下宿屋 東風荘 2

浅井 ことは

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全ての始まりと終わり

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「さ・お・と・め・です!」

「僕と同じ?」

「ええ、早乙女 冬弥となりましたよ?だから、もう名前で困ることもなくなったので、こちらでの細かいものの書き換えをしなくちゃいけないんですよねぇ。今まで適当に名乗ってましたから」

「手紙はちゃんと届いてたのか?」

「何とか。ただ神気は返って人を傷つけることもあるので抑えるようにしないといけなかったらしくてですね、それに手間取りました。その結果はご覧の通りです。一つ言えるのは、試しに下界……人間界ですが、降りて人々に何も影響は与えないかと、試しに二度降りて、雪翔が病院に行くのについて行きましたよ?バスでは降りる時に手伝って、前は慌てて乗ろうとして……冷や冷やしましたねぇ」

「ごめんなさい」

「怪我がなくてよかったです」とまた撫でられる。そんなにずっと撫でられていると、禿げてしまうのではないかと心配になるほどに。

「こちらの事は手紙以外では?」

「それはですね……」

「言えないことならいいが」

「いえ、なんと表現したらいいのやら。手紙は直接来たら早いんですけど、城から上がってくるので多少時間はかかるんです。それで、こちらの事も知ることが出来て、見る事もできる場所があるのでたまに覗いてました」

「覗き?」

「秋彪……覗きではなくてですねぇ、様子伺いですよ?」

「そう、それ!でも駆けつけてくると思ってたんだけどなぁ」

「行きたかったですよ……あんな姿を見てすぐにでも!でも、もし行って雪翔に何かあったらと思うと、修行を早く終わらせることが先決と思いまして、かなり真剣にやりましたよ?あちらの帰りに間に合うか微妙でしたけど、なんとか終わったので用事を済ませて神社に行ったんです」

「僕、誰かに見られてる気がしてたんだけど」

「多分、水盆で見ていたからでしょうねぇ」

「雪翔の記憶が戻ったのは?」

「多少の神気に触れたからかも知れません。あ、紫狐、一度戻ってください。弱ってはいませんけど、私の気になれた方がいいです」

「はい」

「それでですね、何故かその修行をつけてくれた天狐にも父にも言われましたけど、神気を完全に消すことまで出来るようになりまして、神格化と言うところまで行ったようですねぇ。今なら触れるだけで雪翔の体は完全に治りますけど、どうします?」

「治ったら嬉しいけど……もう少し自分で頑張りたい」

「そう言うと思ってました。まぁ、そんな所ですけど、そちらの方は?」

「社に変わりはない。人間の手続きで、もうすぐ裁判が始まる。その前に雪翔には裁判長の前で話をしてもらわねばならん。それで刑も変わるらしい」

「話したら後は結果を待てばいいって書いてあったよ?」

「そうだ。お前が望んだ通りに進んでいるが、お前が許してあげてと言っても、俺達は許さんからな?」

「私もそのつもりですけどねぇ?」

「ちゃんと反省してたら……」

「雪翔、あー言った奴らはな?ぜーったいにまたしてくるぞ?俺達に何もするなって言うならそれなりの罰がいるだろう?ここの下宿の奴らも同じ意見だぞ?」
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