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七泊八日
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気を取り直して祭りを楽しんでいると、周太郎が上を見てと言うので顔を上げる。
「あれが朧車?ほんとに飛んでるよ……」
「かなり大きいです。多分上から神輿を見ているのだと思いますよ」
「へぇ……。あ!狸だ!煎餅やさん?」
「名物ですよ?たまにこちらにも入ってきますが、なかなか手に入らないので高価ではありますが」
「あっちは?河童……かな?きゅうり売ってるけど」
「漬物串です。他の地域の妖達は、毎年だいたい同じ場所に店を出してます」
「お婆ちゃん」と栞の祖母の方を呼んで、着物かけてある!と指をさすと、「あれは着物と言うよりも浴衣ね」と教えられ、よく見ると背中に『祭り』と書かれていた。人間界で言うところのTシャツのような感じで売っているのだろう。
「さて、帰るとするか。この先ついて行ってももう露店もなくなるしのう」
屋敷まで歩きながら栞の家で一旦別れ、家路につく。
「雪翔お風呂どうする?」
「眠くなってきたからいいかな」
「そうか?なら寝る前に金魚だけでも水瓶に入れてやろう」
「うん」
水瓶と言われたので陶器だと思っていたら、ちゃんとしたガラスで中には三匹小さい金魚が泳いでいた。
「金魚いたんだ」
「これは去年のじゃ。あまり大きくならんくての、ほれ、仲間が増えたぞ」と大量の金魚を中に入れている。
「ねえ、もしかして入れすぎなんじゃない?」
「そうなのか?ちょっと待っておれ。たしかもう一つあったはずじゃ」
押し入れを漁って出てきたのは、少し小ぶりの金魚鉢。洗ってからドボドボっと豪快に半分近く移し替えると、最初の水槽の金魚は隙間ができたからか、のんびりと泳ぎ始めている。
「やはり窮屈だったのかのぉ。もう一つ買ってきて均等に分けるとするか」
「そしたら金魚も大きくなるよきっと!」
翌日は最終日ということもあって、祖父と周太郎とバッテリーの回収のついでに金魚鉢を見に行くことにした。
「結構あるんだね」
売っている所は陶器屋だったが、ガラスの上に少し柄の入っているものもあり、赤い色の鉢を買ってからバッテリーを回収しに行き、そのままお蕎麦屋さんでご飯を食べる。
「周太郎さんと三郎さん達は?」
「外で見張りながら食うておるよ。あの一族はあまり人と関わりを持たんのじゃが、雪翔にはよく馴染んでおるようじゃの」
「冬弥さんと栞さんが帰って、やっと退院してみんなで居られるようになったのに、また一人になった気がして少し寂しくて……外も出れなかったし。それで無理言って話に付き合ってもらったんだ」
「そうか……まぁそうじゃよなぁ。ずっと病院が長かったからのぉ。夏はまた色々と変わっておるじゃろうから、今度は遠出でもするか?」
「いいの?」
「暑いから北に行くのもいい。そちらならあまり時間をかけずに行けるし、温泉もあったはずじゃ」
「楽しみ!」
「夏までに手配しておくから、冬弥達とまた日にちを決めてきておくれ」
そろそろ時間だと言われ、周太郎に荷物を持ってもらい社まで行く。
「いつでも遊びにいらっしゃい」と栞の祖父母が言ってくれ、祖母は「私たちもまた遊びに行くからね」と言ってくれる。
「さてと、そろそろ行くかの。送ったら帰ってくるで、屋敷のことは頼んだぞ」
荷物を持ってもらい社の中に入る時に手を振る。
扉が閉まるとポゥっと明るくなり、その瞬間栞の社の前に出る。
「ここからならうちは近いね」
「そうじゃの。それより、森で気をねっていたのではないのか?」
「見てきてもいい?」
荷物を持たせたままと言うのは悪いと思ったが、気になったので木に近付く。
手を触れるとちゃんとドクドクと脈を打つ音が聞こえたので、ただいまと手を触れて気を流す。
ドクン__
