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天満堂薬店

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「こう言ってはあれなんですけど、私達は開業する際にランクを選ぶことはご存知ですよね?」

「A~Eランクでしょ?下になればなるほど資金は少ないけど、開業時の借金が多くて、借り入れれる額もかなり少なかったはず……」

「はい。うちは元々小さな薬局をしてまして、何とか開業時に借金ゼロのAランクから始められました。今の所黒字ですので借入もありません。あちらの店はEランクから始めたそうで、毎月の返済が大変と言う話を聞いたことがあります。うちの店を見に来た時に少し話をしましたが、元々薬剤師の免許も私があるので処方箋を扱うようになりまして。あちらは処方箋を扱うところと契約して中に入れると言っていたのですが、その資金が出なかったようです」

「詳しいですね?」

「実は、この近辺に同じ薬店だからと金を貸して欲しいと回っていまして、うちにも来ました。断りましたが」

「処方箋なくてもやってるところは沢山あるよ?」

「そうです。そのことも伝え、みんなで頑張れと言っていたのですが、話によると借金がかさんで商品を発注も出来なくなったとか」

「うちは明日撤退していただくのに保証金を返すのですが、それでも足りないのですか?」

「Eランクですと、最初300万でしょう?店に置く薬代などを会社から借りて返済しているわけですから、保証金は精算してもまだ借金が残るのではないかと……」

「今計算させていますが、どうやったらそんなに赤字になるんでしょうね」

「あの店は元々評判が良くなくて、新しい店ができるまでうちまでわざわざ買いに来てくれるお客様もいたんです。やはり接客が……」

「何となくわかるかも」

「副社長の出ていらっしゃるCM商品は人気でして、それだけでもかなりの売上になるのですが、あちらは取り扱えなかったようです」

「そうでしたか。他にこの近辺の店でそういった話は聞きませんか?」

「いえ。ほかとも仲良くさせてもらってますが、他のお店も順調のようです」

「分かりました。お忙しい中ありがとうございました」

「いえこちらこそ」

車に戻って他の資料を見ながら、この近辺は大丈夫そうだねと話をし、最後に黄色いマークのついている店に立ち寄って帰ることにした。

「黄色ってめんどくさそう」

「ですが、改善の余地があるとの判断ですから、見れば何かわかるかも知れませんよ?」

駐車場から、首に社員証をかけて表から堂々と入って中を見ていく。

店内は綺麗で、棚も綺麗にしてあるが並べ方が雑なことと、商品が少し探しにくい点を除けば他の店と大差はないと思い、レジで店長を呼んでもらう。

奥の休憩所兼事務所で話をすると、すぐに対応しますとのことだったので、そのままチェックシートに書き込んで会社へと戻る。

「あー!疲れたよー!」

「僕も疲れたよー」

「ムーは後半寝てたじゃん」

「だって、お店の前に行かなくてよかったもん」

「まぁ、そうだけど。取り敢えず、明日行くところのリスト出さないと。それから帰ろう……」
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