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浅井 ことは

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魔界から幻界へ

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わん。
と鳴かれご飯をあげるのを忘れていたことに気付く。
病院でついでにと買ったドッグフードを器にいれ、
一応お手やお座りなど一通り教え食べさす。

「面倒だから、この作業はしないがよいか?」

「はい。できますから大丈夫です。人間は言葉が通じないので……」

「賢いんだな」

「そうでもないです。まだ知らないことがたくさんあるので」

「そうか。これから覚えればいい。さ、食べなさい」

お腹が空いていたのだろう。ガツガツと食べる。
その一生懸命さも子犬だからか可愛いものだ。

煎じる手を止めたついでに、自分の肉も焼く。
サラダとステーキ。
それとワイン。

最近はこの食事が気に入っているが、
たまには伊勢海老も食べたい。
明日は市場まで行って買ってこようと決め、
適当に切り分け口に運ぶ。

その後少し作業を進め、切りの良いところでやめ就寝する。

次の日は珍しく新しい客が朝から来たので奥の部屋に通す。

一応種族・名前・今住んでいるところ・紹介者等を記入してもらい問診をする。

大抵は万能薬を定期的に買いに来るのでこの作業は一回きり前払いが厳守だ。

後は店頭で渡す時に金をもらう。

「珍しいな。妖怪の小鬼か?」

「はい。家のばぁさんの風邪が酷くなりやして。鬼の薬では効かないもんで……」

「万能薬でいいか?」

「はい。あの、臭いなんかは?」

「無い。無味無臭だ。一回分30万先払い。いくついる?」

「一回で治るでしょうか……」

「本人が来てないからわからんが、話だけでは3回飲ませれば治る」

「では三回分で。紹介料がいるとのことだったのでこれで」と100万テーブルに置く。

本物か偽物かは臭いでわかる。
前に狸が葉っぱで誤魔化そうとしたのでわざと騙された振りをして、後でさんざんな目に遭わせたことがある。
でないと、この商売はやっていけない。

本物だと確認し、薬を渡す。

「鬼の薬も見てみたいもんだが……」

「薬持ってます。これなんですが」

「貰ってもいいか?」

「はい」

「店は定休日以外はやっている。閉めてる時には張り紙がしてある。気を付けてきてくれ。で、連絡先はここだ」と名刺を渡す。

「この名刺は他のものには読めない様になっておる。誰かに渡されないためだ。欲しい薬があれば連絡をくれ」

「有難うございます。では……早く持っていきたいので」

小鬼を送り出した後、貰った薬を分析器にかける。
一時間はかかるだろう。だがこれでまた貴重なデータが取れるのは有難い。
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