妖古書堂のグルメな店主

浅井 ことは

文字の大きさ
140 / 158
#11 夏の味覚

しおりを挟む

二階に行くと、テーブルの上にはあゆの塩焼き、何かのチーズの乗ったものに天ぷら。オーブンからは甘い匂いがしている。

「これは、ズッキーニのチーズ焼き。天ぷらは、この前の残りの蟹と、大葉にししとう、茗荷です。にんにくは素揚げで爆弾にしましたぁ。それと、オーブンの中はびわのタルトですぅ。焼けるまでもう少し待っててくださいね」

「このそうめんは?」

「細かく刻んだ大葉と茗荷で食べてください。ほらほらぁ、遠慮しないでぇぇぇ」と言っている側から食べ始めるアギル。

 いつも思うのだが、エプロンを取ってから食べてくれ!

「んんんんんんんんー。やはり旬の物はおいしいですねぇ」

「夏はゴーヤのイメージなんだけど」

「ノンノーン。それは良く食べられる食材でしょう?」

「大葉とかニンニクも良く食べるけど」

「でも、旬は今なんですよぉー。あゆは小ぶりながらも身が引き締まっていて美味しいですねぇ」

 ピーピーピー

「焼きあがりましたぁ。びわのタルトですぅ。ジャムでも良かったんですけど、びわはあまり香りがしないのでジャム向きではないんですよねぇ。食べ終わる頃には冷めるので、ほら、早く食べちゃってください」

 言われなくても食べると言わんばかりに天ぷらに箸を伸ばすと、さくっとした触感で香りもいい。あゆはサッパリしているので天ぷらで重くなるかなと思っていたが、そうめんも全部平らげて、甘い香りのタルトに手を伸ばす。

「あっまーい。大きめにびわを切って正解でした。はぁぁぁぁ。で・り・しゃーーーーすぅ」

 デリシャスと言うという事は、今回のお目当てはびわだったのだろうと思い、一つ口の中に放り込むと、ふわっと口の中から鼻腔に香りが抜け何とも言えない美味しさ。

 小さめの物を二つ食べてから、恒例の片付け。

 アギルはいつも食べた後に寝転ぶので、いつか太るぞ! と思いつつ、テオと片付けていく。

「夜は何にしましょうかねぇ」

 そう言いながら昼寝を始めてしまったので、テオにこの先の電気屋に行って来ると言って、走って電気屋に行き、目的の物を購入して急いで店に帰ると、テオが準備OKとばかりに席を譲ってくれる。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

白苑後宮の薬膳女官

絹乃
キャラ文芸
白苑(はくえん)後宮には、先代の薬膳女官が侍女に毒を盛ったという疑惑が今も残っていた。先代は瑞雪(ルイシュエ)の叔母である。叔母の濡れ衣を晴らすため、瑞雪は偽名を使い新たな薬膳女官として働いていた。 ある日、幼帝は瑞雪に勅命を下した。「病弱な皇后候補の少女を薬膳で救え」と。瑞雪の相棒となるのは、幼帝の護衛である寡黙な武官、星宇(シンユィ)。だが、元気を取り戻しはじめた少女が毒に倒れる。再び薬膳女官への疑いが向けられる中、瑞雪は星宇の揺るぎない信頼を支えに、後宮に渦巻く陰謀へ踏み込んでいく。 薬膳と毒が導く真相、叔母にかけられた冤罪の影。 静かに心を近づける薬膳女官と武官が紡ぐ、後宮ミステリー。

後宮なりきり夫婦録

石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」 「はあ……?」 雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。 あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。 空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。 かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。 影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。 サイトより転載になります。

あまりさんののっぴきならない事情

菱沼あゆ
キャラ文芸
 強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。  充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。 「何故、こんなところに居る? 南条あまり」 「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」 「それ、俺だろ」  そーですね……。  カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

火輪の花嫁 ~男装姫は孤高の王の夢をみる~

秦朱音|はたあかね
キャラ文芸
王を中心に五家が支配する、綺羅ノ国。 五家に覡(かんなぎ)として仕える十六夜家の娘、久遠(くおん)は、幼い頃から男として育てられてきた。 都では陽を司る日紫喜家の王が崩御し、素行の悪さで有名な新王・燦(さん)が即位する。燦の后選びに戦々恐々とする五家だったが、燦は十六夜家の才である「夢見」を聞いて后を選ぶと言い始めた。そして、その夢見を行う覡に、燦は男装した久遠を指名する。 見習いの僕がこの国の后を選ぶなんて、荷が重すぎる――! 久遠の苦悩を知ってか知らずか、燦は強引に久遠を寝室に呼んで夢見を命じる。しかし、初めて出会ったはずの久遠と燦の夢には、とある共通点があって――? 謎に包まれた過去を持ち身分を隠す男装姫と、孤独な王の恋と因縁を描く、和風王宮ファンタジー。 ※カクヨムにも先行で投稿しています

後宮薬師は名を持たない

由香
キャラ文芸
後宮で怪異を診る薬師・玉玲は、母が禁薬により処刑された過去を持つ。 帝と皇子に迫る“鬼”の気配、母の遺した禁薬、鬼神の青年・玄曜との出会い。 救いと犠牲の狭間で、玉玲は母が選ばなかった選択を重ねていく。 後宮が燃え、名を失ってもなお―― 彼女は薬師として、人として、生きる道を選ぶ。

処理中です...