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記憶
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「やった!これで痒いところかける……背中も痛かったんだ……」
「少し起き上がるか?同じ体勢だったから変えた方がいい」
「うん!」
隆弘と賢司の補助でなんとか起き上がれたが、一人ではまだ難しいようで、無事な右手も食べれてなかったせいか痩せてきているようにも見える。
喉の方も良くなっていて、声はまだガラガラだけどちゃんと話せるようにもなってきていた。
「雪翔、これ肉じゃが作ったからね、お昼に食べましょう」
「うん」
「おお、そうじゃ。将棋盤があったから後で借りてこよう」
「俺借りてきますよ」と賢司が出ていき、自販機で買った飲み物と一緒に持って帰ってきた。
冷蔵庫にも追加で飲み物を入れてくれたので、ゆっくりと水分はとっていけばいいと思っていたら、ビデオは夜に見ると言って、早速お爺さん対隆弘の勝負が始まっていた。
「もう!」
「見てご覧なさい、雪翔のあの顔。私達は初めて見ましたよ?あんなに楽しそうな顔」
「はい」
「しばらく好きにさせてあげましょうか」
窓際のソファに腰を下ろし、ペットボトルの蓋を開けて渡し、ジュースを飲む。
パチッ、パチッと音がし、待った!と隆弘がいい、何度目じゃ!とワイワイとしているが、「あれだけは私はやった事がないのよ?難しそうで覚えられないのよねぇ」
「私も見ているくらいで、全く……でも、これも頭を使うからいいリハビリになるんでしょうか?」
「そう思うわ。……あら?花ちゃんどうしたのかしら?ちょっと待っててね」
病室の外に行くのを、花と紫狐が付いていき、すぐに戻ってくる。
「どうかしたんですか?」
「いえね、凛ちゃんが那智さんが来るって言ってたらしくて、花ちゃんと紫狐ちゃんは相手の親が来るって言ってるのよ」
「あ!扉に面会謝絶掛けてありましたっけ?私見てきます」
すぐに戸を開けて掛かっていることを確認すると、前から那智が歩いてきたので、先程の話を伝える。
「なら、ここは一番奥の部屋だから、前の椅子に座って待っていたら来るだろう?来たら俺が追い返す」
戻って雪翔達を見ると、既に勝負がついていた。
那智さんが来ているので、お願いしますと外に促す。お婆ちゃんも行ってくるわねと雪翔に言い、またみんなで将棋崩しで遊ぶと言うので、自分も外に出て来るのを待つ。
カッカッカッと高いヒールを鳴らしながら二人の母親と弁護士がついてきており、扉の前に立つので、「面会できません!」と強めに言う。
「お見舞いに来てあげたのよ?」
「ナースセンター通してませんよね?もし通していたらここまで来れないことになっています」と那智がいい、更に「弁護士同士での話をと希望しましたが?」とも言う。
「まぁ、そう硬いことは言わずに……」
話しているのに気を取られていて、四人もいたのに扉を開けるのを阻止できなかった。
「なんだ、元気そうじゃないの。ちょっと、あなた……」
「あー!おばさん、まだ雪翔は熱が下がったばかりだから……」と賢司が阻止しようとするものの、「何なの?触らないで!」と賢司を振り切り、その反動でよろけて壁にぶつかってしまう。
「大丈夫か?」
「ああ……」
雪翔の前に立ち、バシッと頬を叩く。
これには流石の弁護士も止めに入ったが、雪翔の顔色はだんだんと悪くなり、ガタガタと震え出すのを隆弘と賢司で大丈夫だと肩を抑えて背中をさすっている。
「少し起き上がるか?同じ体勢だったから変えた方がいい」
「うん!」
隆弘と賢司の補助でなんとか起き上がれたが、一人ではまだ難しいようで、無事な右手も食べれてなかったせいか痩せてきているようにも見える。
喉の方も良くなっていて、声はまだガラガラだけどちゃんと話せるようにもなってきていた。
「雪翔、これ肉じゃが作ったからね、お昼に食べましょう」
「うん」
「おお、そうじゃ。将棋盤があったから後で借りてこよう」
「俺借りてきますよ」と賢司が出ていき、自販機で買った飲み物と一緒に持って帰ってきた。
冷蔵庫にも追加で飲み物を入れてくれたので、ゆっくりと水分はとっていけばいいと思っていたら、ビデオは夜に見ると言って、早速お爺さん対隆弘の勝負が始まっていた。
「もう!」
「見てご覧なさい、雪翔のあの顔。私達は初めて見ましたよ?あんなに楽しそうな顔」
「はい」
「しばらく好きにさせてあげましょうか」
窓際のソファに腰を下ろし、ペットボトルの蓋を開けて渡し、ジュースを飲む。
パチッ、パチッと音がし、待った!と隆弘がいい、何度目じゃ!とワイワイとしているが、「あれだけは私はやった事がないのよ?難しそうで覚えられないのよねぇ」
「私も見ているくらいで、全く……でも、これも頭を使うからいいリハビリになるんでしょうか?」
「そう思うわ。……あら?花ちゃんどうしたのかしら?ちょっと待っててね」
病室の外に行くのを、花と紫狐が付いていき、すぐに戻ってくる。
「どうかしたんですか?」
「いえね、凛ちゃんが那智さんが来るって言ってたらしくて、花ちゃんと紫狐ちゃんは相手の親が来るって言ってるのよ」
「あ!扉に面会謝絶掛けてありましたっけ?私見てきます」
すぐに戸を開けて掛かっていることを確認すると、前から那智が歩いてきたので、先程の話を伝える。
「なら、ここは一番奥の部屋だから、前の椅子に座って待っていたら来るだろう?来たら俺が追い返す」
戻って雪翔達を見ると、既に勝負がついていた。
那智さんが来ているので、お願いしますと外に促す。お婆ちゃんも行ってくるわねと雪翔に言い、またみんなで将棋崩しで遊ぶと言うので、自分も外に出て来るのを待つ。
カッカッカッと高いヒールを鳴らしながら二人の母親と弁護士がついてきており、扉の前に立つので、「面会できません!」と強めに言う。
「お見舞いに来てあげたのよ?」
「ナースセンター通してませんよね?もし通していたらここまで来れないことになっています」と那智がいい、更に「弁護士同士での話をと希望しましたが?」とも言う。
「まぁ、そう硬いことは言わずに……」
話しているのに気を取られていて、四人もいたのに扉を開けるのを阻止できなかった。
「なんだ、元気そうじゃないの。ちょっと、あなた……」
「あー!おばさん、まだ雪翔は熱が下がったばかりだから……」と賢司が阻止しようとするものの、「何なの?触らないで!」と賢司を振り切り、その反動でよろけて壁にぶつかってしまう。
「大丈夫か?」
「ああ……」
雪翔の前に立ち、バシッと頬を叩く。
これには流石の弁護士も止めに入ったが、雪翔の顔色はだんだんと悪くなり、ガタガタと震え出すのを隆弘と賢司で大丈夫だと肩を抑えて背中をさすっている。
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