桃源庵 (仮)

浅井 ことは

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ご来客

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お茶を飲んでゆっくりしていると、「来たぞ」とまたしたから声が。その後カラッと扉の開く音がしたと思ったら、古風な柄の着物を着た女性。

「こんにちは」

「あ、こ、こんにちは」

普通の人に見えるが、ちょっと時代劇に出てきそうな感じの恰幅の良い人で、歩き方などがちょっとゆっくりとした仕草が上品な感じ。


大宜都比売おおげつひめさんお久しぶりです」

「知り合い?」

「時折来て下さるんですが、今日大宣都さんが来るとは思いませんでした。大国さんか宇迦さんが来るかと思ってましたから」

「米と言えばこいつだろう?」

米と言えば?
意味がわからないなと顔に出ていたのか、ビコが説明をしてくれた。

「大宜都比売と言えば、食物をつかさどる女神。 イザナミと イザナギの子だ。 素戔嗚尊が食物を求めたとき、鼻・口・尻から食物を取り出して奉ったため、怒った素戔嗚尊に殺されたが、その死体から蚕および五穀が生じたというすんごい女だぞ」

「はい?」

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