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夏休み~狐一族温泉観光ツアー前編~
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「今姿を消すのは得策ではないだろう?どうする冬弥?」
「兄上、たまには兄上たち年長者が決めてくれてもいいんじゃないですか?」
「この流れに任せるしかないだろうねぇ。囲まれてるし」
「同感だな。だが、もっと下がった方が良くないか?」
車椅子を押され、誘導されてる方向へと進み、なるべく車から離れるようにする。
《 ここでは駄目です。皆さんを防御幕で囲います》
「白?」
「どうしました?」
「白龍が危ないから僕達を守るって……僕達だけじゃなくてみんな守って欲しい……」
《 冬弥様との会話の許可を》
「いいよ」
《 冬弥様、我々の力ではまだ全員を守る力がございません。皆様だけでもと思っているのですが》
「そうですねぇ。前方に防御膜を。私たちの分は私が何とかします」
《 ではそのように。もう時間はありません》
「那智、雪翔と航平君を頼みます。兄上達はご自分で何とかしてください。私は姿を消して白と黒の援護に回ります。周太郎、重次も守りの体制を取りなさい」
その後すぐ、ドン__という音とともにバスが爆発し、耳がおかしくなり周りの音が一瞬聞こえなくなってしまった。
「みんな……どこ?」
「ここだ。大丈夫か?」
「うん……僕は平気」
暫くして周りが見えるようになると、大きな怪我をしている人はおらず、良かったとホットしたところで冬弥が戻ってくる。
着ていたシャツの袖が破れ、血が出ていたので、車椅子で駆け寄り、ハンカチを巻いて血が止まるようにと縛る。
「冬弥さん、なんで?白たちが居たのに」
「私のミスです。運転手が逃げ遅れてましたので、気絶させて運び出してたら巻き込まれました。白たちは完璧に皆さんを守りましたよ」
「良かった……」
ありがとうと白たちに声をかけてから、添乗員を呼んで、ハンカチを出来る限り借りて止血し、すぐに迎えが来るというので、それまでこっそりと翡翠に頼んで癒してもらう。
「ひーたん無理。血多いの少なくするのだけ」
「それでもいいからしてくれる?」
「あい!」
翡翠をみんなで囲んで周りに見えないようにした上で、更に那智が翡翠の姿を自分たちにだけ見えるようにしてくれる。
ハンカチの上に手を置き、「んんー!」と言いながらも翡翠が何やら力を使ってくれているのがわかる。
少しずつ血が止まっていくのはわかるが、かなり深く切れたのか、なかなか止まらない。
「私が力を使えればいいんですけどねぇ」
「馬鹿か!あんなに近くで爆音聞いたなら、天狐でも感覚が狂うだろ!」
「那智さん、凛ちゃんは?凛ちゃんなら怪我治せない?」
「すまん、俺たち狐は人形とはいえ人間より音に敏感なんだ。さっきので俺も耳がおかしくてな、ちょっとちび共を出せる状態じゃない」
「そんな……」
キョロキョロと周りを見てもみんな横に顔を振るだけでどうしてもダメなことはわかった。
「冬弥さん……」
「平気ですよ。私も耳栓しておけばよかったです」
「軽口叩けるのなら寝ておけ。航平、兄貴と添乗員のところに行って、大怪我だとでも言ってきてくれ。でないと人間てやつはなかなか動かないからな」
「分かりました。何とかしてきます」
「兄上、たまには兄上たち年長者が決めてくれてもいいんじゃないですか?」
「この流れに任せるしかないだろうねぇ。囲まれてるし」
「同感だな。だが、もっと下がった方が良くないか?」
車椅子を押され、誘導されてる方向へと進み、なるべく車から離れるようにする。
《 ここでは駄目です。皆さんを防御幕で囲います》
「白?」
「どうしました?」
「白龍が危ないから僕達を守るって……僕達だけじゃなくてみんな守って欲しい……」
《 冬弥様との会話の許可を》
「いいよ」
《 冬弥様、我々の力ではまだ全員を守る力がございません。皆様だけでもと思っているのですが》
「そうですねぇ。前方に防御膜を。私たちの分は私が何とかします」
《 ではそのように。もう時間はありません》
「那智、雪翔と航平君を頼みます。兄上達はご自分で何とかしてください。私は姿を消して白と黒の援護に回ります。周太郎、重次も守りの体制を取りなさい」
その後すぐ、ドン__という音とともにバスが爆発し、耳がおかしくなり周りの音が一瞬聞こえなくなってしまった。
「みんな……どこ?」
「ここだ。大丈夫か?」
「うん……僕は平気」
暫くして周りが見えるようになると、大きな怪我をしている人はおらず、良かったとホットしたところで冬弥が戻ってくる。
着ていたシャツの袖が破れ、血が出ていたので、車椅子で駆け寄り、ハンカチを巻いて血が止まるようにと縛る。
「冬弥さん、なんで?白たちが居たのに」
「私のミスです。運転手が逃げ遅れてましたので、気絶させて運び出してたら巻き込まれました。白たちは完璧に皆さんを守りましたよ」
「良かった……」
ありがとうと白たちに声をかけてから、添乗員を呼んで、ハンカチを出来る限り借りて止血し、すぐに迎えが来るというので、それまでこっそりと翡翠に頼んで癒してもらう。
「ひーたん無理。血多いの少なくするのだけ」
「それでもいいからしてくれる?」
「あい!」
翡翠をみんなで囲んで周りに見えないようにした上で、更に那智が翡翠の姿を自分たちにだけ見えるようにしてくれる。
ハンカチの上に手を置き、「んんー!」と言いながらも翡翠が何やら力を使ってくれているのがわかる。
少しずつ血が止まっていくのはわかるが、かなり深く切れたのか、なかなか止まらない。
「私が力を使えればいいんですけどねぇ」
「馬鹿か!あんなに近くで爆音聞いたなら、天狐でも感覚が狂うだろ!」
「那智さん、凛ちゃんは?凛ちゃんなら怪我治せない?」
「すまん、俺たち狐は人形とはいえ人間より音に敏感なんだ。さっきので俺も耳がおかしくてな、ちょっとちび共を出せる状態じゃない」
「そんな……」
キョロキョロと周りを見てもみんな横に顔を振るだけでどうしてもダメなことはわかった。
「冬弥さん……」
「平気ですよ。私も耳栓しておけばよかったです」
「軽口叩けるのなら寝ておけ。航平、兄貴と添乗員のところに行って、大怪我だとでも言ってきてくれ。でないと人間てやつはなかなか動かないからな」
「分かりました。何とかしてきます」
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