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夏休み~狐の国の異邦人
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ある程度自分の知っている狐の世界の話を終えたお爺ちゃんは、疲れたから休憩だとお茶を飲み、代わりに冬弥に話をするように言っている。
「あらかた概要は話しましたよねぇ。他に何かあります?それに、仕組み的には種族と役職が違うだけですけどねぇ」
「僕、那智さんの南の家に行った時の五つの島の話聞きたい。ほらここ。地図にも乗ってるし……島のおじいちゃんにも聞いたけど、伝説の人が岩になったのとは違うって。沈んだの?」
「ここに五つあるうちのこの三つが今はないですねぇ。実際は海面が上がって島がなくなったと聞いてますけど、各地で言い方が違うんじゃないですか?」
「またイルカさんに潜らせてもらおうかな。突き落とされるのは嫌だけど」
「那智が落としたんですか?何やってるんでしょうねぇ」
「所で、どうじゃ?一日目の感想は」
「驚いてますし、昔の日本といった感じで……それにいつもちらっと見えてた狐たちが、人の姿をしてたり話したり、頭では理解できないことばかりです」
「頭が固いのぅ。慎重というか……じゃが、この力は詳しく昴に聞かぬとわからんが、悪いことには使っておらんだろうな?」
「はい」
「ならば良い。そうじゃのぉ……後話すと言っても、栞さんの生まれてくる子のことくらいかの?」
「あの、狐が生まれるんですか?」
「普通に人の姿をして産まれてくるのよ。3ヶ月くらいで尻尾と耳が出ちゃうから、そしたらお披露目なの。色は何色なのかとか、名前もそこで発表して、お祝いしてもらうんだけど、私は人間の世界で産むから、名前を決めて手続きはしないとね……」
「俺の知ってるのとはまた違いますね」
「そうなの。だから大変なのよ?影に年をとったように見せかけたり、名前とか変えながら生き続けるんですもの」
「雪翔はどうなりますか?人間のまま居られるんですか?」
「居られますよ?我々でも永遠の命なんてないですから。人間が狐になるなんてファンタジーですよ?」
「そうですよね。雪翔が人をやめるって言ったら俺もついてくつもりだったんですけど」
「映画の見すぎだよ!」
そうか?と首をかしげている航平をよそに、祖父たちは違う話で盛り上がり出したので、宿題してくると航平について来てもらって部屋に戻り、みんながいない間にと宿題を進める。
「あ、昨日のところ直した?」
「うん。宿題とかしてると、テレビドラマで見てた高校生はなんで卒業できるのか不思議になってくる」
「まぁ、ドラマだし」
「それに、これって三年の参考書に出てたのとよく問題が似てるんだもん。一学期終わったばかりなのに、二学期の初めのテストが怖くなっちゃうよ……」
「たしかに難しいと思うけど、始業式後のテストだっけ?それは一学期の復習でいいんだろ?だったら宿題終わらせて復習しておけばいいんじゃない?」
「分かってるんだけど、一日勉強ばかりじゃダメとか言われるし、でも焦っちゃうし……僕、既に受験生の気分……」
「行くんだろ?大学」
「行きたいけど、まだ決めてない……前は建築に進みたかったけど、今は家具とか好きなだけでいいかなとも思うし、教師にって思っても足がこれじゃ……」
「一度、資料もらってこいよ。二学期の終りには面談で受験決めないといけないんだろ?」
「いくつか貰ってこようかな」
「あらかた概要は話しましたよねぇ。他に何かあります?それに、仕組み的には種族と役職が違うだけですけどねぇ」
「僕、那智さんの南の家に行った時の五つの島の話聞きたい。ほらここ。地図にも乗ってるし……島のおじいちゃんにも聞いたけど、伝説の人が岩になったのとは違うって。沈んだの?」
「ここに五つあるうちのこの三つが今はないですねぇ。実際は海面が上がって島がなくなったと聞いてますけど、各地で言い方が違うんじゃないですか?」
「またイルカさんに潜らせてもらおうかな。突き落とされるのは嫌だけど」
「那智が落としたんですか?何やってるんでしょうねぇ」
「所で、どうじゃ?一日目の感想は」
「驚いてますし、昔の日本といった感じで……それにいつもちらっと見えてた狐たちが、人の姿をしてたり話したり、頭では理解できないことばかりです」
「頭が固いのぅ。慎重というか……じゃが、この力は詳しく昴に聞かぬとわからんが、悪いことには使っておらんだろうな?」
「はい」
「ならば良い。そうじゃのぉ……後話すと言っても、栞さんの生まれてくる子のことくらいかの?」
「あの、狐が生まれるんですか?」
「普通に人の姿をして産まれてくるのよ。3ヶ月くらいで尻尾と耳が出ちゃうから、そしたらお披露目なの。色は何色なのかとか、名前もそこで発表して、お祝いしてもらうんだけど、私は人間の世界で産むから、名前を決めて手続きはしないとね……」
「俺の知ってるのとはまた違いますね」
「そうなの。だから大変なのよ?影に年をとったように見せかけたり、名前とか変えながら生き続けるんですもの」
「雪翔はどうなりますか?人間のまま居られるんですか?」
「居られますよ?我々でも永遠の命なんてないですから。人間が狐になるなんてファンタジーですよ?」
「そうですよね。雪翔が人をやめるって言ったら俺もついてくつもりだったんですけど」
「映画の見すぎだよ!」
そうか?と首をかしげている航平をよそに、祖父たちは違う話で盛り上がり出したので、宿題してくると航平について来てもらって部屋に戻り、みんながいない間にと宿題を進める。
「あ、昨日のところ直した?」
「うん。宿題とかしてると、テレビドラマで見てた高校生はなんで卒業できるのか不思議になってくる」
「まぁ、ドラマだし」
「それに、これって三年の参考書に出てたのとよく問題が似てるんだもん。一学期終わったばかりなのに、二学期の初めのテストが怖くなっちゃうよ……」
「たしかに難しいと思うけど、始業式後のテストだっけ?それは一学期の復習でいいんだろ?だったら宿題終わらせて復習しておけばいいんじゃない?」
「分かってるんだけど、一日勉強ばかりじゃダメとか言われるし、でも焦っちゃうし……僕、既に受験生の気分……」
「行くんだろ?大学」
「行きたいけど、まだ決めてない……前は建築に進みたかったけど、今は家具とか好きなだけでいいかなとも思うし、教師にって思っても足がこれじゃ……」
「一度、資料もらってこいよ。二学期の終りには面談で受験決めないといけないんだろ?」
「いくつか貰ってこようかな」
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