天満堂へようこそ 3

浅井 ことは

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大鍋印の天満堂

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「お前はそうでも、あいつは王族だから軽い刑にはならん。でだ、私もお前も……ルーカスもだが、ここには少ししかいなかったが、思い出が多すぎる」

「だから引っ越し?」

「そうだ。ここの店はあの仮店長を店長として採用し、私たちは違うビルに移る」

「家は?」

「私がなにもしてなかったと思うのか?もう建築済みだ。いつでも引っ越せるし、天満堂の自社ビルにはテナントも入れるからな、更なる儲けがある」

「でもそんなお金……あ、ぼったくり鍋!」

「大鍋セットだ!インターネットでもかなり売れて、入浴剤も出てる。それに新たに天満印の化粧品や日用品販売にまで大きくする予定だからな、お前はどこかの責任者として働いてもらう」

「はぁ?」

「大丈夫だ、店長になるあいつは幻界のものだし、ビルの幹部には各界から何人か呼んである」

「そういう問題じゃ……ユーリさんも知らないってこと?」

「だな」

「その家っていうのは?」

「一軒家だ。ちょっとした豪邸に見えなくもないが、部屋数だけはかなりあるし、裏庭に作業小屋も作ってある。ベースだけ作れば後はなんとでもなるから、化粧品はまぁ、お取り寄せになるかもしれんな」

「一緒に住むってこと?」

「弟と住んで何が悪い?それに、使用人も私付きだったものを幻界の別宅の方から呼び寄せてある。もう準備もすんでいる頃だろうし、ローズの家にも近い」

「まさかだとは思うんだけどさ、その家って……」

「ローズの会社に頼んで作ってもらったから安かったぞ?5億ぐらいだったかな?」

「ビルは?」

「半値で売ってもらったから、30億ちょいくらいか?」

金額に驚きすぎて喉が乾き、キッチンへいって水を飲んでからコーヒーをもってテーブルに戻る。
1つコーヒーを渡し、ずっと考えていたことを聞く。

「あのさ、この3ヶ月ずっとそれやってたわけ?俺たち心配してたのに」

「そりゃ、最初の一月はルーカスの治療があったから、惚けてもおれんさ。治療の間にルーカスとはかなり話した。この引越しのことも、店のことも、お前の事も。そして出した結論だし、これだけ長くいたんだから、何か手はないか考えもした……でも、答えは見つからなかった。落ち込まなかったと言ったら嘘になるがな」

「ごめん……」

「良いんだ。で、引越しなんだがお前、どうする?」

「分かった、俺も行くよ」

そうと決まれば……と、荷造りを始めさせられる。

このような時はとにかく仕事が早い。クローゼットの中の服、纏めたものは魔法で送られてしまい、大事なものだけ大き目のバッグに入れる。

「他のものどうするの?」

「消去魔法で一気に消すから大丈夫だ。今夜はここにいるか?あっちに行くか?」

「明日でいいよ。そのビルとかも見たいし、ユーリさん待たなくていいの?」

「幻界に飛ばしたのは、材料がそろそろ纏まってるはずだから、新しい家の作業場に繋がるように、もうしてある。問題は無いが、怒られるだろうな」
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