天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

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即位

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目の前を結月が通り過ぎる時に、ニヤッと笑われたが、その後に続いてついて行かなくてはならなかった為、天王について行く。

「奏太、この後パレードじゃ。馬車でのパレードじゃが、お前は儂とノアと乗る。二台目じゃぞ?」

分かったと頷き、後について馬車を見ると、前の結月が乗る馬車は薄いグリーン。その後に各界の色として、赤、黒と続き、両側には兵もちゃんと付いてきている。

「ねえ、サムさんは?」

「各界から護衛として来ていますからその中に」

「奏太、ちゃんとサムと呼ばねばの。威厳というものもある」

「慣れるまで待って……」

「良い良い。このパレードが終わったら本来場所を変え、四ブロックの一部を回るのじゃが、今回はここだけだと言っておった。葬儀もあるから、派手にはせんらしい」

「あのヴェールの話だけど」

「あ、はい。民は姫様が即位されたので、王がお亡くなりになったことは分かっているはずです。あのヴェールは前王の意思を継ぐとの意思の表れかと。普通は新たに作りますので」

「結月は昔から頑固なところがあるがこんな形で出してくるとはの」

「まだ、よく分からないんだけど、そんなに重要なの?」

「各界との関係もあるからの」

「前王の様にみんなと仲良くしていくって事かな?」

「簡単に言うとそういう事じゃな」

馬車が止まり、城の周りを1周したのだと分かり、言われるままに降りてついて行く。

ムーたちもどうしていいか分からなかったのか、大人しくついてくるので、問題は無いが、これから何をするのだろうと、中に入る。

「奏太」

「何?」

「今からは王の間だ。この列を抜けて軽装に着替えに逃げるぞ!」

「分かった」

「お供します」とノアとニコルに言われ、転移で部屋へと移動し、ひらひらした服を脱ぎ、スカーフへと変える。
アクセサリーも取り、楽になったところで、また転移して王の間の前で待つ。

結月たちが歩いてきたので、柱の陰に隠れ途中で列に戻り素知らぬ顔をして戻る。

「バレてるな」

「普通ばれるでしょ?後で絶対怒られちゃうよ」

「でもヒラヒラは嫌だったろ?」

「まぁね。俺だけなら転移できないから助かったよ」

中に入り、そのまま貴賓で来ていた人からの祝辞を聞いてから、平常通りの話しに戻る。

「今日即位したばかりだが、此度の件では各界騒がせたこと、天界の王子の御披露目式が台無しになってしまったこと、心よりお詫び申し上げる」

と話が進む中、ルーカスが「王になっても相変わらず話し方は変わらないよな。まさか親父の事マー坊とか呼んだら流石に不味いと思うんだけどな」

クキョォー?

「え?ブラン?」

「どうしたんだよ。今話の最中だぞ?」

羽をバタつかせ何かを訴えようとしているが、話せばいいのに話さない。
隣にいるムーを見るも、ずーっと奥の扉から目を話そうとしないでいる。

「ブラン話して?」

「クキョッ!クキョキョキョ……」
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