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記憶と夢
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扉を開けて奏太を見ているエマとジョナスにどうだと聞くと、「起きてるよ」と声がかかる。
「まだ眠気はあるか?」
「大丈夫。まだ、喉が痛くて渇くけど……これ外してよ」
「吐き気や頭痛は?」
「無いよ」
ならば良いかと点滴を外して、水の入った入れ物に魔法をかけて、冷たくする。
「エマ、この水入れに魔法を掛けた。冷蔵庫と同じような機能だ。なるべく沢山飲ませてやってくれ」
「分かりました」
「汗でベトベトするからお風呂はいりたい……」
「まだダメだ!お前ずっと寝たままだったんだぞ?起きてすぐ風呂に入れる医者がどこにいる?」
「結月さん?」
「馬鹿がまた増えた……今日は我慢しろ」
「せめて身体だけでも拭かせてよ」
「エマ……悪いが用意してくれるか?天界の使用人がいたら、持ってきてくれるように頼んだらいい」
「はい。あの、途中王子が寝言で……ね、ジョナスさん」
「はい、意味はわからなかったのですが同じことを何度か」
「王子はやめてよ……」
「間違いじゃない。飽きるぐらい呼んでやれ。後でニコルも来るだろうから、その後は休んでくれ」
それだけ言い、ジョナス達にも簡単に説明をして、自身の身を守るようにとだけ言っておいた。
お湯が来たのでみんなを外に出し、体を拭いてやる。
「服は自分で着ろよ」
「分かってるよ」
「姫自ら拭いてやってるんだ。有難く思えよ」
「ありがとうお姉さま」
「棒読みするな!馬鹿者が!それでどんな夢を見たか覚えてるのか?」
「白い家があって、そこに小さい俺がいたんだ。段々と大きくなっていってたから分かったんだけど、木になにか隠してた。小さい時に……その後何か変なのに変身したんだよ俺……」
「変化か?」
「多分。頭から角みたいなの生えててさ、天使みたいな羽があって、馬みたいな真っ白な体だった」
「そうか……私もケンタウロスだから似たのかもしれんな。白じゃぁないが」
「その後婆ちゃんが家から出てきたと思ったら、周りが真っ白になって、最後にペンダントが見えたんだ」
「他には?」
「……リアムさんがいたんだ」
ピタッと拭く手が止まる。
「リアムが何処に?」
「分かんない……夢だからさ、おかしいのかもしれないけど、四人いたんだ。あと一人は杖をついてて、マントみたいなの被ってた、頭から。だから顔はわからないんだけど」
「奏太ちょっと待ってろ!とっとと拭いて服を着ておけ!」
慌てて部屋を飛び出してみんなのところへと戻り、奏太の話を聞きに行くとだけ言って連れていく。
部屋に入るなり「奏太様」とすがりつきに行くのはノア。
さすがのジョナスも、起きたことを喜んでいて文句は言っていないが、普段ならば「天王の御前である」とか堅苦しいことを言っただろうが、ムーもブランもみんなが喜び、天王さえも涙ぐんでいる。
「そうじゃ、ここでは狭い。奏太の部屋へと移らぬか?」
「まだ動かしたくはないんだが……」
「あれじゃ、ユーリなら出来るじゃろう?弦を編め。人間界で見たタンカーというものじゃ」
「担架ですね?」
「タンカーでは無かったのか……まぁ良い。それを作れ。儂が運ぼう」
「それなら大丈夫だな」
何するの?と言っている間に細長く編まれた台に乗せられ、天王の魔法で浮いて進む。
「僕も乗るー!」とムーが言ったので、ブランが僕の背中に乗る?と助け舟を出す。
部屋についてすぐにエマとニコルが紅茶とコーヒーを入れに行き、喉が渇くと言っていたので奏太には冷たいコーヒーを持たせる。
「まだ眠気はあるか?」
「大丈夫。まだ、喉が痛くて渇くけど……これ外してよ」
「吐き気や頭痛は?」
「無いよ」
ならば良いかと点滴を外して、水の入った入れ物に魔法をかけて、冷たくする。
「エマ、この水入れに魔法を掛けた。冷蔵庫と同じような機能だ。なるべく沢山飲ませてやってくれ」
「分かりました」
「汗でベトベトするからお風呂はいりたい……」
「まだダメだ!お前ずっと寝たままだったんだぞ?起きてすぐ風呂に入れる医者がどこにいる?」
「結月さん?」
「馬鹿がまた増えた……今日は我慢しろ」
「せめて身体だけでも拭かせてよ」
「エマ……悪いが用意してくれるか?天界の使用人がいたら、持ってきてくれるように頼んだらいい」
「はい。あの、途中王子が寝言で……ね、ジョナスさん」
「はい、意味はわからなかったのですが同じことを何度か」
「王子はやめてよ……」
「間違いじゃない。飽きるぐらい呼んでやれ。後でニコルも来るだろうから、その後は休んでくれ」
それだけ言い、ジョナス達にも簡単に説明をして、自身の身を守るようにとだけ言っておいた。
お湯が来たのでみんなを外に出し、体を拭いてやる。
「服は自分で着ろよ」
「分かってるよ」
「姫自ら拭いてやってるんだ。有難く思えよ」
「ありがとうお姉さま」
「棒読みするな!馬鹿者が!それでどんな夢を見たか覚えてるのか?」
「白い家があって、そこに小さい俺がいたんだ。段々と大きくなっていってたから分かったんだけど、木になにか隠してた。小さい時に……その後何か変なのに変身したんだよ俺……」
「変化か?」
「多分。頭から角みたいなの生えててさ、天使みたいな羽があって、馬みたいな真っ白な体だった」
「そうか……私もケンタウロスだから似たのかもしれんな。白じゃぁないが」
「その後婆ちゃんが家から出てきたと思ったら、周りが真っ白になって、最後にペンダントが見えたんだ」
「他には?」
「……リアムさんがいたんだ」
ピタッと拭く手が止まる。
「リアムが何処に?」
「分かんない……夢だからさ、おかしいのかもしれないけど、四人いたんだ。あと一人は杖をついてて、マントみたいなの被ってた、頭から。だから顔はわからないんだけど」
「奏太ちょっと待ってろ!とっとと拭いて服を着ておけ!」
慌てて部屋を飛び出してみんなのところへと戻り、奏太の話を聞きに行くとだけ言って連れていく。
部屋に入るなり「奏太様」とすがりつきに行くのはノア。
さすがのジョナスも、起きたことを喜んでいて文句は言っていないが、普段ならば「天王の御前である」とか堅苦しいことを言っただろうが、ムーもブランもみんなが喜び、天王さえも涙ぐんでいる。
「そうじゃ、ここでは狭い。奏太の部屋へと移らぬか?」
「まだ動かしたくはないんだが……」
「あれじゃ、ユーリなら出来るじゃろう?弦を編め。人間界で見たタンカーというものじゃ」
「担架ですね?」
「タンカーでは無かったのか……まぁ良い。それを作れ。儂が運ぼう」
「それなら大丈夫だな」
何するの?と言っている間に細長く編まれた台に乗せられ、天王の魔法で浮いて進む。
「僕も乗るー!」とムーが言ったので、ブランが僕の背中に乗る?と助け舟を出す。
部屋についてすぐにエマとニコルが紅茶とコーヒーを入れに行き、喉が渇くと言っていたので奏太には冷たいコーヒーを持たせる。
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