天満堂へようこそ

浅井 ことは

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薬屋

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どこにでもある駅に近い寂れた商店街のど真ん中。

店内は風邪薬、頭痛薬など必要最低限置いてあるだけの小さな店。

天満堂

それがこの店の名前。

店先には特になにも並んでおらず、特売と書かれた大量のティッシュやトイレットペーパー等も店の中に所狭しと並んでいる。

普段は同じ商店街のおばぁちゃんが買いに来る程度で、思いっきり暇だ。

店の奥から自宅になってはいるが、
少々改装してある。

改装前は普通に台所兼ダイニング。
トイレに小さいお風呂。
二階には和室二部屋に押し入れが一つ。
六畳と四畳半という狭さだったが、
自分一人なので不自由はないものの、
薬を煎じる場所がほしくて六畳の一部屋を薬作りの部屋に改装した。

隣の四畳半には部屋いっぱいの大きさのベッドだけでなんの飾り気もない。

小さな半開きの押し入れには洋服が少々掛けてあるくらいで、他には何もない。

一階はお風呂やトイレは別れてはいるものの、
自分以外殆ど使わないが最新式の物を取り付け、キッチンはちょっとした喫茶店のように作り直してある。

店から入る引き戸を開けると少し小洒落た部屋に見える。
もちろん真正面にキッチンがあるため、
見えないようにブラインドが取り付けてある。

入ってすぐ左手にキッチン・バス・トイレ。
右は和室だったのをフローリングに替え、
奥には部屋に似つかわしくない重厚な机と椅子。
小さめだが少し高級感のあるソファとテーブル。

あまり見ないので飾り程度に40インチのテレビが壁にかけられている。

意外なことに薬を自分で煎じているのに、
部屋にも店にもそのような薬品の臭いなどは一切しない。

臭い消し・防音・感知など様々な魔方陣が部屋中に書かれているからにすぎないのだが、誰にも見ることはできないようになっている。

のんびりお茶を飲みながらそんなことを考えていると、こんにちは。
と近所のおばぁちゃんがやって来た。

「いらっしゃい。今日は何にします?」

「トイレットペーパーと、ティッシュ、後絆創膏もらえるかねぇ」

言われたものを用意するが、腰がかなり曲がったおばぁちゃんなので持てるはずもない。

いつものごとく、代金をもらい裏の自宅まで運ぶ。

店の入り口にはブザーを押してくださいとの貼り紙。

このブザーも鳴らせば自分にしか聞こえない特殊なものだ。
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