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非日常
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「ば、婆さん……」
「全くあなた達と来たら!元天狐と、現天狐二人が揃って何も感じなかったんですか?」
「そういう婆さんはどうなんじゃ?」
「天狐に分からないものが私にわかるはずがないでしょう?」
「そんな堂々と言われてものぅ」
「それよりこれからどうするかだ。ここにいるのは構わないんだが、社を三社開けたままには出来ないだろう?警備を送ったとしても、時間はかかるし、三人が相手して駄目なら警備なんて……そうだ!父上!」
「ん?」
「うちの一族を雪翔と航平君につけましょう。彼らならば情報も収集出来ます。この屋敷までは来れないと思いますし……」「クククッ」
「誰だ!?」
「甘い、甘いですね?ずーっと居ましたよ?」
そう言って襖が開けられて出てきたのは、バス停の男。
「いつから居たんです?この国に入るのにその姿では無理でしょう?」
「術ですよ?ずーっとあなた方の後ろについてきてたのに、何も気づかないとは、天狐も大したことがないですね?」
と両手で困ったふうにジェスチャーをし、一言一言で唇を舌で舐めている。
「お主か?うちの孫を拐いに来たのは!」
「拐いになんて人聞きのわるい。狐の国って来てみたかったんですよ。多少でも術が使えるものは入れると彼らが教えてくれましたしね」
ジュルッという音を立て下唇を舐めている姿は、獲物を狙う蛇のようで気持ちが悪い。
「お、おじさんは本体なの?」
「ええ。こちらに来るのに、纏っていた式はすべて消えてしまいましたから。それに、術も使いにくいんですよ。此処ではね」
「だったらもっかいやるか?今なら7対1だ」
「那智さん、それって俺も入ってます?」
「当たり前だ!俺の息子が強いってとこ見せてやれ」
「待て待て、わしゃ、老体だぞ?」
「可愛い雪翔の為でも見てるつもりですか?」
「仕方ないのぅ。そこの、あー、変態よ。ここでは家が壊れるでの、場所を変えんか?」
「私には戦う気なんてないんですけど。話し合いしましょうよ。雪翔君、本は読みました?」
「ぼ、僕知らない……帰ってよ!なんでみんなを巻き込むの?こんな所までついてきて、ストーカー見たいで気持ち悪いしっ!みんなを傷つけたこと僕絶対に許さないから!」
そう言ってから、体が熱くなってることに気づくと、ポケットに入れていたキーホルダーから、白龍と黒龍が出てくる。
いつもと違い仮面は被っているが、何だか服装が歴史の本で見る弥生時代を思わせるような白と黒の服を着ていて、髪は後ろで束ねてあり、手には剣が握られている。
「白、黒……」
「ご命令を」
「あ、あの人をこの国から追い出して!」
「「御意」」
二人が男に斬り掛かっていくと、すぐに男も庭に降り、手には札のようなものを持っている。
「嫌ですね……話したいだけなのに、護法童子ですか?物騒ですね」
「早く追い出して!」
「ったく!ここは引きます。天狐が何匹も出てきても困りますし。またお会いしましょう」
そう言って持っていた札が光ったと思ったら姿が消えていて、白と黒の姿もなくなっていた。
座っていたのに腰が抜けた感じとなり、たったあれだけでものすごく汗が出て止まらない。
「雪翔……」
「あらあらすごい汗。そうねぇ、三郎か四郎居るわよね?なにか拭くものと桶に水を汲んで持ってきて頂戴」
祖母の一言でなにか動く気配がしたので、取りに行ってくれたんだろう。
すぐに三郎が一族の装束のまま桶と手ぬぐいを持ってきてくれ、顔など汗を拭いてくれる。
「ごめんね、何か腰抜けちゃった感じがするんだ」
「横になられますか?」
「でも……」
「おい、座布団並べたからとりあえずこっちに運んでくれ。気が乱れてるから俺が見る」
昴が用意してくれた座布団の上に寝かされ、額には絞ったタオルが置かれ、冬弥と昴で体を戻してくれている感覚がし、とても眠くなったが、「やめて。白達の事が追えなくなっちゃう……い、今ね、見えてるの。だから僕が寝たら分からなくなっちゃう」
