天満堂へようこそ 3

浅井 ことは

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モデル

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「まだ少し弱いな。ムー今日は罰だからやらないが、明日から朝と夜の飯の間に2回おやつもらえ。リハビリの後にな」

「ぷりん?」

「じゃない時もあるだろうが、少し痩せたしな。風呂は明日からなら大丈夫だが、天気のいいときだけにしておけ」

「リハビリって誰がするの?」と聞くと、「爺かそこら辺の奴……と言いたいところだが、昼は爺に任せる。夜は奏太かニコルがやればいい」

「痛い?」

「我慢しろ。大体なんでお前捕まったんだ?とろくさいな!」

「そうそれ。あの後どうなったのかも気になってたんだよ」

「んとね、僕何か臭いがして、音もしたから、するりってしてすぐに戻るつもりだったんだけど、後ろから首捕まれて。それで抱えられてどこかにいこうとしたから、手の毛を落としたんだ」

「それをノアが見つけてあの家に行ったんだよ。気づいてからは早かったけどさ、居なくなってからの記憶ないのか?」

「うん。起きたらお腹いたくて、檻の中にいたんだ。男の人がたまに来て、蹴ったりするから僕怖くて」

「お前も蹴られたのか?」

「うん。血が沢山出ないって。それで、僕するりしようとしたけど出来なくて、ふらふらーっとかしたの。後はチクってされた後お腹いっぱい押されたんだ」

「結月さん達は何したの?帰ってくるの遅かったけど」

「ボコボコにしてきたが、黒幕の名前言わなかったんでな。幻界に連絡して近衛兵に渡した。ムーの血は保管してあったものは破棄してきたぐらいだ。これからは誰か呼ばないとダメだぞ?」

「うん。でも、チョコちゃんのお家には行きたい……」

「それも今ローズと相談してるから少し待て。しばらくはチョコにこっちに来てもらえばいいが、家の庭からはでないこと」

「うん!」

その後は会議、試作品の繰り返しをし、なんとかお弁当セットと小物やお子様セットが出来上がったので、店頭に置く薄いカタログ用と、ネット販売用のカタログの撮影に、元気になったムーと小さな女の子を使って、「お兄ちゃんとお弁当作り!」「みんなで御飯!」をテーマに何とか無事撮影も終え、店頭に置かれる日を待つだけとなった。

それが反響を呼び、断りきれず通販カタログのキッズとメンズ、ムーは犬用小物で採用されて、シーズンごとに撮影もされ、モデル『SOUTA』としても有名になり、副社長ということもあって、雑誌の取材なども受けるようになり、商品の売れ行きも上々だった。
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