天満堂へようこそ 2

浅井 ことは

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天界・幻界そして魔界

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すぐに幻界に戻り、調合した液体をパックに入れ、点滴を施す。
24時間交換して続ける。
持って来た材料で作れるし、なくなればとりに行けばいい。
ユーリに使い方を教え、奏太の頬を人撫でしてから、母の所へと行く。

「約束だ話してもらう」

「俺もいていいのか?」とルーカスが聞くので、ちゃんと聞けと椅子に座る。
目の前には天界の王に幻界の女王、そして私とルーカス。足元にはムー。

「どこから話したらいいかしら?」

「私の親は魔界の王の兄と、母の姉との間の子だと聞いている。間違いないか?」

「間違いない。だから魔界側が欲しがったが、間の幻界にて育てた。儂が見届人だ」

「奏太は?」

「天界の王の弟と私の姉の子よ。だから私に二人は無理だから天界に引き取ってもらったの。ただ姉の血の方が濃かったようね」

「なぜ天界は隠した?」

「小さな時に既に魔力が高く、人と離すしか無かったんだ。だからリアムも小さく記憶が無いことをいい事に幽閉に近い様になってしまった」

「その魔力が高いと判断した基準は?」

「結月よ、お前は赤ん坊の頃から目の色が変わったり、おもちゃを自分で引き寄せたり、生まれながらに自然と魔力と調和して行った。しかし、あの子は人間の年で言うと一つか二つくらいの頃、突然周りのものを吹き飛ばしてしまったんじゃ。たまたま泣いた時に。家具やベッド等粉々になってしもうた。その時、乳母と使用人1人をつけ、王宮の外の魔界側に近い所、誰も近づかんところに屋敷を建て住まわせた。その時リアムは人間界へ行っておったから何も知らぬ」

「私が方々旅してる頃だな」

「ちょっと待て、魔界に近いなら、そんなに大きい魔力ならばこちらにも感じるはずだ」

「結界を張ったの。私と姉と、天王と、その兄君で。目眩し出来てたわ……ずっと。居なくなったのに気付いたのは、使用人が報告に来てからよ」

「どの位経ってたんだ?」

「こちらの時間で2週間ほどかしら?乳母も一緒に居なくなったの」

「あのばぁさんか……」

「おばあちゃんが?僕にミルクくれた?」

「そうだろう、最後に私に気づいていたと言ったからな。分からなかったとは、かなりの使い手か?」

「元々は王宮の魔術師だったのよ。ほら、貴方が迷子になった所の研究していた方のお弟子さん」

「まず、迷子じゃない!少し本を読み耽っていただけだ!」

「迷子だろ?一年もいなくなりやがって」

「ルーちゃん煩い!」

「ルーちゃん言うな!
だが、どうやって抜けた?魔界に近いならば魔界にも幻界にも知られず。勿論、策はしてあったんだろう?」

「子供だったし、まさか乳母が連れ出すとは思わなくて」

「それで、魔界・天界・幻界で話し合った結果がこれだ」と王は下を向く。

「リアムにはなんて言ったんだ?」

「奏太が、探している子かも知れんと。自分の魅惑や、ルーカスの脅しが全く効かず、結月の薬も効きにくいと聞いた時に」

「脅しじゃねぇ……」

「その時に話したのか?」

「そうだ。まさか、そんな考えにたどり着くとは思わなんだ。許してくれ」
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