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七泊八日
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「__御館様」
「よい、入れ」
音もなくさっと現れたのは真っ黒な装束に身を包んだ男性二人。
「報告を」
「坊っちゃまが居られますが……」
「良い、いつか分かるであろうことじゃ」
「では。まず、行商人は殺されておりました。他の家に出入りする行商人もです。商家あたりには被害は出ておらず、この一帯の屋敷中心に出入りしている行商人は全て……」
「野良か?」
「そこまではまだ。他の二人がまだ城側の屋敷の方を探っておりますのでハッキリとは分かりません」
「何人残っておる?」
「我々を含め十人は今この屋敷を囲んで警備に当たっております。残りは各方面への偵察に……」
「戻って来次第報告。特に雪翔を守るのじゃ……」
「御意」
そう言って消えていく姿はまるで忍者のようで、聞くと人間界で言う忍者のような者達で、戦闘や隠密行動にはとても優れている一族のものだと言われた。
「どこの家にもいるの?」
「誰も知らんだろうが、家くらいのものじゃよ。婆さんも気づいておるが、知っておるのは儂と京弥と冬弥だけじゃ」
「僕知っちゃったけど……」
「この家の男子は知っていても良い。もちろん他言無用じゃぞ?それにあれらはいつもひっそりと儂等を守ってくれておる。何かあれば必ずや助けてくれるから安心していい」
「使用人でもないんだよね?」
「ちょっと違うのう。儂も幼少期に知って以来、大人になって全員の顔を見るまでは信用しておらなんだ。あやつらも普段は町民と変わらぬ暮らしをしておるで、誰も本当の姿は知らんかもしれんな。雪翔も命令出来る立場にあるのじゃぞ?」
「殺しって……聞こえたけど」
「何か起こっているようじゃのぅ。あれらに任せておけば良い。何も心配はいらんよ」
「今日、街に買い物に行きたかったんだ。おばあちゃんへの贈り物……」
「また来年もある。今日は部屋にいなさい」
「庭もダメ?神社も?」
「周太郎も居らんし、一人は何があるか……」
「分かった。庭で我慢する」
「すまんな。なにかわかれば報告させよう。そうじゃ、雪翔よ……書庫にまた新しい本を入れたと京弥が言っておった。後で見てみるといい」
「うん」
一度部屋に戻り、金と銀を出すと翡翠がぐずってると言うので膝の上に置いてもらう。
「金、銀……話聞いてたよね?」
「聞いてた」
「二人共色々と記憶戻ってるんでしょ?何か僕にできることある?」
「雪の力は目覚めてるから後は札を貼って悪いのが来ないようにすればいいと思うけど……」
「兄ちゃん、雪はまだ護符について知らないよ?」
「あ、そうだった」
「えーと……」
「その時が来たらちゃんと身を守れると思う」
「そう思う」
それだけ言って戻ってしまった。
意味がわからないが、この家にはそれに関係する本がないので調べようもない。
「__坊っちゃま」
「え?」
「我々がお側から離れませんのでご安心ください」
「あの、さっきの忍者さん?」
「忍者ではございませぬ。我等風の一族はこの御館様の手足でございます。坊っちゃまもなんなりとご命令を」
「僕はあなた達の姿を見たらいけないの?」
「御命令であれば御前に……」
「よい、入れ」
音もなくさっと現れたのは真っ黒な装束に身を包んだ男性二人。
「報告を」
「坊っちゃまが居られますが……」
「良い、いつか分かるであろうことじゃ」
「では。まず、行商人は殺されておりました。他の家に出入りする行商人もです。商家あたりには被害は出ておらず、この一帯の屋敷中心に出入りしている行商人は全て……」
「野良か?」
「そこまではまだ。他の二人がまだ城側の屋敷の方を探っておりますのでハッキリとは分かりません」
「何人残っておる?」
「我々を含め十人は今この屋敷を囲んで警備に当たっております。残りは各方面への偵察に……」
「戻って来次第報告。特に雪翔を守るのじゃ……」
「御意」
そう言って消えていく姿はまるで忍者のようで、聞くと人間界で言う忍者のような者達で、戦闘や隠密行動にはとても優れている一族のものだと言われた。
「どこの家にもいるの?」
「誰も知らんだろうが、家くらいのものじゃよ。婆さんも気づいておるが、知っておるのは儂と京弥と冬弥だけじゃ」
「僕知っちゃったけど……」
「この家の男子は知っていても良い。もちろん他言無用じゃぞ?それにあれらはいつもひっそりと儂等を守ってくれておる。何かあれば必ずや助けてくれるから安心していい」
「使用人でもないんだよね?」
「ちょっと違うのう。儂も幼少期に知って以来、大人になって全員の顔を見るまでは信用しておらなんだ。あやつらも普段は町民と変わらぬ暮らしをしておるで、誰も本当の姿は知らんかもしれんな。雪翔も命令出来る立場にあるのじゃぞ?」
「殺しって……聞こえたけど」
「何か起こっているようじゃのぅ。あれらに任せておけば良い。何も心配はいらんよ」
「今日、街に買い物に行きたかったんだ。おばあちゃんへの贈り物……」
「また来年もある。今日は部屋にいなさい」
「庭もダメ?神社も?」
「周太郎も居らんし、一人は何があるか……」
「分かった。庭で我慢する」
「すまんな。なにかわかれば報告させよう。そうじゃ、雪翔よ……書庫にまた新しい本を入れたと京弥が言っておった。後で見てみるといい」
「うん」
一度部屋に戻り、金と銀を出すと翡翠がぐずってると言うので膝の上に置いてもらう。
「金、銀……話聞いてたよね?」
「聞いてた」
「二人共色々と記憶戻ってるんでしょ?何か僕にできることある?」
「雪の力は目覚めてるから後は札を貼って悪いのが来ないようにすればいいと思うけど……」
「兄ちゃん、雪はまだ護符について知らないよ?」
「あ、そうだった」
「えーと……」
「その時が来たらちゃんと身を守れると思う」
「そう思う」
それだけ言って戻ってしまった。
意味がわからないが、この家にはそれに関係する本がないので調べようもない。
「__坊っちゃま」
「え?」
「我々がお側から離れませんのでご安心ください」
「あの、さっきの忍者さん?」
「忍者ではございませぬ。我等風の一族はこの御館様の手足でございます。坊っちゃまもなんなりとご命令を」
「僕はあなた達の姿を見たらいけないの?」
「御命令であれば御前に……」
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