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天界・幻界そして魔界
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時間の経過について、これに関してはやはり人間界時間で600年いた為、こちらでの耐性が落ちていると思われる。
だが、人間界で暮らすものも多い。その者達は寿命が少し短くなるが、どちらの世界に居ても人間より少し長生きなだけだ。
種族によって違いはあるが……
奏太は簡単に言えば天界と幻界のハーフ。
それも王族の血筋だ。
人間界で暮らしていてもさほど影響は無い。
ただ、私もそうだが、王族は戻らなくても耐性は付いたままだ。それも魔力の多いものならば特に。
となると、やはりあの婆さんが記憶を消したり術を掛けたりしすぎたことも原因かもしれない……
これが本からわかる最大限の事。
だが、過度のストレスからの方が自分の考えからするとしっくりくる。
それにしてもかなりの衰弱ぶりなのが気になる。
自覚があれば魔力を少しづつでも体に流し、絶食しても半年は大丈夫な筈だが、奏太にはその自覚以前に、まだ本当にこちら側の人間だとの認識もない。
魔力の事など全く分かっていなかっただろう。
眠ることで防衛したのかもしれないが、普通の治療など効かないだろう。
血に関してはそれほど役に立つ情報はない。
「結月、少し休んだらどうだ?」
「おっさんか……もう少しだけ。奏太の治療を早く決めたい。リアムの事も考えるから……」
「今読んでいるのは幻界の王族のものだろう?
天界にも同じようなものはある。魔界にもな。
その中に天界での禁術が書いてある箇所がある。何年も読まねば分からん様になっておるがの」
「何が言いたい?」
「儂の血を取れ。そして混ぜろ」
つい、ガタッと椅子を倒し立ち上がってしまった。
「落ち着け、その本の中にも書いてある筈だ」
パラパラと本を捲り何処だと探すが、それらしい所は見あたらない。
「またまだ結月には早かったか?他界の本は読めない決まりだから、何処に書かれているからわからんが、お前なら気づくかも知れないと王は渡したのだろう」
本を持ち、暗号か?と聞くとただおっさんは微笑むだけだ。
「私の血は魔界とのハーフの血だ。天界の血をそのまま混ぜれば……そうか、血縁関係にあるから……そう言う事か!」
「わかったら早く取れ。多分だがもし魔界で同じことが起こったならば、リアムの血が必要になっただろうが、魔界の血が入ってない奏太が魔界にいれば死んでいてもおかしくはなかったかもしれぬ」
「だが……」
「結月、お前の弟であるが、儂の甥にも当たる。だから助ける。それでは駄目か?」
「有り難く」そう言い頭を下げる。
直ぐに血を採り幾つか濃さを分け点滴を用意し交換する。
「ユーリ、この番号順に交換してくれ。で、ムー、お前はついてこい」
「僕?なんで?」
「いいから来い」と首根っこをつかみ、天王に投げ渡す。
「ひゃぁ……」
「投げなくてもいいだろう?」
「ムーと遊びたかったんだろ?血の礼だ。ルーカスのところまで運んでくれ」
「儂も安く見られたもんだの……ムーよ」
「姫はいつもああなんだからぁ。あ、僕歩けますから降ろして……って、えぇー?」
「肩に乗るのは嫌か?高いだろう?」
「天王は今は小さくなっているが、かなりの大男だ。甘えておけ」
「そんなぁ、王様でしょ?僕、歩くからぁ」
「良い良い、さて行くとしようか!」
拗ねるムーを無視して、肩に乗せたままルーカスの元へと向かう。
中庭にいたので、ムーにとってはかなりの時間肩にしがみついていた事だろう。
だが、人間界で暮らすものも多い。その者達は寿命が少し短くなるが、どちらの世界に居ても人間より少し長生きなだけだ。
種族によって違いはあるが……
奏太は簡単に言えば天界と幻界のハーフ。
それも王族の血筋だ。
人間界で暮らしていてもさほど影響は無い。
ただ、私もそうだが、王族は戻らなくても耐性は付いたままだ。それも魔力の多いものならば特に。
となると、やはりあの婆さんが記憶を消したり術を掛けたりしすぎたことも原因かもしれない……
これが本からわかる最大限の事。
だが、過度のストレスからの方が自分の考えからするとしっくりくる。
それにしてもかなりの衰弱ぶりなのが気になる。
自覚があれば魔力を少しづつでも体に流し、絶食しても半年は大丈夫な筈だが、奏太にはその自覚以前に、まだ本当にこちら側の人間だとの認識もない。
魔力の事など全く分かっていなかっただろう。
眠ることで防衛したのかもしれないが、普通の治療など効かないだろう。
血に関してはそれほど役に立つ情報はない。
「結月、少し休んだらどうだ?」
「おっさんか……もう少しだけ。奏太の治療を早く決めたい。リアムの事も考えるから……」
「今読んでいるのは幻界の王族のものだろう?
天界にも同じようなものはある。魔界にもな。
その中に天界での禁術が書いてある箇所がある。何年も読まねば分からん様になっておるがの」
「何が言いたい?」
「儂の血を取れ。そして混ぜろ」
つい、ガタッと椅子を倒し立ち上がってしまった。
「落ち着け、その本の中にも書いてある筈だ」
パラパラと本を捲り何処だと探すが、それらしい所は見あたらない。
「またまだ結月には早かったか?他界の本は読めない決まりだから、何処に書かれているからわからんが、お前なら気づくかも知れないと王は渡したのだろう」
本を持ち、暗号か?と聞くとただおっさんは微笑むだけだ。
「私の血は魔界とのハーフの血だ。天界の血をそのまま混ぜれば……そうか、血縁関係にあるから……そう言う事か!」
「わかったら早く取れ。多分だがもし魔界で同じことが起こったならば、リアムの血が必要になっただろうが、魔界の血が入ってない奏太が魔界にいれば死んでいてもおかしくはなかったかもしれぬ」
「だが……」
「結月、お前の弟であるが、儂の甥にも当たる。だから助ける。それでは駄目か?」
「有り難く」そう言い頭を下げる。
直ぐに血を採り幾つか濃さを分け点滴を用意し交換する。
「ユーリ、この番号順に交換してくれ。で、ムー、お前はついてこい」
「僕?なんで?」
「いいから来い」と首根っこをつかみ、天王に投げ渡す。
「ひゃぁ……」
「投げなくてもいいだろう?」
「ムーと遊びたかったんだろ?血の礼だ。ルーカスのところまで運んでくれ」
「儂も安く見られたもんだの……ムーよ」
「姫はいつもああなんだからぁ。あ、僕歩けますから降ろして……って、えぇー?」
「肩に乗るのは嫌か?高いだろう?」
「天王は今は小さくなっているが、かなりの大男だ。甘えておけ」
「そんなぁ、王様でしょ?僕、歩くからぁ」
「良い良い、さて行くとしようか!」
拗ねるムーを無視して、肩に乗せたままルーカスの元へと向かう。
中庭にいたので、ムーにとってはかなりの時間肩にしがみついていた事だろう。
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