下宿屋 東風荘 3

浅井 ことは

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陰陽の守り神

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「うわっ!美味そう」
「海都君が取ったんですか?」
「すげー!店でも出せる」

大学生にはチゲ鍋が人気で、最後には雑炊にして食べてしまうほど早くなくなってしまった。

醤油味も、海鮮の旨みが出ておりイカも柔らかく貝もとても肉厚だった。

「そうだ。古米なんですがって母が言ってましたけど。それでいいなら送りますって」

「本当ですか?助かります」

「後で電話しておきますね。精米はいつもお同じで?」

「お願いします。こっちの醤油はどうします?うどんにします?」

みんなまだまだ食べる気満々だったのでうどんを入れて取り分ける。

「雪翔、もっと食えよ!」

「食べてるよ。ちょっと胃が痛かったから……」

「そうなの?豆腐とか柔らかいのもあるぞ?」

「ありがとう、食べてるよ。チゲ鍋もそんなに辛くなかったから食べられたし」

「ホルモンでもうまいんだよなぁ……」

「あ、おい海都。新しく二店舗目ができるって。で、店長の弟知ってるだろ?それが店長。お前どっち行きたい?」

「今の所でいいよ?」

「伝えとく。バイト募集しないといけないらしくて、しばらく俺たち向こうの手伝いだって。明日行くだろ?勤務表見てこいよ」

「わかった」

「遠くなるんですか?」

「一駅先なんだけど、海都は意外によく働くからオープンだけでもって店長が。多分オープンから一週間くらいと思うけど、やっぱりダメですかね?」

「お世話になりましたからねぇ。特別に許可しますけど、制服はやめてくださいね?」

「一緒の時は一緒に帰ってくるから。その後は俺は掛け持ちだから遅くなります」

「鍵持ってますよね?戸締りはしてくださいね」

「了解です!」

「後ですね、今度の日曜日ってみなさんいます?」

みんなが手を挙げたのでなんだろうと思って聞くと、「この先の空き地にドラッグストアが建つそうで、一部通行止めになるそうです。入口に封鎖の道が書いてありますから見ておいてください。後、日曜は午前中ここに集まってください」

なんのお知らせか聞きたかったが、この建物の工事の話だというので、家にいると言ってから食器を返却口に戻して洗い場に移動する。

「雪翔君いいわよ?また触られないうちに賢司君に返してきたら?」

「うん、分かった」

家に戻って荷物を持ち食堂にいたので袋を渡してお礼を言う。

「面白かっただろ?」

「うん、本もわかり易かった」

「本ならまだあるからまた言えよ」

「ありがとう」

家に帰ってお風呂に入る時に、みんな出ておいでと言って、金と銀はアワアワになって洗いながら、湯船では泳ぐアヒルや亀等でネジを回して遊んでいる。

「しーちゃんは?」

「し、紫狐は女の子ですー。みんなのお世話しますー」

「あ、ごめん。そしたら翡翠も……」

「ひーちゃんは赤ちゃんだからいいのです!」

「白と黒は……入るの?」

嫌そうなのでお湯をかけたらプルプルとお湯を振り払ってるので、嫌ではないが入らないといったところかも知れない。

「洗面器にお湯入れて二匹入れてみようか……」

「ゆっきー、多分嫌がると思います」

「そう?」

「さっきの顔がムッとしてたので」

「見てなかった。翡翠なんてもう半分寝てるよ?」

「木から出てきたので水分はいると思うのですけど、お湯が嫌いなのかもと思いますー」

「早く話せるようにならないかな……翡翠もこの子達も」

「ひーちゃんは結構言葉が出てきてます。でも、紫狐が知っている赤ちゃん狐よりも早く話してますよ?」

「そうなんだ。まだもう少しかかるかな……しーちゃん、翡翠拭いてあげて。黒と白は何だかもう乾いてるみたい」

翡翠は体をぷるぷるさせてから紫狐のいうことを聞いてちゃんと体を拭かれているが、金と銀は自分でなんでもできるので手間がかからない。

寝間着を着て、お茶を飲んでから薬を飲んで布団にゴロッとなる。

「シャー!」

ツンツンと髪を引っ張ってくるので、服にしてよと文句を言うと、肩のあたりを引っ張って窓を指さす。

「白……?外がどうかしたの?」

仕方なく窓まで行ってカーテンを少し開けてみると人影があったので、冬弥さんかお客さんじゃない?と言うと、激しく首を振りまた指をさす。黒も出てきて引っ張るのでもしかして……と病院でのことを思い出す。
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