「雪翔無理はするな。後であいつらから聞けばいい」
「全くあなた達と来たら!元天狐と、現天狐二人が揃って何も感じなかったんですか?」
「そういう婆さんはどうなんじゃ?」
「天狐に分からないものが私にわかるはずがないでしょう?」
「そんな堂々と言われてものぅ」
「それよりこれからどうするかだ。ここにいるのは構わないんだが、社を三社開けたままには出来ないだろう?警備を送ったとしても、時間はかかるし、三人が相手して駄目なら警備なんて……そうだ!父上!」
「ん?」
「うちの一族を雪翔と航平君につけましょう。彼らならば情報も収集出来ます。この屋敷までは来れないと思いますし……」「クククッ」
「誰だ!?」
「甘い、甘いですね?ずーっと居ましたよ?」
そう言って襖が開けられて出てきたのは、バス停の男。
「いつから居たんです?この国に入るのにその姿では無理でしょう?」
「術ですよ?ずーっとあなた方の後ろについてきてたのに、何も気づかないとは、天狐も大したことがないですね?」
と両手で困ったふうにジェスチャーをし、一言一言で唇を舌で舐めている。
「お主か?うちの孫を拐いに来たのは!」
「拐いになんて人聞きのわるい。狐の国って来てみたかったんですよ。多少でも術が使えるものは入れると彼らが教えてくれましたしね」
ジュルッという音を立て下唇を舐めている姿は、獲物を狙う蛇のようで気持ちが悪い。
「お、おじさんは本体なの?」
「ええ。こちらに来るのに、纏っていた式はすべて消えてしまいましたから。それに、術も使いにくいんですよ。此処ではね」
「だったらもっかいやるか?今なら7対1だ」
「那智さん、それって俺も入ってます?」
「当たり前だ!俺の息子が強いってとこ見せてやれ」
「待て待て、わしゃ、老体だぞ?」
「可愛い雪翔の為でも見てるつもりですか?」
「仕方ないのぅ。そこの、あー、変態よ。ここでは家が壊れるでの、場所を変えんか?」
「私には戦う気なんてないんですけど。話し合いしましょうよ。雪翔君、本は読みました?」
「ぼ、僕知らない……帰ってよ!なんでみんなを巻き込むの?こんな所までついてきて、ストーカー見たいで気持ち悪いしっ!みんなを傷つけたこと僕絶対に許さないから!」
そう言ってから、体が熱くなってることに気づくと、ポケットに入れていたキーホルダーから、白龍と黒龍が出てくる。
いつもと違い仮面は被っているが、何だか服装が歴史の本で見る弥生時代を思わせるような白と黒の服を着ていて、髪は後ろで束ねてあり、手には剣が握られている。
「白、黒……」
「ご命令を」
「あ、あの人をこの国から追い出して!」
「「御意」」
二人が男に斬り掛かっていくと、すぐに男も庭に降り、手には札のようなものを持っている。
「嫌ですね……話したいだけなのに、護法童子ですか?物騒ですね」
「早く追い出して!」
「ったく!ここは引きます。天狐が何匹も出てきても困りますし。またお会いしましょう」
そう言って持っていた札が光ったと思ったら姿が消えていて、白と黒の姿もなくなっていた。
座っていたのに腰が抜けた感じとなり、たったあれだけでものすごく汗が出て止まらない。
「雪翔……」
「あらあらすごい汗。そうねぇ、三郎か四郎居るわよね?なにか拭くものと桶に水を汲んで持ってきて頂戴」
祖母の一言でなにか動く気配がしたので、取りに行ってくれたんだろう。
すぐに三郎が一族の装束のまま桶と手ぬぐいを持ってきてくれ、顔など汗を拭いてくれる。
「ごめんね、何か腰抜けちゃった感じがするんだ」
「横になられますか?」
「でも……」
「おい、座布団並べたからとりあえずこっちに運んでくれ。気が乱れてるから俺が見る」
昴が用意してくれた座布団の上に寝かされ、額には絞ったタオルが置かれ、冬弥と昴で体を戻してくれている感覚がし、とても眠くなったが、「やめて。白達の事が追えなくなっちゃう……い、今ね、見えてるの。だから僕が寝たら分からなくなっちゃう」
「雪翔無理はするな。後であいつらから聞けばいい」
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