カラーメモリー『Re・MAKECOLAR』

たぬきち

文字の大きさ
4 / 124
アカリとフシギなタマゴ編

4色 甘い匂いに誘われて 

しおりを挟む
 しばらくして、隣町のセーランに着いたわたしたちはホウキを降りてマルの案内で目的の場所にむかった。

「到着しました」

 マルは足を止めてその場所を指さした。

「ここが、この町で一番の果物農園です」

 そこは、外からみても分かるくらい大きな果物農園だった。 例えるなら、わたしの通う学校がまるまる入っちゃうくらいかな?

「へぇーおおきな農園だね」

 シーニもあまりの大きさにびっくりしている。

「二人ともこっちです」
「ごめん、すぐいくー」

 棒立ちになっていたわたしとシーニをマルが離れた場所で呼び、農園の入り口で立ち止まった。

「勝手に入るといけないので、入口に設置されているベルを押して先輩を呼びます」

 マルは、入口のベルの所へ歩みよっていった。

「とてもいい香りがするね」

 シーニのいう通り果物の甘い香りが外にまで流れていた。

「うん、おいしそうないい香り……ねっクー……って、あれっ!? クーは!?」

 クーに声をかけたが、頭の上に乗っていたはずのクーがいなくなっていることに気が付いた。

「えっ!? クーどこ!」

 わたしは慌てて周りを探す。

「あっ! アカリあそこ!」

 シーニが指をさした方向に目をむける。

「ピュ~♪」

 甘い香りに釣られたクーが農園の中に入っていくのがみえた。

「クー! かってに入っちゃダメだよー」

 クーは声が届かないのか、そのまま中に入っていってしまった。

「おっおいかけよう!」
「うん!」

 わたしとシーニは丁度入口のベルを押そうとしていたマルの横をすりぬけて、農園の中へ消えて行ってしまったクーを追いかける。

「ごめん、マルあとからちゃんとあやまるからー」
「ええっ!? 何事ですか!?」

 マルはいきなりの出来事に戸惑った声をだす。

「ちょっちょっと待ってくださいー!」

 マルは慌ててわたしとシーニのあとを追いかけてくる。

 
 農園の中にはいるとたくさんの果物の木がありいろいろな種類の果物が実っていて、そのせいか中は外からみた以上に広く感じた。

 おいしそうな実のなっている木に一瞬気を取られたけど、グッと我慢してクーを探す。

「クーー」
「おーい」
「どこですかー」

 わたしたちは口々にクーを呼ぶ。

「どこにいっちゃたんだろう」
「広いからなかなかみつからないね」

 わたしたちはお互いの目をみる。

「……うーん」

 マルはあごに手を当てて何かを考えていた。

「マル、どうしたの?」
「いえ、少し心配事がありまして」
「しんぱいごと?」
「はい、先程も説明したようにここの農園は私の学校の先輩の農園なので、もしかしたら先輩がクーをみつけて保護してくれていたなら安心なのですが……もし、先輩じゃなくてカノジョが保護していたら、少し厄介だなと思いまして」
「やっかい?」

 わたしは、マルに問いかける。

「はい、カノジョの場合は『捕獲』が正しいかもしれません」
「どういうこと?」

 今度はシーニが問いかける。

「ザックリ説明すると、カノジョに捕獲されたら面倒っていうことです」
「かなりザックリした説明だね」
「そ、それならはやくクーをみつけないと!」

 わたしは慌てていう。

 すると、すこし離れた場所から「ピュ~♪」という声がわたしたちの耳に聞こえてきた。

 声のした場所をみると、そこには、クーが木に実っている果物を取ろうとぴょんぴょんと跳ねていた。

「クー!」

 わたしはみつけた喜びでクーの名前を呼んだが、クーは果物に夢中でこっちには気が付いていなかった。

 後少しのところで果物が取れないクーは木のそばから離れて距離をとり、その場所から走りだした。そして、助走をつけて小さなハネを勢いよくパタパタさせて飛んだ。助走をつけて飛んだことによりさっきより高く飛んだクーは木に実っている果物にむかって一直線、そしてクーの小さなくちばしが果物に触れようとした…
 
 次の瞬間!
 
 クーの周りに檻のようなものが出現し、クーはその檻の中に捕らえられてしまった。

「クー!?」

 今度は、驚きのあまり叫んでしまった。

「一足遅かったみたいですね」

 マルは冷静にいう。

「アナタたち……ここでナニをしているの……」

 わたしたちの背後から冷たい視線と声がした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】ここって天国?いいえBLの世界に転生しました

三園 七詩
恋愛
麻衣子はBL大好きの腐りかけのオタク、ある日道路を渡っていた綺麗な猫が車に引かれそうになっているのを助けるために命を落とした。 助けたその猫はなんと神様で麻衣子を望む異世界へと転生してくれると言う…チートでも溺愛でも悪役令嬢でも望むままに…しかし麻衣子にはどれもピンと来ない…どうせならBLの世界でじっくりと生でそれを拝みたい… 神様はそんな麻衣子の願いを叶えてBLの世界へと転生させてくれた! しかもその世界は生前、麻衣子が買ったばかりのゲームの世界にそっくりだった! 攻略対象の兄と弟を持ち、王子の婚約者のマリーとして生まれ変わった。 ゲームの世界なら王子と兄、弟やヒロイン(男)がイチャイチャするはずなのになんかおかしい… 知らず知らずのうちに攻略対象達を虜にしていくマリーだがこの世界はBLと疑わないマリーはそんな思いは露知らず… 注)BLとありますが、BL展開はほぼありません。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

小さな貴族は色々最強!?

