天満堂へようこそ 7 Final

浅井 ことは

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天満堂薬店

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ピコピコピコーン!

と、自動ドアが開く度になる音とともに、「いらっしゃいませー!」と元気に接客をする。

「1258円になります」とお金をもらってお釣りを渡す。

「ありがとうございましたー」

新しい店舗を手伝いながら、ふぅ、っと一息つくために店先に出る。

「ムー、お疲れ様。中入ろうか……」

「奏太君暑いよー!」

「すぐ冷たいのあげるから。おいで」

裏から入って、ムーに冷たいお水をあげて弁当を広げる。

帰ってきてからの日々は、新店舗がいくつかオープンしたので、毎日何軒か回りながら接客もし、店舗ごとのデータをとっていくというものだった。

もちろんニコルとノア、ルーカスはオバサマ軍団という強力なファンがいるので、行くだけでイベントになってしまう。

なので、会社をルーカス達に任せ、ノアは裏仕事をしてもらって、ムーは看板犬。自分は接客と言った形で毎日が過ぎていく。


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「ムー、お昼食べたら次の支店に行くからな?」

「僕疲れたよぅ」

「だって、専務たちがまたモデルの仕事入れたからさ、顔だすだけでも宣伝効果だって……それにお前、またドッグランで撮ってもらえるからおやつ貰えるよ?」

「それのために僕頑張ってるのー!」

「奏太様、こちらの店舗も問題はないようです」

「そう……今日は後一軒で終わりだよね?」

「はい。ですが、次の店舗は他と比べなくてもかなり成績も悪く、オーナーを変えるかしなく、無理かも知れません」

「立地もあるでしょ?とりあえず行ってみようか。ノアも今のうちに食べておかないと持たないよ?」

毎日近隣の県まで出かけて調査しているので、休みをくれ!と根をあげたくなるくらいに忙しい。

「次どこだっけ?」と地図を見て一時間もあればつくと予想して車に乗りこみ向かう。

今回ばかりは会社の車を使って運転もしてもらってるが、交代とはいえ毎日の距離を考えると疲れるだろう。

走ること1時間、どんどんと山の中に入っていき、本当につくのか心配になる。

「運転手さん、道あってるよね?」

「はい、ナビの通りに来ましたし、ここも国道とありますので……」

山道を抜けるとやっと街が見えてきて、遠くからでも電車が見え安心する。

「申し訳ありません。帰りの道は探しておきますので」

「よろしく。ノア、店内に行こう」

自動ドアで入ると客は全くおらず、レジのおばさんと、バイトの大学生くらいの人があくびをしながら座って喋っている。

「すいません、店長かオーナーはいらっしゃいますか?」

「え?私がオーナーで店長だよ?こっちはバイト君。あんた誰?」

溜息をつきたくなるのを抑え名刺を渡すと、椅子からガタッと立ち上がり、意味不明な挨拶をされる。

「とにかく、裏を見せてください」

「は、はい!」

周りを見て歩くが棚は埃だらけ、新しい建物なのに雨が降ったからか床がかなり汚れている。
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