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力の欠片
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境内まではまだ距離があったが、木で出来た長椅子はいろんな所に設置されているので、そこに祖父を座らせて、近くの自販機まで走って水を買いに行き、祖父に渡す。
「あれは──」
少し水を飲んで、祖父が教えてくれたのは、三十年は昔のことで、その時にも祭りの時に現れた物の怪だと言う。
「あれって妖怪的なものなの?」
「大国様が言うには、人の魂が幾重にも重なってできたものと聞いている。だが、普通はあのような形は取れないのだとも。当時は無我夢中で夜な夜な退治に来ていたんだがな、いつももう少しのところで逃げられていたんだ。やっと倒した時には今のように面をかぶり、人の言葉も話すようになっていた……」
「倒したのに出てきたってこと?」
「倒したと思っていた……が正しいかな。また出てくるとは思わなかった。アレは今でこそ人の形はしているが、元々顔らしきものがあるだけで人間のような顔は持っていなかったと聞いている。本当の姿かたちは私にもわからんのだ」
「分からない?」
「あれは──」
少し水を飲んで、祖父が教えてくれたのは、三十年は昔のことで、その時にも祭りの時に現れた物の怪だと言う。
「あれって妖怪的なものなの?」
「大国様が言うには、人の魂が幾重にも重なってできたものと聞いている。だが、普通はあのような形は取れないのだとも。当時は無我夢中で夜な夜な退治に来ていたんだがな、いつももう少しのところで逃げられていたんだ。やっと倒した時には今のように面をかぶり、人の言葉も話すようになっていた……」
「倒したのに出てきたってこと?」
「倒したと思っていた……が正しいかな。また出てくるとは思わなかった。アレは今でこそ人の形はしているが、元々顔らしきものがあるだけで人間のような顔は持っていなかったと聞いている。本当の姿かたちは私にもわからんのだ」
「分からない?」
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