下宿屋 東風荘 4

浅井 ことは

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反抗期

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お弁当を食べ終わって、校庭を見ていると、数人の男女がボールを持って出てきて、山本ー!と呼んでいたので、行っておいでよと言う。

「こんな時しか校庭も使えないからな!ちょっと行ってくるわ」

「うん、しばらく見てるね」

「あ、教室戻ったら新田のおっさんいると思う。話しかけてみたら?」

「分かった」

少し見てからエレベーターに乗って教室に戻り、ロッカーに弁当箱をしまってから、新田の方を見ると本を読んでいた。

返って声かけずらいなぁと思っていたら、手招きされたので近くに行くと、宜しくねと言われて、こちらこそよろしくと握手をして読んでいた本を見る。

「あ、このシリーズ」

「読んだことある?」

「僕この作者さん好きでよく読んでます。これ最新刊ですか?」

「一つ前。次は夏発売だって書いてあった。よく読むの?」

「昔から好きで、入院中は本ばっかり読んでました」

その後は本の話で花が咲き、やはり年齢的なことでなかなかみんなに馴染めないでいるとも教えてくれた。

次の授業は英語で、最初の15分間は小テストが行われた。

その後授業が少しあってから、小テストが返ってきて点数を見る。

98点。

赤ペンで惜しい!と矢印が書いてあり、綴りを間違えたのだと気づく。

みんながノートをとっている間に採点しているところは無駄がないなと思いながらも、やはり授業の速度は早く、今の勉強のやり方ではついていけなくなるとつい考え込んでしまう。

「おい、しかめっ面して何だ?点数悪かったのか?」

「山本さん……。思ってたよりも授業が早いなって思って」

「月2回程度だからな、ある程度進めて置かないとテキストでは間に合わないんだろ?次の提出分まではいつもやるからそう感じるのかも」

「そういう事なのか!分かった。教えてくれてありがとう」

「で?どうだった?初テスト」

「一つ綴り間違えちゃって……」

「おいおい、まさかの100点に近い98か?」

「うん」

「俺、72点だった……英語苦手なんだよなぁ」

「英語って聞いてたら面白いから好きだよ?国語はよく間違えるんだけど。漢字が苦手で」

「漢字は形しか覚えてないよ。俺理数系だから、文字が並んでるの見ると泣きそう。早乙女は?」

「嫌いな教科はないけど、化学は実験が嫌いかな」

途中他の子達も入ってワイワイと話をし、最後の教科の化学にはついて行くのがやっとだった。

「おーい、プリント持って帰ってくれよ!」

先生がそう言って配るプリントを見ると、年間の行事が書かれており、文化祭や体育祭は普通科と合同だと書いてあった。

終わってから僕バスだからと言って反対方向へと行き、みんなに手を振ってからバスに乗り、栞に今から帰るとLINEをしたら、遅い!と帰ってきた。

家に着くと、21:40分になっており、「何かあったかと心配したのよ?」と言われるが、学校21:00迄だからバスに乗るとこの時間になると説明する。

「あらやだ……そうよね、ごめんなさい。でも私も緊張しちゃって」

「お弁当ありがとう」

「お友達できそう?」

「二人と話したよ。一人は一緒にご飯食べた。卵焼き美味しいって言ってたよ?もう一人は25歳の人で、本の趣味が似てて、あとの人はまだ……大勢で話してたから、聞いてた」

「そう、良かった。次はまた二週間後ね」

「ねえ、もし体調悪かったら、お弁当無理しなくていいからね?パンの自販機もあったし……」

「その時は冬弥様が作ると思うわよ?今日もすごかったんだから」
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