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夏休み~狐の国の異邦人
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「殴る?おばけって触れないよ?」
「こいつは触れるんだ。俺もびっくりしたが、ボクシングとやらをやっていたらしくて、体はしっかり出来ている。で、ボクシングってのは何だ?」
「ちゃんとしたスポーツですよ。昴さんから見ればグローブ嵌めた手での殴り合いの喧嘩にしか見えないでしょうが」
「なかなか素早いし、身のこなしもいい。影にぴったりだけどな」
「おいおい、人間にそれは無理じゃ。それに、触れると言うことは殴ったのか?」
「殴って散らした……とみえたが、手に気を纏っていた。こいつの強みはそこだな」
「うちの結界から覗いていた久世くんですが、野狐を払って記憶は消しました。ですが、またいつそういったものが来るかわかりませんしねぇ。かと言って、寮生を殴るわけにも行きませんし」
「こいつなら、触れるんだから引きはがせるだろ?」
「そんなことしたことないです」
「そんな物騒な話はお昼にしてくださいね?この子達はまだ子供なんですから。それに、雪翔のお勉強もちゃんと見てあげていて、この坊やは優しい子ですよ?」
「うん、いつも優しいよ?ね、航平ちゃん!」
顔を真っ赤にして下を向いていたが、「上を向いていろ」との祖父の声に、「はい」とちゃんと答えている。
「あ、あのね、僕……航平ちゃんに狐たち紹介したいんだけど、ダメかな?」
「もう知ってしまいましたから良いですよ。うちのも見ます?」
「漆さんたちは怖いから最後……」
「だったら、今日は花ちゃんを久しぶりに雪翔に預けるわ。足の治療してもらったら?」
「私はどうしましょう?」
「栞さんは生まれてからでないと、体のバランスが崩れてしまいますから、最後ですね」
「残念だわ。みんな航平君の事かっこいいって言ってたのに」
「儂のは……」
「お爺ちゃんの狐さんたち小太郎君しか知らないよ僕」
「ならば小太郎を出しておこうかの。今宵はみんなで話をするのも良いじゃろ」
「螢ちゃんと雫ちゃんにも会いたかったけど……みんなで一緒に寝てもいい?」
「布団を用意させておこう。栞さんの子は……」
「昴さん、まだ内緒なんです」
「そうか。俺が恩恵をやろうか?」
「自分の子にはできないんですか?」
「できない決まりになってる」
「なら生まれたらすぐお願いしますね。親は五匹くらいつけてくれてもいいですよ?」
「馬鹿かお前は!」
用意してもらった部屋に行き、みんなを出して航平に会わせて紹介する。
「えっとね、膝に乗ってるのが翡翠で、まだちっちゃいの。こっちは双子に見えるけど兄弟で、金と銀。後、冬弥さんの狐の紫狐。しーちゃんて呼んでるんだ。それと、おばあちゃんの狐の花ちゃんに、お爺ちゃんの狐の小太郎くん」
「よ、宜しく」
「し、紫狐のことは見てましたよね?」
「う、うん。あと翡翠ちゃん達も……その隠れなくても……」
「花ちゃんは大人しいんだ。花ちゃん、小太くん。航平ちゃんは優しいから仲良くして?」
「はい。えっと足は春します」
そう言って、前にも見せてもらったたくさんの花や花びらが魔法のように綺麗に降り注ぎ、小太郎の術で風に乗って消えていくように見せてくれる。
「綺麗……」
「うん、僕も初めて見た時すごいって思ったよ」
「ひーたんも!」
「翡翠はなにかできる?」
「むむー!!!」
「紫狐も花ちゃん達のようなことは出来ないですー。金と銀もまだ力が足りないみたいなので。雫さんと螢さんが居れば、面白いもの見れたかもです」
「そうなの?」
「見てみたいね」
「でも生まれてからって言ってたから……」
「こいつは触れるんだ。俺もびっくりしたが、ボクシングとやらをやっていたらしくて、体はしっかり出来ている。で、ボクシングってのは何だ?」
「ちゃんとしたスポーツですよ。昴さんから見ればグローブ嵌めた手での殴り合いの喧嘩にしか見えないでしょうが」
「なかなか素早いし、身のこなしもいい。影にぴったりだけどな」
「おいおい、人間にそれは無理じゃ。それに、触れると言うことは殴ったのか?」
「殴って散らした……とみえたが、手に気を纏っていた。こいつの強みはそこだな」
「うちの結界から覗いていた久世くんですが、野狐を払って記憶は消しました。ですが、またいつそういったものが来るかわかりませんしねぇ。かと言って、寮生を殴るわけにも行きませんし」
「こいつなら、触れるんだから引きはがせるだろ?」
「そんなことしたことないです」
「そんな物騒な話はお昼にしてくださいね?この子達はまだ子供なんですから。それに、雪翔のお勉強もちゃんと見てあげていて、この坊やは優しい子ですよ?」
「うん、いつも優しいよ?ね、航平ちゃん!」
顔を真っ赤にして下を向いていたが、「上を向いていろ」との祖父の声に、「はい」とちゃんと答えている。
「あ、あのね、僕……航平ちゃんに狐たち紹介したいんだけど、ダメかな?」
「もう知ってしまいましたから良いですよ。うちのも見ます?」
「漆さんたちは怖いから最後……」
「だったら、今日は花ちゃんを久しぶりに雪翔に預けるわ。足の治療してもらったら?」
「私はどうしましょう?」
「栞さんは生まれてからでないと、体のバランスが崩れてしまいますから、最後ですね」
「残念だわ。みんな航平君の事かっこいいって言ってたのに」
「儂のは……」
「お爺ちゃんの狐さんたち小太郎君しか知らないよ僕」
「ならば小太郎を出しておこうかの。今宵はみんなで話をするのも良いじゃろ」
「螢ちゃんと雫ちゃんにも会いたかったけど……みんなで一緒に寝てもいい?」
「布団を用意させておこう。栞さんの子は……」
「昴さん、まだ内緒なんです」
「そうか。俺が恩恵をやろうか?」
「自分の子にはできないんですか?」
「できない決まりになってる」
「なら生まれたらすぐお願いしますね。親は五匹くらいつけてくれてもいいですよ?」
「馬鹿かお前は!」
用意してもらった部屋に行き、みんなを出して航平に会わせて紹介する。
「えっとね、膝に乗ってるのが翡翠で、まだちっちゃいの。こっちは双子に見えるけど兄弟で、金と銀。後、冬弥さんの狐の紫狐。しーちゃんて呼んでるんだ。それと、おばあちゃんの狐の花ちゃんに、お爺ちゃんの狐の小太郎くん」
「よ、宜しく」
「し、紫狐のことは見てましたよね?」
「う、うん。あと翡翠ちゃん達も……その隠れなくても……」
「花ちゃんは大人しいんだ。花ちゃん、小太くん。航平ちゃんは優しいから仲良くして?」
「はい。えっと足は春します」
そう言って、前にも見せてもらったたくさんの花や花びらが魔法のように綺麗に降り注ぎ、小太郎の術で風に乗って消えていくように見せてくれる。
「綺麗……」
「うん、僕も初めて見た時すごいって思ったよ」
「ひーたんも!」
「翡翠はなにかできる?」
「むむー!!!」
「紫狐も花ちゃん達のようなことは出来ないですー。金と銀もまだ力が足りないみたいなので。雫さんと螢さんが居れば、面白いもの見れたかもです」
「そうなの?」
「見てみたいね」
「でも生まれてからって言ってたから……」
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