カラーメモリー『Re・MAKECOLAR』

たぬきち

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カラーエブリデイ その1

40色 マルとクロロン 後編

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「さて、次は何処に行きますか? 行きたい場所があれば、私の知る限りですが、案内します」

 お店を出て、私は緑風くんに問いかけると少し考える素振りをして、すぐに答えてくれた。

「おもちゃやカードショップとかってあるかな?」

 やはり男の子はそういうのが好きなんですね。

「カードショップと云える程ではありませんが、取り扱っているおもちゃ屋は心当たりはあります」
「ほんと!」
「はい、とても親しい幼馴染の実家兼お店ですので案内します」

 私は緑風くんを彼のもとへ案内した。

 スミレのお店から少し離れた、レトロな香りのするお店へとやってきた。

「こんにちは、トウマくんいますか?」
「やあ、りんごちゃんこんにちは」

 お店に入り、幼馴染のトウマくんを呼ぶと奥から彼が出てきた。

「おや? 彼は?」

 私の隣にいる緑風くんに気付くと聞いてくる。

「彼はコーヒーゼリーが大好きな緑風空太朗くんです」
「みどりかぜくうたです」
「おしいね」

 慣れたと思って油断しました。

「コホン……まあ、偶然会った彼に町を案内していたところ、おもちゃやカードがみたいとのことなのでこちらをお伺いしました」
「そういうことなら、是非とも、見ていってほしいね。 自分でいうのもなんだけどウチはいいもの揃ってるからね」
「はい」

 トウマくんは胸を張っていうと、緑風くんはお店の中をみて周る。

「こ、これは!?」

 少し奥の棚をみていた緑風くんは何かを発見した。

「これって! もしかして! 仮面戦士ディテクティブ、フルメタルフレイムモードのメタルスティックだよね!」

 長ったらしいカタカナを早口で云いながら、それを手に取る。

「お、それを知っているなんてなかなかマニアだね」

 それをみたトウマくんは少し嬉しそうに緑風くんに話かける。

「すごいよ! これってぼくが9歳か10歳の時の作品だから5年か6年前のだよね!?」

 緑風くんは興奮気味にトウマくんに聞く。

「そうだね、ウチはどっちかというと、レトロまではいかないにしろ、少し昔のおもちゃも数多く扱っているからね」

 トウマくんは胸を張る。私も、緑風くんの手に取ったおもちゃを眺める。

「私も詳しい訳ではありませんが、仮面戦士シリーズはトウマくんから話を聞いているので、少し知っているほうだと思われます」
「まるうちさん達は仮面戦士シリーズでどれが好きかな?」

 緑風くんが質問してきたので、少し考え、答える。

「仮面戦士シリーズで人気なのは、仮面戦士ステーションですが、私は仮面戦士ミラージュが好きですかね」
「僕は今放送している仮面戦士ドクターDが好きかな」
「確かにドクターDって面白いよね! 特に最近は土管を駆使して敵と戦うのが、熱いよね!」

 緑風くんは熱く語る。

「君はなにが好きかな?」

 今度はトウマくんが聞くと、緑風くんは悩みだす。

「ぼくは……そうだなー……ディテクティブも好きだけど、ポリスドライバーも好きだな。 でも、オニーはシャドーも好きっていってたし……迷うなー……」
「まあ、一番何が好きかってやっぱり迷っちゃうよね」
「お兄さんも好きなんですか?」

 お兄さんっぽい、ワードが出てきたので聞いてみる。

「うん、仮面戦士は元々オニーがみてて、それをぼくはなんとなく、みていたって感じかな」
「へえー、シャドーが好きとはお兄さんもなかなかマニアだね」
「このお店オニーに教えてみるよ。 絶対よろこぶと思うよ」
「ありがとう。 お客様が増えるのは嬉しいね」

 二人は楽しそうに会話を続ける。

「そういえば、トウマくん今日は『彼』はいないんですね」

 私は、ふと、気になっていたことを聞く。

「ああ、彼なら……」
「よんだ?」

 トウマくんが云いかけると陽気な声がした。

「あ、やっぱりいましたか」

 いることは分かっていましたけど、宙に浮いている少年が姿を現した。

「マルちゃん公認の騎士《ナイト》のボクがいないわけないじゃーん」
「公認にした覚えはないですけどね」
「じゃあ、ボランティアかな」
「ボランティアで付け回すのは、やめて頂きたいですけどね」

 いつも通り変なことを云っているノワルに釘を刺しておく。

「ところでノワル、許している訳ではありませんが、貴方にしては今日の騎士《ストーカー》活動が控え目でしたね」
「もしかしてもっと激しくやってほしかった?」
「通報しますよ」
「それはねー、えーっと、ぼくにもいろいろあったりなかったりするからねー」

