下宿屋 東風荘 2

浅井 ことは

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記憶

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日だけが過ぎていき、かなり落ち着いたことと、ギプスが取れたことで、外泊の許可が降りた。

喉もすっかりと良くなり、後遺症もなく言葉も元に戻り、心の傷以外はすっかりと回復に向かっていた。

「おかえり!」

海都が飛び出てきて、新しい部屋で漫画見ようと雪翔を連れていく。

「良いんですか?」

「子供は子供同士よ?」

するとすぐに戻ってきたので、何かあったのかとみんなが強ばっていると、母屋に来てと祖父母を引っ張っていく。

「見てよこれ!本ばっかりでしょ?荷物は俺達が運んだけど、何にもないんだ。で、冬弥さんパソコンやWi-Fiとか付けてくれないからさ、じいちゃん権限でつけてくれないかなーって」

「わ、わいはい?なんじゃ?」

「あのね、前に母屋に離れができた時にあればいいねって話してて……僕、他になにかに使おうとしてたと思うんだけど、分からなくて……でも、パソコンは欲しいと思ってて……だめかな?」

「よく分からんがつけよう!」

ならば早速と大学生を連れて買い物に行ってくると言い出掛けていく。

パソコンはカタログがあったのでそれを隆弘に見せ、あとは任せて漫画を借り、テレビゲームで遊ぶ。

ゲーム機は賢司のバイト先の人からもらったものだとのことで、キャラクターを選んでカートに乗せて、コースを走るゲーム。
途中で邪魔するために、バナナの皮や亀などを落としてくるので避けるのに必死で、何度かに一回勝てただけだった。

「これ面白いね」

「古いゲームって聞いてたんだけどさ、俺のとるアイテムバナナの皮ばっかり!疲れてないか?」

「平気だよ。何か飲む?」と立とうとするが、まだリハビリも始まったばかりなので、うまく足が動かない。

「良いよ、俺やるから。勝手に出していい?」

「うん。あ!炭酸あったかな?」

「コーラはあるけど、飲めるか?」

「試してみようかな?」

グラスは棚にあると言って持ってきてもらって飲むと、最初はしたがピリピリと痺れたが、すぐに慣れ少しずつ飲むことにした。

夕飯は栞と祖母がしてくれ、夕飯は工事の話とパソコン・Wi-Fiの話にまでなった。

冬弥さんの家の電話が黒電話だったから変えるしかなく、設置できるものは隆弘と賢司がしてくれる事になった。

「ついでに、無料だったからアニメやドラマ・映画見放題の奴あってさ、契約してきた」

「どこに置くの?」

「雪翔の部屋」

「ここに付ければいいのに……」

「お前まだ動くの大変だろ?それに、母屋につけた方がいいと思ってさ。だからお前の携帯がホストな。Wi-Fiついたらそんなに外で使うこともないだろ?」

「うん、でも怒られないかな?」

「儂が怒られてやる!だから気にせずにリハビリとやらを頑張りなさい」

「はい」

夕食には外泊祝いとして刺身や煮物、好きだと言ったものが沢山並んでいて、食べきれない分はタッパーに入れて母屋の冷蔵庫に入れてお昼に食べることにした。

母屋に帰るときにはやはり歩行器が必要で、のんびり押して帰っていると、隆弘に呼び止められる。
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