一際大きく脈を打った感じがしてつい手を離してしまったが、まだ何も見えないのでまた明日ねと家に向かう。
「あれが朧車?ほんとに飛んでるよ……」
「かなり大きいです。多分上から神輿を見ているのだと思いますよ」
「へぇ……。あ!狸だ!煎餅やさん?」
「名物ですよ?たまにこちらにも入ってきますが、なかなか手に入らないので高価ではありますが」
「あっちは?河童……かな?きゅうり売ってるけど」
「漬物串です。他の地域の妖達は、毎年だいたい同じ場所に店を出してます」
「お婆ちゃん」と栞の祖母の方を呼んで、着物かけてある!と指をさすと、「あれは着物と言うよりも浴衣ね」と教えられ、よく見ると背中に『祭り』と書かれていた。人間界で言うところのTシャツのような感じで売っているのだろう。
「さて、帰るとするか。この先ついて行ってももう露店もなくなるしのう」
屋敷まで歩きながら栞の家で一旦別れ、家路につく。
「雪翔お風呂どうする?」
「眠くなってきたからいいかな」
「そうか?なら寝る前に金魚だけでも水瓶に入れてやろう」
「うん」
水瓶と言われたので陶器だと思っていたら、ちゃんとしたガラスで中には三匹小さい金魚が泳いでいた。
「金魚いたんだ」
「これは去年のじゃ。あまり大きくならんくての、ほれ、仲間が増えたぞ」と大量の金魚を中に入れている。
「ねえ、もしかして入れすぎなんじゃない?」
「そうなのか?ちょっと待っておれ。たしかもう一つあったはずじゃ」
押し入れを漁って出てきたのは、少し小ぶりの金魚鉢。洗ってからドボドボっと豪快に半分近く移し替えると、最初の水槽の金魚は隙間ができたからか、のんびりと泳ぎ始めている。
「やはり窮屈だったのかのぉ。もう一つ買ってきて均等に分けるとするか」
「そしたら金魚も大きくなるよきっと!」
翌日は最終日ということもあって、祖父と周太郎とバッテリーの回収のついでに金魚鉢を見に行くことにした。
「結構あるんだね」
売っている所は陶器屋だったが、ガラスの上に少し柄の入っているものもあり、赤い色の鉢を買ってからバッテリーを回収しに行き、そのままお蕎麦屋さんでご飯を食べる。
「周太郎さんと三郎さん達は?」
「外で見張りながら食うておるよ。あの一族はあまり人と関わりを持たんのじゃが、雪翔にはよく馴染んでおるようじゃの」
「冬弥さんと栞さんが帰って、やっと退院してみんなで居られるようになったのに、また一人になった気がして少し寂しくて……外も出れなかったし。それで無理言って話に付き合ってもらったんだ」
「そうか……まぁそうじゃよなぁ。ずっと病院が長かったからのぉ。夏はまた色々と変わっておるじゃろうから、今度は遠出でもするか?」
「いいの?」
「暑いから北に行くのもいい。そちらならあまり時間をかけずに行けるし、温泉もあったはずじゃ」
「楽しみ!」
「夏までに手配しておくから、冬弥達とまた日にちを決めてきておくれ」
そろそろ時間だと言われ、周太郎に荷物を持ってもらい社まで行く。
「いつでも遊びにいらっしゃい」と栞の祖父母が言ってくれ、祖母は「私たちもまた遊びに行くからね」と言ってくれる。
「さてと、そろそろ行くかの。送ったら帰ってくるで、屋敷のことは頼んだぞ」
荷物を持ってもらい社の中に入る時に手を振る。
扉が閉まるとポゥっと明るくなり、その瞬間栞の社の前に出る。
「ここからならうちは近いね」
「そうじゃの。それより、森で気をねっていたのではないのか?」
「見てきてもいい?」
荷物を持たせたままと言うのは悪いと思ったが、気になったので木に近付く。
手を触れるとちゃんとドクドクと脈を打つ音が聞こえたので、ただいまと手を触れて気を流す。
ドクン__
一際大きく脈を打った感じがしてつい手を離してしまったが、まだ何も見えないのでまた明日ねと家に向かう。
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