天満堂へようこそ 5

浅井 ことは

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天幻界の血

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「ノアと一緒に。あっちでは結月さんがみんな持ってくから食べられなくて。だからこっちに来て食べてたんだけど……本当は失礼なことだとは分かってて……」

「じゃが、腹が減ったか?」

「はい。食べ物ではあの2人に勝てないし、でもお腹はすくしで……」

「昔からあいつらは大食いじゃからの。ルーカスは飲む方が多いが……結月もまだまだ魔力が増えているところじゃから腹も空くのじゃろう」

「魔力が増えるとお腹が空くの?」

「確かに減るが、他にも耳鳴りや、音がよく聞こえたり、鼻が利いたり様々じゃな」

「今、それあるからかな?人の声が大きく聞こえてうるさく感じちゃって」

「何度か繰り返すが、酷ければ結月に薬をもらうといい。結月もたしか飲んでるはずじゃ」

「それなら1日3回って貰ったから、寝る前に飲もうかなと思ってて部屋においてある」

「そうじゃな。落ち着くまでは飲んでいた方がいいじゃろう」

「さて、儂はそろそろ行かねばならん」

「もう?向こうではまだ一日も経ってないし……」

「知っておるじゃろ?王は長く離れるわけにはいかんのじゃ。予備の魔力も置いてきてはおるが……またニコルの結婚式にも来るから、しばしのお別れじゃ息子よ」

「うん……」

「良いか?ノアと共にイヴァンから天界の話を聞けば良い。作法はその都度教えてくれるじゃろう。イヴァンは優秀じゃ。かなり頭が固いがな……お主たちならば、きっと仲良く出来ると信じておるし、イヴァンも元からあんな堅物な訳では無かったのじゃ。仲良くしてやってくれ」

「分かった。どこから帰るの?」

「儂は自分で帰れる。結月達は……まだやり合っておるのか。ではここから帰るとしよう」

「でもここ結界が……」

結界があるのが嘘のように、白と金色の光に包まれたと思ったら、またな!と一言残し消えてしまった。

「消えちゃった……」

「そうですね。やはり、王ほどの力をお持ちの方は、姫様の結界でも通り抜けれるのでしょうか?」

などと、消えた場所を見ていると、「馬鹿か!私が今見ていて、その部分だけ結界が消えるようにしただけだ」

「聞いてたの?」

「最後だけな」

「あのさ……」

「奏太、私は幻界の姫だが、作法はやはり天界と少し違う。教えれることは教えるが、イヴァンだったか?あの者に聞くのがやはり早いだろう。作法なんてものは他の王が来た時くらいしか使わんし、覚えて置いて損が無いくらいのものと思っておけば良い」

「そんなものなの?」

「そうだ。ついでに、ムーとブランにもある程度は教えてるぞ?見ただろうブランの挨拶」

「見た。あれ教えたの?」

「流石に野放しにはできんし、お前ではわからんだろう?」

「まともな事もするんだ……」

「一言余計だわ!さ、お前は帰って薬を飲んで寝ろ。ノア、耳栓も渡しておいてやれ」と小さな耳栓の入った袋を投げてくる。
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