谷 優
ファンタジー
神様の手違いによって、別の世界の人間として生まれた清水 尊。 本来存在しない世界の異物を排除しようと見えざる者の手が働き、不運にも9歳という若さで息を引き取った。 神様はお詫びとして、記憶を持ったままの転生、そして加護を授けることを約束した。 その結果、異世界の貴族、侯爵家ウィリアム・ヴェスターとして生まれ変ることに。 転生先は優しい両親と、ちょっぴり愛の強い兄のいるとっても幸せな家庭であった。 魔法属性検査の日、ウィリアムは自分の属性に驚愕して__。 ウィリアムは、もふもふな友達と共に神様から貰った加護で皆を癒していく。

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
毎日20時更新予定。 【あらすじ】 追放された『貸与者』は、不条理な世界を監査(清算)する 「お前のようなゴミはいらない」 勇者パーティの荷物持ちソラは、魔王討伐を目前に非情な追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 彼らの力はすべて、ソラの規格外のステータスを『借りていた』だけの虚飾に過ぎないことを。 「……わかった。貸していた力(資産)、すべて返還(清算)してもらうよ」 契約解除。勇者たちは凡人へと転落し、ソラはレベル9999の万能感を取り戻す。 しかし、彼が選んだのは復讐ではない。 世界に蔓延る「不条理な負債」を暴き、正当な価値を再定義する**『監査官』**としての道だった。 才能なしと虐げられた少女ミィナを助け、ソラは冷徹に告げる。 「君の絶望は、私が買い取った。利息として……君を最強にしてあげよう」 「因果の空売り」「魂の差し押さえ」「運命の強制監査」 これは、最強の『貸与者』が、嘘まみれの英雄や腐敗した領地を、帳簿の上から「ざまぁ」する物語。

手折れ花

アヒル
恋愛
王族から見捨てられ、とある村で暮らしていた第四王女だったが……。 侵略した王子×亡国の平凡王女のお話。 ※注意※ 自サイトでボーイズラブとして書いたお話を主人公を女の子にして加筆したものです。 (2020.12.31) 閲覧、お気に入りなど、ありがとうございます。完結していますが、続きを書こうか迷っています。

​『5階にトラック突撃!?ポンコツ女神の使役権と地球通販を得た医学生、辺境の村でワスプ薙刀と現代医療を駆使し最強防衛ライフを始める』

月神世一
ファンタジー
マンションの5階でカレーを作っていたら、なぜかトラックが突っ込んできた件。 ​外科医を目指す医学生・中村優太(24)は、特製の絶品バターチキンカレーを食べる寸前、マンションの「5階」に突撃してきた理不尽なトラックによって命を落としてしまう。 ​目を覚ますと、そこはコタツでカップ麺を啜るジャージ姿の駄女神・ルチアナの部屋だった。 「飲み会があるから定時で帰りたい」と適当な理由で異世界転移をさせられそうになる優太だったが、怒りのガラポン抽選でユニークスキル【地球ショッピング】と【女神ルチアナこき使い権】を引き当てる! ​かくして、ポンコツ女神を強制連行して剣と魔法の世界『アナステシア』に降り立った優太。 しかし、彼にはただのチートスキルだけではない、元SEALs直伝の「CQB(近接戦闘術)」、有段者の「薙刀術」、そして何より「現代医療の知識」があった――! ​降り立った辺境のポポロ村で彼を待っていたのは、クセが強すぎる住人たち。 ​キャルル: マッハの飛び蹴りを放つ、ファミレス大好きなウサ耳村長。 ​リーザ: タダ飯とポイ活に命を懸ける、図太すぎる地下アイドル人魚。 ​ルナ: 善意で市場や生態系を破壊する、歩く大災害の天然エルフ。 ​ルチアナ: 優太のポイントでソシャゲ課金と酒を目論む、労働拒否の駄女神。 ​優太は【地球ショッピング】で召喚した現代物資と、自身のサバイバル能力&薙刀術で野盗や魔物を無双! さらには特製のスパイスカレーで異世界人の胃袋を完全に掌握していく。 ​そして、村人に危機が迫った時。 優太の「絶対に命を救う」という善意の心が、奇跡の黄金ガチャを引き起こす……! ​「俺は医者だ。この村の命も、平和な日常も、俺の戦術(スキル)で全部守り抜く!」 ​現代の【医療・戦術・料理】×【理不尽ギャグ】×【異世界サバイバル】! 凶悪な「ワスプ薙刀」を振るい、ヤバすぎる仲間たちと送る、最強医学生のドタバタ辺境防衛ライフが今始まる!

【完結】転生したら断罪イベントの真っ最中。聖女の嘘を暴いたら、王太子が真っ青になりました

丸顔ちゃん。
恋愛
王太子は私――エリシアに婚約破棄を宣言し、 隣では甘ったるい声の“聖女”が「こわかったんですぅ♡」と泣き真似をしている。 だが私は知っている。 原作では、この聖女こそが禁術で王太子の魔力を吸い取り、 私に冤罪を着せて処刑へ追い込んだ張本人だ。 優しい家族を守るためにも、同じ結末は絶対に許さない。 私は転生者としての知識を武器に、 聖女の嘘と禁術の証拠を次々に暴き、 王太子の依存と愚かさを白日の下に晒す。 「婚約は……こちらから願い下げです」 土下座する王太子も、泣き叫ぶ聖女も、もう関係ない。 私は新しい未来を選ぶ。

【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

処理中です...