか?」
 私が掌を見せると モーリスさんが私の掌の少し上に小さな炎を浮かべた。
 キラキラと燃える小さな炎は とても暖かい。
「熱いですか?」と訊かれて
「いえ。暖かくて 癒される光です」
 なぜか熱いと思えない自分を不思議に思った。
 モーリスさんが火魔法で作り出した炎だから?

 そのうち 掌の上に浮かんでいた炎は 私の周りを楽し気に飛び始める。
「やはり 火魔法の才能があるようですね」
 モーリスさんが納得したように頷く。
「こんなの初めて見ました!」
 ララさんは凄く驚いてる。 
 まるで 懐くように私の周りを飛び続ける小さな炎。
 ペットみたいに可愛い。

「モーリスさん、私に火魔法を教えてください!お願いします!」
 思わず平身低頭に拝み倒す。
 火魔法使いになって どこかで働けるようになって サンダー家に帰らなくても自立できるようになりた~い! 
 と 切実に思ったのでした。

 
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