天満堂へようこそ 5

浅井 ことは

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仕事復帰

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真っ赤に燃える城。
何度か見た草原。
隣にはムーとブランとノアやユーリ。

「姫様!」と燃え盛る城に走っていく田中さんと、中年の男性。

それを見て何かを叫んでいるノアとユーリ。

行かないで!と手を伸ばして追いかけようとするのを、ブランとムーが服を咥えて離さない。

「待って!行かないで!」

ガバッと起きると、目の前にはムー。

「奏太君?」

え?と顔を横に向けるとブランも心配そうにこちらを見ている。

「奏太君、ノアさん呼ぶ?」

「いや、いいよ。それより、ちょっとシャワー浴びて来る。まだ暗いからお前達ゆっくりしてていいよ?」

「う、うん……」

汗でベタベタだったので、軽くシャワーを浴びてタオルで拭き、着替えを出しにシャワールームを出ると、ユーリさんがいた。

「え?なんで?」

「ムーさんとブランさんに呼ばれました。ノアは鍛錬していたので代わりに」

「何でもないんだよ?大げさなんだから……」

「その割には顔色が優れないようですが」

ジャージに着替えてリビングのソファに座る。
時間はまだ6時前。
このまま起きていたらいいかとテレビをつけると、丁度天気予報がやっていた。

「奏太さんこれを」

「何これ?」

薄い水色の液体は明らかに水でもお茶でもない。

「とにかく飲んでください。落ち着きますから」

ユーリの出してくれたものだから大丈夫だろうと、一気に飲む。

「甘い……」

「しばらくすれば落ち着くと思います。このまま起きられますか?」

「うん、また寝たら起きられないと思う」

「では、出勤後に使用人がシーツなど取り替えますので今はそのままに。なにか夢でも?」

「ちょっと、ビックリとした夢見ただけだよ?」

「……そうですか?」

「何?ムーもブランも変な顔して」

「だって奏太君、うなされてたもん。ブランがつついても起きなかったよ?ね?」

「クキョゥ……」

心配ないよと言いたかったが、余りにもリアルな夢を見たので何も言い返せない。
少し頭がふわふわしてきたので、そのことをユーリに告げると、ソファをベッド状にして横にしてくれる。

「やはり少し休んでください。チームが集まるのは早くてもお昼からとノアから聞きましたので」と毛布をかけてくれる。

そのまま眠ってしまい、次に起きるとノアが横にいた。

「あ!」

「そんなにいきなり起きられては……」

「何時?」

「まだ9時になったばかりです」

「会社行かないと……」

「お昼からで大丈夫です。先ずは食事を……」

ノアが内線で電話している間に身支度を整える。久しぶりのネクタイは苦しい気がしたが、今日はちゃんとした格好をして行かないとと思い、スーツに身を包む。

「奏太様、まだ時間はありますよ?」

「うん、でももう大丈夫」

「朝は申し訳ありませんでした。稽古を見た兄に行くと言ったのですが」

「いいよ。夢見が悪かっただけだし、子供じゃないんだから」
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