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浅井 ことは

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魔王地上へ

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電話を切り、すぐに残りの材料が来るので待つようにと告げる。

「姫は、もう幻界にはお戻りにならないのですか?」

「たまに帰っているだろう?不満か?」

「いえ、みんな姫が帰ってくると楽しそうなので」

「また行くようにする。で、今回は初回だから150万だ。使い方は、無味無臭だから好きなやつに飲ませるか、二人で話ができるのであれば、自分の涙をいれて香水のようにつけて近くにいれば良い。1番確率が高いのは飲ませることだな」

「はい。頑張ります!」

話していると店のベルがなったので、店に顔を出す。

「早かったな、リアム」

「あなたがそうさせたのでしょう?これが綿毛です」と袋を置く。

「こっちで待っててくれないか?すぐに薬を渡さなければいけないんだ」

「いえ、大丈夫です。これでも忙しい身なのですよ。本日のところはこれで……あぁ、お代は結構です。姫の顔が見れましたので」

「助かった」

「では」と店を出ていく。

受け取った綿毛を先に出来ていた液体に大量に放り込み煮込む。
綿毛はすぐに溶けるので便利で使い勝手が良い。
かなり持ってこられたので、煮込んでいる間に透明の容器に移し変える。

出来た薬を小瓶に詰め、冷却魔法で冷まし一階へ持っていく。

「待たせたな。これで一回分だ。なるべく飲ませろよ?で、母上に返事はと聞かれたら、手紙は読んだ。その内会うこともあるだろうと伝えておいてくれ」

「畏まりました。これお代金です」

と札束を二つ出す。

釣りを渡そうとするが、人間界ではこのお金がたくさんいる世界だと聞いたから、もらって欲しいと言われたので、遠慮無くもらうことにした。

ありがとうと妖精は帰っていき、今のうちにと小瓶に惚れ薬を大量に詰めていく。
途中、殆どが万能薬だったがかなり売れ、人間の処方せんの薬も用意し忙しい一日となってしまった。

一月ほどたっただろうか、店を閉め食事をしているとルーカスが勝手に扉を開け入ってきた。

「おまえなぁ、来るなら来るで……」

「くそ親父は?」

「え? あ、っと、大分前に来たが?」

「行き先知らないか?」

「んなもん知るか!それにしても良く結界の中入ってこれたな」

「入れるようにしてあったんだろ?」

「私は結構お前を買ってるんだ。ちゃんと修行すればもっと強くなるというのに」

「してるって! で? そのあとも来てないのか?」

「来てない」と食べかけだった食事を再開する。

「なぁ、魔草がほしいんだが?」

「それもあってきた。あのクッソ親父が勝手に置き手紙残して出てったのは良いが、魔力を置いてかなかったんだよ。んで、王の席を狙うやつらが出てきて今大変なんだ。ついでに、魔草も魔力が行き届かないせいで殆ど生えてこなくなってる」

「なんだと? それは困る! お前の魔力は?」

「王座についたものでしか出来ないのは知ってるだろう?」

「そうだったな……」

「俺、一旦帰るわ。親父が帰ってくるまで玉座は守らないといけないからな……もし来たら強制的にでも帰してくれ」

「そうする。でないと私も困る」

仕方がないので魔方陣からルーカスを帰し、ゆっくりと風呂に入りながら、残りの魔草と天草がどれぐらい残っているかを思い出していた。

そうだ! とついでにムーもお風呂にいれ、乾かすもののすぐにストーブの前にいってしまう。

「ムー、お前毛が焦げるぞ?」

「大丈夫ですー。最近待ち合いのおじいさん達にさわられまくってて、何だかだるくって……」

「ふむ。ならばこれ飲んでおけ。所謂、回復薬のようなもんだ。疲れがとれる」

「ありがとうございます。ところで、この前来たきれいな人来ませんね?」

きれいな人?綺麗な人……?

「あぁ、あれは天界の王子でリアムと言う。見事な金髪だっただろう。ちょっと女顔だがれっきとした男だぞ」

「男の人にしては綺麗すぎませんか?」

「天界のものはみんな顔が良いんだよ。だが、あいつは別格な美しさがある。ただ……」

「ただ?」

「真面目すぎるのが我慢ならん!」

「ひゃい……」
大きな声を出したからろうか、ぴょこんと跳ねて毛布の上に逃げてしまった。

「逃げんでも良いだろう」

そういって、自分も布団にはいる。寒い日はムーが乗っかっているだけで暖かいので、カイロのような扱いになっている。
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