天満堂へようこそ 6

浅井 ことは

文字の大きさ
56 / 127

.

しおりを挟む
水晶に写っている結月の顔が相当嫌そうな顔して居たので、自分の知らない何かがあるのだろう。

ただ、クローンと言っていたということは、前にも同じ事があった。

それも結月クローンで……

「兵にビニールに入ってるか瓶に入っているかわからないけど、人のものと思われるものはすべて一つにまとめるように言って。あと……もしかしたら血液もあるかもしれない。ここの棚のものも運び出して。俺とノア。他に兵を数人貸して。サムはここの指揮を。終わったら合流して」

「御意」

指示はできた。水晶の中の結月も満足そうだから間違った判断はしてないだろう。

「奏太様、次の扉開けますよ?」

「うん」

ギギギーっと少し錆びた音がし開いた所は細い廊下に下に降りる階段。

それも半地下のような中途半端さだ。

「王子、次の扉も兵に……」

「分かってる。でも注意だけは怠らないで?」

「そんなやわな育てかたはしておりません」

確かに足取りを見ると外国映画で見るような特殊部隊のような歩き方と慎重さがある。

次の扉が見え、兵がゆっくりと扉を開けた瞬間。

ドーーーーンと爆発音がし、中の部屋が粉々になっている。

「大丈夫か?おい、奏太、ノア……」

まだまだ耳鳴りがするものの、とにかく平気だとアクションを起こし、周りにいた兵を見る。

頭から血を流すもの、腕が吹き飛んだもの、足がなくなっているもの……
目を覆いたくなる光景につい涙が出てしまう。

「奏太、酷かもしれんが兵を助けられるのはお前だけだ。もげた足や腕を兵のそばに置いて魔力を流せ。今ならまだ付く……奏太!早くしろ!」

ノアに目配せし、近くにある腕や足を兵のそばへと置いていってもらい、魔力を流してくっついてくれと願う。

「うぅ……」

「大丈夫だからね?痛いだろうけど、治るからさ……」

「奏太様、ある程度くっついたら私が治癒の魔法を掛けますので、他の兵の方を……」

「うん」

「奏太聞こえるか?ノアにもかなり治癒は教えてある。信じろ……お前の魔力はこれで多分限界になる可能性が高い。兵の処置が終わったら一旦引け」

「ここまで来て?みんなが犠牲になったのに自分だけ安全なところに__」

「いいから引け!お前にまで何かあったら困る。天幕で体をまず休めろ。こちらから追って連絡する」

通信が切れ、なんとか全員の手足をつなぐことには成功したが、今後どうすればいいのだろう……

「奏太様引きましょう」

「でもみんなが」

「残りの兵で引き上げさせます」

頭ではわかっている。自分が王子だから兵が守ってくれることも。
でも本当にそれでいいのだろうか?
そんなことを考えて砂煙の消えた爆発した部屋を見ると、青く光るものが目に入った。

「あれだけの爆発でなんで傷一つついてないんだろう?それに……」

「ええ、陛下に瓜二つですね」

「気分的には破壊とか嫌だけど、これは今壊して置かないといけないような気がするんだ」

「通信は?」

「もう切れてる。天幕で休めって言われたけど、勘だけど放っておいたらダメな気がするんだ」

「ならば手伝いましょう。光っていると言うことは、電源は別にあるのでしょう。まずコードを切ります」

「うん」

「奏太様?」

「あ、あぁごめん。あまりにも似すぎてて……違うってわかってるんだけど」

「サムさんを呼んできます。ここを動かないでください」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―

MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」 「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」 失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。 46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

処理中です...