 私が、ガチトーンで返したからか珍しく歯切れが悪い。

「どっちですか歯切れが悪いですね」
「あ!ししょー!」
「え?」
「うっ……」

 トウマくんと話していた緑風くんが、ノワルにすごいキラキラと眼を輝かせながら話掛ける。

「ししょーとまるうちさんって知り合いだったの!? 世間って狭いってやつだね」
「えーっと……知り合いというかマルちゃんを守る騎士《ナイト》だね」
「すごいよ! ししょーってそんなすごいことしてたんだ」

 ノワルの戯言はおいておくとして、歯切れが悪かったのは、別に私がガチトーンで返した訳ではなかったみたいです。 ノワルの服の襟をひっぱり、お店の端に行く。 さっきも似た様なシチュエーションがあった気がしますね。

「マルちゃん大胆だねぇ~ぼくこれからなにをされるか考えてコーフンしちゃうよ」
「ノワル、単刀直入に聞きますが何をしたんですか?」
「いきなり尋問だね」

 彼の話をまとめるとこうです。

 ある日、ノワルはとある用事でカーミンを訪れた時のこと、そこでたまたま緑風くんに出会い、ノワルの普段から宙に浮く魔法をみた緑風くんはノワルのことを『ししょー』と呼び、彼を尊敬の眼差しを向ける様になってしまったということです。

「まあ、大体把握しました」
「そういうことだねー」
「話は少しズレますが、その時ノワルの用とはいったい何だったのでしょうか?」
「…………」

 私はノワルの説明に出てきたそれが気になり聞いてみる。

 聞かなくても解りますけどね。

「たぶんだけど気づいてるよね?」
「はい、白状して貰おうと思いまして」
「取り調べかな?」

 その後、一通り私への騎士《ストーカー》活動を自白させて楽しそうに話ている二人の元へ戻る。

「あ、おかえり、りんごちゃんとノワル」
「ししょーキシカツお疲れさま」
「キシカツ?」
「騎士の活動、略して『キシカツ』だよ」
「なるほど、それなら『ストカツ』が正しいかもしれませんね」
「すとかつ?」
「騎士と書いてストーカーとも読むんです」
「へえーそうなんだしらなかったよ」
「りんごちゃん嘘はよくないよ」

 緑風くんに知識を吹き込もうとしたら、トウマくんに止められてしまった。

「緑風くんのおかげでノワルのストカツを抑制出来そうなのでお礼にと」
「別のカタチがいいんじゃないかな?」

 緑風くんに純粋な眼差しを向けられている、ノワルは珍しくたじたじになっている。

「もしかして、彼を私の隣に置けばノワル除けホイホイになるのでは?」
「あれ? ボクって虫以下の扱い?」

 そうこうしている内に、空がオレンジ色の染まっていて、私達三人は緑風くんを見送る為に商店街の門の前まで来ていた。

「今日はありがとうまるうちさん」

 緑風くんは可愛らしい笑顔を向ける。

「いえ、こちらこそ有意義な時間でした。 是非とも、また来てください」

 私も彼にお礼の言葉を告げる。

「あらたにくんとししょーもありがとう楽しかったよ」
「僕も仮面戦士好きの知り合いが増えて嬉しいよ。 また、話そうね」 
「まあ、きたければまたこれば?」

 二人も口久に云う。

「帰りはバスですか? それともホウキですか?」
「ううん、歩いてだね」
「え!? ここから歩いてですか!?」
「ここからカーミンまで歩くと一時間は掛かるんじゃないかな?」

 私とトウマくんは驚く。

「それでしたら、送っていきますよ?」
「大丈夫、心配かけちゃったならごめんね」

 緑風くんは大丈夫だと手をブンブンと前で振る。

「変って思われちゃうかもしれないけど歩きたいんだ」
「歩きたい?」
「うん、今歩けることや生きてることって当たり前かもしれないけど『過去のぼくが出来なかったこと』をしたいんだ。そして、この夕日とその後に広がる夜空の下を歩きたいんだ」

 緑風くんはそういうとこちらに屈託のない笑顔を向ける。 夕日に照らされたその顔は普段なら可愛く見えたのだろうけど、今は美しく見え彼の透通る様な瞳が鏡の様に私を映していた。

「そういうことなら解りました。気をつけて帰ってくださいね」
「うん、ありがとうじゃあね」

 彼は最後にそう一言いうと背を向けてカーミンへと帰っていった。

 彼の背中が見えなくなるまで私達はみていた。

「では、帰りますか」

 緑風くんの姿が完全に見えなくなったところで私はそう口にする。

「そうだね」
「折角三人集まっているので、今日は私の家に夜ご飯食べてきますか?」
「そういってくれるならお言葉に甘えようかな」
「わあーい♪ やったー♪ マルちゃんのご飯だー♪」
「じゃあ、行きますか」

 私達三人の声が夕方の賑わう商店街の中を流れていった。 


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