下宿屋 東風荘 3

浅井 ことは

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七泊八日

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「僕も?」

「私も行きます。昨日話が出たんですよ。みなさんもう休みだから、たまには休んで里帰りしたらどうだと」

「旅行に行くまで向こうで一緒にいれるの?」

「ええ」

「じゃあ行く!京弥さんにお土産買って行かないとね」

「決まりじゃな」

「このあと服を買いに行きましょうか。向こうにも何着か置いておくといいですから」

「うん。あ……浮遊城ってところは行けないの?」

「行ってみます?まだ私も見てないんですよ」

「じゃがあそこは家族と言えど立入禁止じゃろう?」

「家族もダメならそんな城いりませんと言ってありますよ?」

「また無茶な事を言ったの」

ご飯を食べてから服を買い、祖父母のものも買ったらかなりの荷物になってしまい、合流した後はタクシー二台に積んで分かれて乗って帰る事にした。

「すぐに行くの?」

「夕方には。今度は父の家の裏の神社に直接出るので楽ですよ」

帰ってからバタバタと準備をして、本もたくさん詰め込む。昴に借りた書物も持っていくことにし、服は置いてくるのでと、買ったものをそのまま預けてあるので、残りの必要そうなものを詰めていく。

「あ!あの木どうしよう……待っててくれるのかな?」

「雪翔、行きますよ」

そう声がかかったので木の話をすると、特に問題は無いだろうとのことで、車椅子のバッテリーを最後に詰めてみんなのところへと行く。

神社まで行くと、影たちが出したのか箱が山積みになっていて、これを運んだとしても片付けるのに苦労するのだろうなと自分のトランクも荷物の近くへと置く。

冬弥が先に荷物を送ってから全員でまとまって送ってもらう。
前もそうだったが本当に一瞬のことで、実際何が起きたのかわからない速さで着いてしまう。

「さてと、荷物を狐に任せて家に行きますかねぇ」

女性陣はスーパーの袋を持って家に入り、早速買ったものをしまってくると台所へ行ってしまった。

「今日はゆっくりするといい」

「うん、僕みんなにお土産渡してくるね!」

裏に回ると、いつもの所に周太郎の姿はなく、台所にも居なかった。

「周太郎さんは?」

「坊っちゃまお帰りなさいませ。周太郎さんはあちらのお宅へ荷物を届けに行ってますのですぐに戻ると思います」

「そうなんだ。あ、これ向こうの焼き菓子なんだけど、みんなで食べて」と給仕頭に渡す。

「ありがとうございます」

「それよりも、なんだか凄くない?」

「何がでございますか?」

「芋とか、お肉とか……山盛りになってるけど」

「肉は兎です。芋と人参玉ねぎは準備しておくように言われておりましたので、夕餉を楽しみにしていてくださいまし」

「う、うん」

そのまま玄関に戻ろうと出た所で周太郎にあったので、袋を渡す。

「これは?」

「お土産。開けてみて」

中からは濃紺のリストバンド。いつも薪割りをしているので、汗を止めるのにもいいと思い気に入って買っておいたものだ。使い方を聞かれたので、手首に嵌めると言うと、スポーツ選手のようにガッシリとした体型なのでよく似合っている。
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