下宿屋 東風荘 2

浅井 ことは

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学校

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「本なんて読んでたら下がる熱も下がらないぞ?」

「秋彪さん、玲さん!」

「人間の服は久しぶりだが、どうだこれ?」と玲が言ってくる。

ジーンズに半袖のTシャツ、パーカー。秋彪は七分袖のTシャツに、踝丈の黒のパンツ。

「二人共似合ってます」

「昨日、那智の使いが来て話は聞いた。来るのが遅くなってすまんな」

「いえ、僕がずっと黙ってたのが悪いので……」

「でもさ、普通これだけ毎日怪我してたら、俺達気付くはずなんだよな。血の匂いとかには特に敏感だから……よく隠してたな」

「それは何故だか分からないけど」

「それより、これ買ってきたんだけど使い方がわからなくてさ。電話番号ってやつ入れてくれないか?」

メールの仕方も教えてくれと言われ、必要な人の分の電話番号を登録し、ラインをダウンロードして使い方を教える。

「このボタン押せばいいんだな?」

「そう。そしたらこうやって文章が出るから、ここに返事を打つんだよ」

成る程と三人で練習がてらLINEの練習をし、ある程度使えるようになった所で、那智もオシャレな携帯を買っていたと聞く。

「使い方わかるのかな?」

「頑固だから今頃イライラしてるんじゃないか?」

「俺、使えないに一票」

「だったら掛けにならないだろ?冬弥は持ってるのか?」

「持ってます。栞さんも最近……前の入院のときに必要だとか言って買って、このラインで連絡を取り合ってました。下宿のみんなとも取れるので便利だと言ってましたけど」

「先越されたな」


ガラッと開く時は大体那智なので、おはようございますと挨拶すると、「お前達も来たのか」と秋彪たちを見る。

「この電話にラインと番号登録してくれ。こいつらのもついでに」

言われた通りみんなの番号とラインを送り登録まですると、ポケットにしまってしまった。

「使い方は……」

「もう覚えた」

ピコン!

しまった携帯を見て、サッと文字を打ち返す。

「早っ!それに何?馬鹿って入ってきたし!」

「テストと入れてきたのはお前だ。雪翔、今から警察の人が来る。熱は?」

「38℃まで下がりました」

「話せるか?」

「はい」

「昼には弁護士が来る。それも詳しく聞かれるが、二件ともまだ無理はさせれないと医者が言ったから、途中で中断してもいい」

「大丈夫です」

「那智、その警察動かしたのお前だろ?」

「そうだ」

「そこまでする必要あったのか?取り憑いてやれば簡単だったのに」

「雪翔が嫌がったからな。こちらには診断書があるし、多数の目撃者もいる。ちゃんと調べはつけてあるから、警察も裏付けする程度だろう?」

物騒な話をしている間に警察の人が来たので、秋彪達はまた来ると言って帰っていった。

警察手帳を見せられ少しビクッとしたが、那智が怖がることはないと言ってくれる。

「聞きたいのは幾つかあるから、ゆっくりでいいから教えてくれるかい?」

もうすぐ定年だろう刑事さんと、まだ若い刑事さんが、ドラマで見るような手帳に書き込み、若い刑事さんは調書とか言う紙に記入していっている。

わかることを全て答え、最後に名前を書く。那智が診断書を渡したら、刑事さんがまた来ます。と名刺をくれた。

「ふぅー」

「もう昼飯だが、食べれないのならゼリーとかでも良いそうだ」

「なら栞さんが来るって言ってたので、買ってきてもらいます」と携帯を出すと、待てと止められる。

何だろうと思ってみると、その買い物リストを自分の携帯に送れとの事らしく、携帯を出してトントンとしているので、欲しいものを打って送る。

そのまま売店に行くために部屋から出ていくと、紫狐がひょこっと出てきて、「那智様も初めてだから使いたいのかも知れませんね」とクスクス笑う。
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